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反逆の月

僕が初めて君にあった頃。

君はまるで満月のように角がなく、自分を輝かせるのに必死だった。

けれどその月もやがては欠けていく。

失っていく物も多くなり、タバコの本数だけが増えていく君。

どんどん明るさを失い、暗い部分だけが増えていくばかり。

僕は正直あの頃にこの月が無くなってしまうのではないか。

そう思ってしまった。

その月は堕ちる所まで堕ち、欠ける所まで欠けていく。

そう思っていた。

けれどその月が完全になくなったかと思いきや、また少しずつ光が射してきた

辛い経験をしたからこそ。

大変な思いをしたからこそ。

その少しずつ射す光は前よりも輝いて見えた。

やがて月は満ち、今となってはあの出会った頃よりも輝いて見える。

まるで今まで欠けた部分を埋めていくかのように。

今の満月はきっと

あの頃よりも綺麗な満月。

あの頃よりも輝く君。

あの頃よりも近い距離。

タバコの煙が月の光で見えるぐらいに。



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