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HSPが生きやすくなるには当人ではなく、周囲が対策することに感じるプチ違和感

私もHSPだった

昔から毎日がしんどく感じられた。
特に、対人関係。
人のコトバやちょっとしたしぐさから、相手の心理を過剰に読み取ってしまい、しなくていい気遣いをしていた。

誰かが先生に怒られていたら自分が怒られているみたいに胸がギューッとしたし、誰かが痛みを伴う治療や検査を受けている時は、自分の体が痛くなった。

子供の頃の将来の夢が「山奥に庵を編んで1人でひっそり生きたい」だったくらい、人と一緒にいるのが極端に疲れてしまうのだ。

ネットでHSPを知り、早速「HSPチェックリスト」で確認したら、チェック項目の全てが該当した。

「なあんだ。わたしはHSPだったのか!」と長年の悩みが一気に氷解。聞けば世の中の5人に1人がHSPだという。自分だけがこんな思いをしているのかと思っていたのに、案外同胞は多いらしい。


感受性の高さは悪だった時代

私が育ったのは昭和40~50,60年代。子供の数も今よりはるかに多かった。学校も家庭も社会も、「人の気持ち」なんか、いちいちおもんぱかっていなかった。学校は勉強、社会は経済、家庭は食事と睡眠とテレビ。それがすべてだった。

そのころとて、人に敏感で、過剰に反応してしまう人たちは大勢いたと思う。世の中の図太いタイプの人たちは、気弱で敏感なタイプの人たちをスケープゴートにした。しかし、今のように「それはいけないことだ」と指摘するような風潮は一切なかった。

感受性が高く、敏感な人は、そうじゃない人たちがマジョリティの社会にうまく適合できない。適合できなければできないほうが悪いとされた。だから、そんな自分を恥じ、なんとか社会に適応できるよう、自分を矯正しようともがいた。もがいてもがいて人と擦れ合い、その擦過傷に苦しんだ。それが昭和のHSPの在り方だった。

HSPはそのままでいい

今はどうだ。HSPにスポットが当たり、社会に認知されるようになってきた。こうした感じやすい人たちもいるということに、社会全体が気づくべきであると。
昭和のようにHSP自身が自らを恥じ、矯正する必要はないという。なぜなら病気ではなく、そういう性質であるだけだから。良い悪いの基準の外に置かれているのだ。だから恥じず、卑下せず、そのままでいいのだという。

ありがたい。昭和に比べたらずっと生きやすい。しかし、大方のHSPではない人たちと付き合う時、やはり痛みは伴ってしまう。これは、どう対策すればいいのだろうか。

■当人よりも周囲の理解こそが大切、という対策

ネットでざっくり読んだ限りだが、対策の主体者はHSP本人ではなく周囲である、という印象を受ける。
つまり、ありのままのHSPを、周囲が理解することこそが対策であるというのだ。

そうなってくれればどんなにいいだろう。
しかし、多数派が少数派の気持ちを理解することは容易ではないし、人の意識ってそう簡単に変わるものでもないと思う。

周囲がHSPを認め、本当に理解を示せるようになるにはまだまだ時間がかかるだろう。

世の中の支配層がまだ「HSP自身が社会に適合できるようにしろ!」と居丈高に怒鳴るだけの昭和の残党で構成されている限り、特に職場では、まだまだHSPはつらい思いを強いられそうだ。

本人と周囲、ともに対策

周囲の対策はもちろんありがたいが、それだけでは片手落ちのような気がして少々違和感を覚える。おまけに時間もかかるため、当座はHSP自身も、しんどさから逃れられるようなテクニックや、発想の転換は持つべきだと思う。

ネットを見ると、すでにさまざまな対処法が提示されている。
私個人としては、「できるだけ自分ひとりでいられる職場を選ぶ」が有効だと思っている。

現在の清掃員の仕事は、チームを組んでの清掃ではなく、私一人で現場を担当させてもらっているので大変助かっている。職場の同僚とのコミュニケーションが苦手、雑談やランチが苦痛という方にはおすすめだ。

仕事を選ぶ基準は人によってさまざまだが、HSPは「自分がラクに呼吸できる」ことを目安に選んではどうだろうか。学歴や給料の多寡にこだわるとどうしても追い込まれてしまう

HSPがもう少しラクに生きるには、周囲の理解ももちろん大切だが、実は、HSP自身の意識を改革する方がずっと大事なのではないか。近眼であれば眼鏡をかけたりコンタクトレンズをしたりするように、HSPであればHSPを治すのではなく、HSPを前提にした上で行動する。仕事も人付き合いも。そうすれば自ずと何が必要で、何が必要でないかが見えてくるのではないだろうか。

猫が追い詰められたとき塀のわずかな隙間からスルリと逃げていくような、しなやかで機転の利いた「考え方の転換」がHSPには必要なのではないかと個人的には思っている。


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