仮面ライダーWとファイナルファンタジー7の世界観

 仮面ライダーWとファイナルファンタジー7の世界観はだいぶ似ている。
 互いに発売/放送された時期が非常に離れてはいるが、似通っているので記したいと思う。
 ファイナルファンタジー7ね、中学の頃つわはす(不祥事を起こして引退していたが、最近復活した)の実況を観てて夢中になってたんだ……最近になってリメイク作品ができたみたいだね。調べていないので、よく分からない。その時には特撮に対してさしたる興味関心は薄かった。

星(地球)

 どちらも、「星」(地球)という要素が共通している。

FF7
 地球の内部には「ライフストリーム」というエネルギーが滞留しており、それが巡り巡って生命の運行の原動力を形成した。ライフストリームその物に触れるのは危険であり、その中に落ちた人間は様々な情報や記憶が流れ込んで中毒になる。大企業神羅はそのライフストリームを汲取って『魔晄』というエネルギーに加工し、生活に役立てているが、これは星の環境を不可逆的に荒らしている。アバランチという組織がそれに抵抗して魔晄炉爆破などのテロ活動を行っている。

W
 仮面ライダーW世界の地球でも、内部には星の記憶が存在している。フィリップが星の本棚を通して閲覧できるのも記憶や情報であるという点で、極めてFF7の描写と近い。MOVIE大戦COREではオーズともども地球の内部へもぐりこむシーンがあるが、これもFF7のラストステージが星の体内であるのと著しく似通っている。そして星の記憶をガイアメモリという道具に込めているが、これは数々の事件を引き起こしている。ミュージアムといい、園咲家(実際には存在しない苗字らしい)がそれらを裏で流通させている。

 どちらも、星から何らかの力を引きだしている。

星への転落

 どちらにも星の内部に落ちてしまった人間がいる。

FF7
 神羅カンパニー所属の1stソルジャー、セフィロスは宇宙から飛来した謎の生命体『JENOVA』を研究する内に自分が現生人類ではない古代種であると信じ込み、主人公クラウドの故郷、ニヴルヘイムの住民を皆殺しにして発電所に向かう。クラウドが力を振り絞って反撃したことでセフィロスは魔晄炉へ転落し、肉体を失うが、そのあとにクラウドは記憶が激しく混雑し、自分自身の過去と先輩のザックスの記憶を混同し、1stソルジャーと名乗るに至った。
 しかしクラウド自身も様々な苦難を経験して本来の自分を知らないことに苦しむようになり、やがてセフィロスが肉体を復活させるに及んで世界の危機を経験し、星の中に落ちることになる。そして、ライフストリーム中の記憶を取り寄せて、自分の本当の姿を取り戻す。
 改めて、FF7が緻密なストーリーの元に構成されていることを痛感する。

W
 フィリップはまだ記憶を失う前に園崎来人だったころ、発掘現場から星の内部へと転落し、生身のデータ人間となった。このフィリップの転落シーンが非常に魔晄炉に落ちるセフィロスの姿と非常によく似通っている。
 二人で一人の仮面ライダーであるWに変身するには、自らをデータ化することのできるフィリップの力がなくては不可能である。ちなみにフィリップとはチャンドラーの小説に登場する探偵フィリップ・マーロウから来ており、『おやっさん』こと鳴海荘吉がその名を与えたのだった。

 両人とも転落してから超越的な力を手にするに至っている。しかし正義と悪に綺麗に別れている。
 星を活用して何かを成し遂げようとした悪役は共通している。園咲琉兵衛はフィリップを星の御子にしようとしていたし、セフィロスは星に隕石を落として大量のライフストリームを放出させ、吸収することで神になろうとしていた。この両者の目的は何となく似ている。

ガジェット

FF7
 マテリアはライフストリームの力が凝縮してできた結晶であり、作中ではこれに武器を装着することでキャラを強化することができた。

W
 ガイアメモリも星の記憶を収めた道具であり、これが風都に流通して人間を怪物に変え、様々な事件を引き起こしている。同時に、ベルトに挿入することによって仮面ライダーへの変身も可能にしている。

 どちらも、シリーズの転換点となった作品であり、数多くのスピンオフが作られた点でも共通点がある。
 FF7が星の命運を決める壮大な物語になっているのに対して、Wは最後のわずかな例外をのぞいてあくまでも風都という点の話でありつづけた。ミッドガルも風都も、何か大きな悪の根源となっている土地としては同じものなのかもしれない。

 最近酢にはまってよく味噌汁やラーメンにかけているのは、間違いなくフィリップの影響。