北海学園文学会ウェブエッセイ⑬「遅くなってすみません」
瞼が重くてしかたがない。もちろん病気ではない。睡眠不足だ。
揺れる窓から差し込む光が痛い。
遡ること……とするとどこまで遡るべきか分からないのでこの数日に限って話をする。
昨日の夕方に実家から帰ってきた。そしてその足のまま授業を受けた。授業が終わればすぐに学校から帰り、荷片付けをして今日締め切りの課題をなんとか終わらせ2、3日分の洗濯をした。
怒濤のGWだったし、まぁよく眠れた。
寝付きはそんなに良くなかったが夢すら見なかった。
今年の桜は記録的に早咲きだったそうだが以外とまだ散っていない。
その頃にはもう散りきるだろうと思っていたのによく咲いている。
雨だって降るはずだったのに見事にからっと春らしく晴れている。
そんないい日なのに遅刻した。
アラームが鳴らなかった。
集合場所までは1時間弱かかるから
かなり余裕をもって2時間前にアラームには鳴っていただけるはずだったのに鳴らなかった。
今年1番とはいかないまでも4番目ぐらいには疲れがたまっていたからそりゃめちゃくちゃ熟睡していた。
起きたときには集合時間30分前。
スマホに浮かび上がる今の時刻、そこから自分が置かれた状況を一瞬で理解する。
こういうときの頭の回転の早さには驚きしかない。
まず、予定していた移動方法ではまぁ間に合わない。
どんなに速く着替えられようと、朝御飯を抜こうと、駅まで命をかけて走ろうと。
そして最速の手段、タクシーを使うことが最適だと導き出される。
タクシーであれば30分弱で到着できるがお金がそれなりに必要だ。
アルバイトをやめてじり貧なのでそれはかなりきつい。
今手元にあるお金もGWに祖父母からいただいたものぐらいだ。
しかし、待たせるというのはとても辛いことだというのはよく知っているし予定も狂ってしまう。
みんなを待たせてしまうのは迷惑でしかない。
やっぱりタクシーか……
いや、ここで祖父母からもらったお金をこんなことに使ってしまうのは…………
人間どうしようもないというのがわかると結構簡単に諦めがつくもので、諦めと自分への呆れが入り交じり驚くほどに落ち着いてしまうことがよくわかった。
いや、「驚くほど」ということはやはり落ち着いていないかもしれない。
こんなことを集合場所まで向かう電車のなかで揺られながら書いている。
花見会場まではまだ30分以上かかりそうだ。
追記:この文章は5月上旬に書いたものです。下書きしたものの書き出すに至らず夏レベルの暑さになった今頃投稿させていただきます。この文章を読んで5月頃の記憶をぼんやり思い出すという楽しみ方をしていただければ幸いです。
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