理科室まがった【毎週ショートショートnote】
「凧沢大学、アンカーは赤柿。依然一位を独走中」
今回の鱈箱根駅伝は特別ランナーが参加している。
「後ろにつけているのが関東教室連合の理科室。給水したビーカーを握って走っています」
「道に捨てたら割れますからね」
「被っているのはプリズムですか?」
「直射日光を屈折させて、当たらないようにしてますね」
監督も理科室へ檄を飛ばした。
「汗が酸性になってきたぞ! ペーハー意識して!」
沿道では生徒達が大きなリトマス試験紙を振って応援している。
そして理科室は赤柿の背後についた。風の抵抗力を考えた走法は正に理科室の真骨頂だ。
あと1キロとなった時、理科室は赤柿を抜いて前に出た。そのまま最後の交差点を曲がってゴールするだけだった。大歓声に迎えられる中、理科室は交差点に差し掛かり、そのまま直進した。
「理科室、曲がらない?!」
そのまま失格となった関東教室連合、インタビューでは理科室がこう答えていた。
「歓声が聞こえてきて、その、慣性の法則が……」
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