「アネット」を観に行く

■source:ムビチケサイト
■reason:レオス・カラックス監督最新作

レオス・カラックス監督作品「汚れた血」を見たのが大学2年生の春。どういう経緯でフランスのニューヌーベルヴァーグを埼玉県の下宿〜大学との距離で選択したので、埼京線の駅からはさらに離れたところにあった〜から見に行こうと当時の自分が思い立ったのか、もうその記憶は乱雑なところに放り込んでしまったので取り出しようがない。覚えているのは、「疾走する恋」にやられて当時渋谷駅にほど近い位置にあったユーロスペースから代々木駅まで脳内反芻を繰り返しながら歩いたこと。「ポンヌフの恋人」は就職して2年も立たずに別れた彼女と観に行った。既に破局を迎えていたころに同じくニューヌーベルヴァーグのひとり〜といっても年齢は随分違うし、フランス映画界で同じころにミニシアター系で公開が重なっていたという話なのだが〜フランス映画監督パトリス・ルコントの「イヴォンヌの香り」をいっしょに鑑賞した。映画になぞるように別れのときがきた。パトリス・ルコントは重力の映画監督、と当時考えていた。しかし、「イヴォンヌの香り」の映画内では平行移動で別れが訪れた。そのあたりを境にフランス映画が自分とマッチしなくなり、また、やけに入ってくるフランス映画はコスプレ作品が増加していったこともあって、フランス映画たちと過ごした日々も遠くなっていった。ミニシアターの時代が終息していき、シネコン登場の端境だったのかもしれない。その後、「ポーラX」も「ホーリー・モーターズ」もオンタイムで鑑賞している。それでも、まだまだ青臭い大学生の自分が触れた「汚れた血」のときのような気持ちにはなれなかった。そんなときにカラックス映画祭のチラシを目にし、新作待機、それも主演はアダム・ドライバー。二度見した。触れた機会が大学受験での浪人中にあたるころなのでレオス・カラックスに触れる時期からさらに前になるが、ジム・ジャームッシュに触れたときも大きく影響を受けた。「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は浪人生活を送った新潟市シネ・ウインドで鑑賞し、夜の雪道を意気揚々と予備校の寮に戻った。さて、これよりも好きな作品がジャームッシュ作品にその後あったかと言われるとどうか。公開当時、ドキュメンタリー系の映画についてはなかなか食指の伸びにくく、いつの間にか鑑賞する作品もぼちぼちという形態になっていったが、久しぶりにオンタイムに近い形で「パターソン」を鑑賞し、自分の鑑賞したいものとジャームッシュ作品との歯車ががっちり噛み合う瞬間にひさしぶりに出会った。その「パターソン」にスクリーンにいたのがアダム・ドライバーだ。カラックスの新作「アネット」にて、「かつて愛してやまなかった監督」作品に、「パターソン」同様アダム・ドライバーの姿があることで、また次のステップのカラックスを味わえるのではないかという期待が立ち上ってきた。既に公開よりひと月あまりとなるが、まだ予告すら見ていない「アネット」。公開館もそこそこあるし、このゴールデンウィーク突入前後のところで鑑賞に。

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