「没後二十年メモリアル 新珠三千代・美貌の罪」(6/19〜7/9)@シネマヴェーラ渋谷に足を運ぶ

■source:シネマヴェーラ渋谷で入手したシネマヴェーラ渋谷通信247
■reason:「小早川家の秋」鑑賞以降三千代タンを追いかける日々

今週も鑑賞映画はラピュタ阿佐ヶ谷で旧作二本。特集上映の浜美枝作品「青島要塞爆撃司令」と松竹映画なのに大映の若尾文子?となって女優目的の「涙」。自分よりも年上の人たちが多く、平均年齢を下げている名画座鑑賞であるが、そうしたお兄様がたもすでに生まれていた時代ではあっても公開当時の年齢が高くない世代に突入していて(60年代にティーンだった世代にあたるんではないだろうか)「かつて見た映画が再映されているので懐かしみに来場する」という方も減少しつつある(はず。仮説)。そしてこの方達の鑑賞欲ともまた違うのかもわからないが、このところ旧作を見る際にノスタルジーよりも発見を求めている部分が大きい。どうにもこの感情を適切に文章化できないのでもどかしいが、「あのとき映画を作っている人たち」、スタッフにしろ俳優にしろ、その映画を作っているときはそれが「はじめての体験」なのだということ。数十年前の映画なので過去形で語られるものの、彼らにとっての「現在進行形が焼き付けられて」いて、「未来に何があるのかはわかっていない」存在、スターになったり、廃業したり、死を迎えたり、そうしたものがわからない彼らがその当時の空気とともに存在している。あくまで結果はわからない状態での挑戦の姿がそこにあるのだということ。この21世紀にあって、その挑戦の場面に遭遇したい俳優のひとりが新珠三千代。不勉強な自分は、しかし幸運な時期(アラフィフ)に小津安二郎に触れることになったのだが「小早川家の秋」がもしかしたらファースト小津で、その「小早川家の秋」で、体の線がわかる、というか胸のかたちがよくわかるブラウスに前掛けエプソン姿で父中村鴈治郎にキンキンと詰め寄る養子とりの長女役にひとめぼれ。毅然とした態度を取りつつもラストに見せる姿にぐっともっていかれた。「洲崎パラダイス赤信号」観たときにはそんなふうにはならなかったのに(今見たら落ちるのかも)。「小早川家の秋」以降、三千代タンの名前を見かけて神保町シアターで観た「女の中にいる他人」も今回の特集でかかる予定だが、さて今回はどれにしようかな。

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