やっぱり雑草こそ活用すべき

うちの畑のことについては、今まで自分のまばらな知識で適当なことを同居人に言っていた気がするけど、
これならできる! 自然菜園―耕さず草を生やして共育ち』を読んで、ある程度、体系立てて理解できた気がする。これまで読んだ自然農的な本の中ではもっとも論理的、現実的でわかりやすい本だった。なぜそうするのかという理由が、きちんと書いてあるのがよかった。

この本で実践している農法の基本は「草マルチ」である。つまり、畑に生えてくる雑草を刈り取り、それを作物の下や周りに敷き詰めていく。それにより土や栄養が流出することを防ぎ、保湿をし、その草自体が腐植となることで肥料にもなっていく。もちろん過剰な雑草が茂るのを防ぐという、マルチ本来の役割も果たす。自分も雑草こそ活用すべきと思っていたので、この方針にはとても共感できた。

ポイントは草を抜くのではなく、刈り取ること。雑草の葉の部分をマルチとして使い、根は土のなかに残しておく。そうすることで根が土の中で腐植となって、養分にもなるし、土が団粒構造になるのも助ける。まあ根を残すと草が再生してくるので、草マルチの材料確保にはいいけれど、夏場は毎日のように草刈りをしないといけないのでたいへんかもしれない。でも、根を残すことはこれまであまり意識していなかったし、実践してみようと思った。

肥料は草マルチの上から米ぬかをまけばいい、とも書いてあった。そうすれば畑の上で草ごと堆肥化し、速攻性はないけど肥料分になる。これは簡単だ。未熟な有機物を土の中に入れるのは病害虫の原因となるので、土の上で堆肥化させるこの方法は安全でもある。

肥料分を多く必要とする作物には「クラツキ」といって、定植する1ヶ月ほど前に直径、深さとも20センチくらいの穴を掘り、そこに完熟堆肥を入れて土と混ぜ、場所がわかるようにこんもりと土を盛り上げておく。苗を植えるときは、その上から定植するといいらしい。また「マチ(待ち)クラツキ」といって株から30センチくらい離した場所に同じようなクラツキをしておくと、作物が生育してから根を伸ばして養分を吸える。

植物が肥料を吸うのは地表に近い根のため、深くに肥料を入れても意味がないそうだ。それい加えて、団粒構造を崩さないという理由のため、深く耕すことは推奨していない。いわゆる不耕起栽培である。

なお団粒構造とは、土の粒子が均一になるのではなく、ある程度の固まりを保って存在している状態をいう。団粒構造があることで、「水持ちがよく、水はけがいい」という一見矛盾した状態が実現できる。また団粒構造はマイナス電子を帯びるため、アンモニアやカリウム、マグネシウムなど、プラスイオンを持った養分を吸着し貯蔵するとも書いてあった。つまり肥料分を土の中に長くキープできることになり、それが肥料を多くやらなくてもいい理由のひとつになっている。

この本には代表的な作物について育て方が載っていたけど、それぞれが複雑なので、週末にたまに畑に行くだけの自分には簡単に覚えられそうもなかった。まずひとつふたつから集中してやりたくなる。でも、マルチタスク人間である同居人は「さすがに多すぎるとは思ってる」と言いながら、この本に載っているより多くの種類の作物を同時進行で育てている。

複数の作物を組み合わせて畑を総合的に設計していくのは、なかなか難しいものだと、ようやくわかってきた。そのためのガイドブックとして、この本はとてもよくできた本だと思ったのだった。

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