ゲーマーのわたしが、ゲームを楽しめなくなった話

わたしは、幼い頃からゲームと共に育ってきた。

様々なゲームで遊んできたけれど、RPGなどの1人用よりも、人と人との対戦ものが好きだった。

瞬時の判断、心理戦、勝つための努力、ゲームを通じた人との繋がり。

そのどれもが刺激的で、虜になっていた。

そんなわたしも、社会人になった。

行動に責任が伴い、学生気分で居られなくなった。

拘束時間も増えてゲームの時間も減った。

忙しくなり心にも余裕が無くなってきた。

趣味や恋愛で失敗し、仕事にも影響が出た。

悩む日々が続いた。

そんなわたしが出会ったのは、心理学だった。

有名どころだと「嫌われる勇気」が愛読書だ。今もこの本を読み直して、この文章を書くに至った。

心理学を通じて、物事の本質を捉える癖がついた。

具体的な目の前のことに囚われず、抽象的に考えて、経験を様々なことに活かせるようになった。

視野が広くなると、経験が何事にも活かせるようになり、昔よりもポジティブに楽しく過ごせるようになった。

今までは、どこか他人と差を付けることで、わたしがわたしであることを納得させていた。対戦ゲームに熱中していたのもそうだ。勝つことが大事だった。

とはいえ、ゲームの世界はかりそめの世界。
現実で働いてお金を得ないとごはんは食べられないし、頑張る姿を見せないと愛しいあの子にも振り向いてもらえないかもしれない。

そう思い努力しようとはしても、現実はゲームとは違ってどこまでも非情で、どこまでもゴールが見えない。

結果を出すことに価値を見いだしていたわたしは、行き場所を失い、息ができなくなった。

しかし、落ち込んでいたわたしが手に取った心理学の本によって、大切なのは結果ではなく過程だということに気付かされた。

それは、結果を出すためにはモチベーションが大事で過程を重視しようという話だったり、そもそも人生の結果とは何かを考え直したり、そうするうちに人は死ぬために生きているという考え方を知ったりすることで、わたし自身の行動を見つめ直すことに繋がった。

まずはじめに、楽しむことを始めた。

完璧主義的な考え方だと疲れるし楽しめない。

目の前のことを楽しむことで、モチベーションが続くし、過程を良くすることに繋げようと思った。

そのための見方考え方を勉強した。

たくさんの人と話した。

老若男女問わず、様々な人と会話をし、自分の会話術を磨くと共に価値観を広げた。

その過程でゲームは重宝した。
特に女性と話すのが苦手な自分が話せるようになったのも、ゲームを通じた通話のおかげだ。

今後普通に生活していたら相容れない、女子高生と話す時にも話題の引き出しができた。
既婚者や上司にあたる人と話していても、自分の知らないことを聞き出して、楽しく実りのある会話ができるようになった。

たくさんの本を読んだ。

本屋に出向いて気になった本を立ち読みしたり、信頼している知り合いからオススメの本を聞いたり、気になったタイトルの本を表紙買いしたり、図書館に出向いて普段読まないような難しい本を手に取って、この本を読めるようになろうと意気込んだりした。

渦中でもがいている時には見えていなかったことがたくさん見えてきた。

本質は何かを考える余裕ができた。この記事だってこのブログだってそうだ。とてもいい傾向だ。

とはいえ、実際に何をすれば良いかは未だにわからない。仕事で成果を出すこと、お金を稼ぐこと、生産的に生きること、人と楽しく接すこと。

生きるための目標が分からなって迷走したし、迷走している。

抽象的に考えた時にも、本質を捉えようとした時にも、今やっていることが何に繋がるかがわからなくなってきた。

こうした話を心理士にすると、楽に生きたらいいよと声をかけてもらうことが多くなった。
わたし自身、きっちりしていないと満足しないタイプで、形に拘ってしまう。
だからこそ過程を大事にして楽しく生きることを行動指針としていたものの、結果それが何につながっていくかが不安で仕方なくなる。

わたし自身を客観視した時、何について楽しんでいるのかを考えるようになった。

ゲームであれば、対戦物であれば勝つために努力すること、RPGであれば壮大な世界観や音楽、ストーリーを楽しむこと。

楽しい要素には夢中になれるものの、どうしても完璧主義的な部分が邪魔するのか、客観視しすぎてしまうのか、冷めてしまうことが多くなった。

対戦ものであれば、勝ち負けは相手との技量差でしかないから相手よりも上手かっただけでしかないし、わたしよりも上手い人には負けることもある。
だから相手依存でしかない結果には価値がないし、価値のないものに取り組むのも楽しさを見出だせなくなる。

RPGは年々難易度が下がり、敷かれたレールを走るだけになりがちだと感じた。キッズ向けのポケモンはもちろん、ドラクエでさえ簡単すぎてストーリー攻略については面白さに欠けた。

最近は簡単にできるスマホゲームの乱立、思考力の低下、癒しの意味でのゲーム、難しすぎると辞めてしまうユーザーのことを考えるとゲーマー視点ではとても悲しいが、だからと言って自分自身で楽しみ方を見出していないようで嫌になるので、楽しいところを見つけて大切にするように心がけている。

もちろん、攻略法を知っているからこそ簡単に見えている部分もあるんだけれど、目に付いたことを批判しないことには、わたしが感動した過去の経験がなかったものになってしまいそうで怖い。

こうした時に身についた価値観が、絶対価値と相対価値について。
人も、ものも、他と比較して優劣を付けていては居心地が悪い、みんな違ってみんないいと思えることこそが大事だと思えるようになった。相対価値よりも絶対価値のほうが揺れ動かず、信頼できる。

今はその練習として意識付けしているが、芸術やものづくりはそうした本質を掴んでいて非常に気持ちが良い。
イラストレーターや技術者など、クリエイターに対しての関心が一気に高まった。

ここで、創意工夫が出ることこそ素晴らしいのであれば、結果が出てしまい優劣が出る対戦ゲームは野蛮ではないかと感じてきた。

とはいえ、対戦ゲームの素晴らしさは誰よりも分かっているつもりだ。制作会社が作ったルールからいかに攻略するかを創意工夫するのは立派な人間らしさだし、取り組む過程ではとても熱意があって楽しい。

なのになぜ嫌になったのか?
それは最近はチーム戦の対戦ゲームをしている事が多いからかもしれない。
味方の判断や考えが自分の結果に影響することに対して受け入れる寛容さが乏しい。味方のおかげで勝てている試合があるのはわかってはいるけれど、味方がミスをして自分に影響が出るとイライラするし、逆もそうで申し訳なくなる。
いくら身近な人間であれど、共に戦った後に結果が出てしまうことには変わりない。

最近は楽しむことベースで結果を気にしなくなったが、イライラしたり嬉しいといった感情は変わらず出るし、制御して円滑に人間関係を進めるための技術として勉強した事が生きているとは感じている。
とはいえ、現実ならまだしもゲームまで他人を気にして配慮するのはもう疲れてしまった。

元から一人用ゲームが好きで、カードゲームには熱中して世界大会に何度も出場するくらいのヘビーユーザーではあるが、チームで所属して取り組んだことは少なかった。
コミュニティに所属したりコミュニケーションが苦手なのが大きかったが、最終的には自分が納得した形で取り組みたかったのもあり、必要以上の接触は避けるようにしていた。コミュニティに所属する価値自体は感じていたが、勝ちへの執着が先走ったために輪を乱すこともあった。

人と情報交換をしてストイックに楽しむのは好きだけれど、最後に用いるものは自分で決めたい。その思いと、結果を出してプライドを保ちたいという考えが混じり、特に4〜8年前から取り組んでいたポケモンでは酷く疲弊した。4年前から取り組んでいるスプラトゥーンはチーム戦なのもあり更に疲弊した。

何事もひとつのことに囚われずバランスよくこなすことが大事。対戦ゲームも良い所と悪い所があることを受け入れ、考え方も広く捉えられるともっと良く過ごせるとは思っているが、どうしても気になるところに目が行ってしまうので難しい。

性格的に上手くコントロールすることができなかったのが問題だったのは反省点として挙げられる。今は一歩引いたところで物事を見れるようにはなったが、いつ化けの皮が剥がれるかはわからないもので自分が怖い。

1人用ゲームや1vs1の対戦ゲームも、情熱が失われてしまったように思える。やっていないゲームがどんどん増え、積みゲー化している。楽しむのと過程が大事なので、突き詰めて最終的に結果を出すまでには至らなくても良いと感じている。

そのため、ものごとを最後までこなす忍耐力、熱意が失われてきた。マルチタスクが増えたために脳が衰えているのもある。

この傾向が続くとどんどん悪化していくため、思考力が失われてくる要因になっていて非常に危険だと感じられた。マルチタスクは良くない。

まとめると、ゲームを楽しめなくなったのは、他人との干渉が苦手、幸福の度合いが相対価値に影響している、そして絶対価値を分かっていない、思考力と熱意の低下、この4点が影響していると考えられる。

1つ目は今後とも必要不可欠なので日々の生活から養っていく。
2つ目はそもそも1つ目ができていないし絶対価値もわかっていないと改善点が多くて反省もできないので、1つ目と3つ目を身につけつつ適宜見直して修正していく。ゲームに関わらず相対価値を意識しがちなので様々なことに応用できるように意識する。
3つ目は視野がまだまだ狭いのでたくさん勉強して見つけていく。
4つ目はマルチタスクが原因。日々の生活から改善し、より納得して満足行く生活をこなせるように一つ一つ取り組む。

今後はこの4つを意識して生活してみようと思う。

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