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右回りのラブリイユアアイズがGⅠ級であることをどうしても伝えたい

来る12月12日には今年の2歳戦で初めてのGⅠ、阪神ジュベナイルフィリーズ(以下阪神JF)が開催される。私が推したいのはタイトルの通りラブリイユアアイズだ。それでは推奨理由を挙げていこう。

ラブリイユアアイズのここを見ろ!

クローバー賞のタイム

ラブリイユアアイズは新馬戦を勝った後、クローバー賞を走っている。クローバー賞の設定は以下の通り。

  • 2歳オープン

  • 2回札幌4日目

  • 芝1500m

  • 別定戦(全馬54kg)

  • 11頭立て

  • 良馬場(天候は曇)

ここでラブリイユアアイズは大楽勝の2勝目を手にするわけだが、何と言っても勝ち時計が凄い。2着と0.4差をつけて1.29.1のタイムで勝ってしまったのだ。このタイムがどれくらい凄いかというのは過去レースと比較してみればわかる。

クローバー賞が札幌1500mの設定になったのは1997年のことである。1997年~2020年のクローバー賞の勝ち時計を速い順に並べるとこうなる。

  1. 1.29.3 (イクスキューズ; 2006)

  2. 1.29.5 (アドマイヤムーン; 2005, トーセンラーク; 2014, マシェリガール; 2015)

  3. 1.29.6 (ウインラディウス; 2000, カイザーノヴァ; 2020)

見ての通り、ラブリイユアアイズが出した1.29.1というのはこのレースのレコードである。さらに言うと2歳芝1500mのレコードタイでもある。ここで「ただの高速馬場の恩恵だろう」と指摘が入りそうなので補足すると、確かに1回開催の札幌は高速馬場だったがこの時(2回2週目)はそうでもなく、当日の2歳未勝利では1.31.6、前日の3歳以上1勝クラスでは1.29.3、前日の新馬戦では1.31.4(阪神JFにも出走するウォーターナビレラのタイム)しか出ていない。これを踏まえるとラブリイユアアイズが出した1.29.1という時計は十分評価できるだろう。(余談:ちなみに父ロゴタイプもクローバー賞に出ていて、1.30.0の3着だった)

参考:【注目2歳馬】2歳レコードタイの好タイム クローバー賞を制したロゴタイプ産駒ラブリイユアアイズ

クローバー賞の勝ち方

クローバー賞で評価できるのはタイムだけではない。勝ち方も王者のソレだった。3コーナーから早くも先頭に立ち、4コーナーでは競りかけてくるブッシュガーデンをものともせず、直線は持ったままで突き放し、さらに残り100mあたりの右鞭一発でギアチェンジしてもうひと伸びしている。格が違うと言わんばかりの走りだった。
相手が弱かったかと言われるとそうでもない。クローバー賞3着のカワキタレブリーはデイリー杯2歳S(GⅡ)で3着、5着のキングエルメスは京王杯2歳S(GⅡ)で1着と後の重賞でも結果を残している。

京王杯2歳Sで3着

クローバー賞から2か月半後、3戦目の京王杯2歳S(GⅡ)では0.3差の3着に敗れた。しかしこの結果で評価を落とす必要はないと思っている。まず、そもそも牝馬が京王杯2歳Sで馬券に絡むことがほとんど無い。過去20年でこのレースを勝った牝馬はおらず、馬券内に入った馬すらコイウタアニメイトバイオレーヌミノルアウィルアウェイの4頭だけである。そしてこの4頭のうちスプリント色の強いアウィルアウェイを除いた3頭はいずれも阪神JFか桜花賞で馬券に絡んでいる。父ロゴタイプ、母父ヴィクトワールピサの血統背景をもつラブリイユアアイズがスプリントの馬であることは考えづらく、むしろ距離延長した阪神JFで好走する確率の方が高そうに思える。

京王杯2歳Sの敗因と収穫

京王杯2歳Sの敗因はいくつかあるが、おそらくこの馬は左回りが苦手である。いや、右回りが得意と言った方が正しいかもしれない。とにかく 左回り<右回り であることは間違いないと思う。その理由は手前(替え)と走法だ。

クローバー賞と京王杯2歳Sの映像をよく見比べてみると、クローバー賞ではコーナリング後スムーズに左手前に替え、綺麗なストライドで寄れることなく走りきっている。鞭に対する反応も良い。それに対して京王杯2歳Sではコーナリング後右手前に替えてからぎこちない四肢の扱いで外に寄れながら走っている(前が壁になっていたため外に持ち出したのだが、その後も無駄に外に寄れている)。鞍上の団野が右鞭を11発入れてしきりに左手前に戻すよう促しているがなかなか替えず、ゴール直前でようやく左手前にしてからはやはり綺麗なストライドでもうひと伸びしている。これらを比較すると、どうやらこの馬はなるべく左手前で直線を走った方が良い。コーナリングに関しては特に問題がないので、直線で左手前に替えられる右回りの方が得意というわけだ。

そして上位2頭に比べてラブリイユアアイズはかなり厳しい競馬をしている。まず、右脚が遊んでいる時にゲートが開かれ出遅れてしまった。そのせいでいつもより後ろのポジションを取ることになり、直線に入ってもしばらく馬群に包まれていた。追い出してから外→内と左右に振れながら2,3馬身ほど差を詰めるも間に合わずの3着。上位2頭が前で押し切ったことを考えると差すのは相当難しかったはずだ。迫ってくるコラリンをかわさせなかっただけでも凄いと言うべきだろう。

揉まれながら差しの競馬を経験できたことは大きな収穫だったと思う。折り合い面も問題なさそうなので、200m距離延長の阪神JFでも好位で運んで直線途中まで我慢すれば右鞭一発のギアチェンジでゴールまで伸びきってくれるはずだ。

データの盲点

阪神JFのラブリイユアアイズのnetkeiba想定人気は7番人気である。この馬が嫌われる理由を考えてみよう。まず過去10年データを見ると、阪神JFでの好走馬アルテミスSファンタジーSからのローテを踏んでいることが多く、京王杯2歳Sからのローテはレーヌミノル1頭だけである。さらに1600m以上のレース未経験の馬も4頭しかおらず、前走ファンタジーSを除くとレーヌミノルとクロフネサプライズの2頭のみである。このようなデータを見ると確かにラブリイユアアイズを軽視したくなる。それに加えて他の有力馬と別ローテのため能力比較もしにくいし、血統もロゴタイプの初年度産駒でよくわからない。こういった理由からこの馬の強調材料を見つけられず、見て見ぬふりをするように消してしまう人が多いのではないだろうか。
そこで過去データから炙り出されるラブリイユアアイズの不安要素を大きく以下の2つに分けて検討してみる。

  1. ローテ不安

  2. 距離不安

1のローテ不安(実績不安とも言える)に関してはデータが当てにならないと思う。京王杯2歳Sからの好走馬が少ないと言ったが、そもそも京王杯2歳S経由の阪神JF出走馬が過去10年で5頭しかいない。京王杯2歳Sで馬券内に入った馬に限定するとレーヌミノル1頭のみで、過去データっぽく表記すると「京王杯2歳S馬券内→阪神JFの馬は 0-0-1-0 」だ。不安要素とは言えない。
2の距離不安に関しては上述のように折り合い面も心配ないし、父ロゴタイプは1600m~2000mのGⅠを勝った馬なので本質的には問題ないと思う。1500mのクローバー賞や1400mの京王杯2歳Sではまだ余力を残していそうだったところを見ると、むしろ距離延長は歓迎なのではないだろうか。

データ主義が蔓延しているこの時代、馬券妙味はデータ化により捨象される部分から生まれる。阪神JFのラブリイユアアイズはデータの盲点に位置する馬で、この馬を評価するためにはこの馬自身を観察しなければならない。私はデータよりもこの馬自身の能力を買いたい。

他の有力馬との能力比較

レースは過去の馬と行うわけではないので今年出走予定の各馬との能力比較が重要になってくるわけだが、これはかなり難しい問題である。ラブリイユアアイズは他の有力馬と一度も直接対決をしていないどころか、物差しになりそうな馬すらいない。しかし、重賞好走馬のトーセンヴァンノ、カワキタレブリー、キングエルメスやOP勝ち馬のコラリン、ベルウッドブラボーを下していることから力が劣るとは考えにくい。他の有力馬が圧倒的な勝ち方をしてきたわけでもなく、ラブリイユアアイズは世代最強牝馬の一角と言っていいだろう。

赤松賞を勝ったナミュールは少し不気味である。赤松賞と言えばアパパネやアカイトリノムスメを輩出している出世レースだが、ナミュールの勝ち時計1.33.8はレースレコードであり、前日3勝クラスの6着馬に相当する好時計だった。上がりタイムの33.0も当週同コース最速である(1800mではイクイノックスが32.9を出しているが)。ただこの馬に関してはCデムーロが乗ることもあってか人気になりそう(想定4番人気)なので、妙味も含めて考えるとラブリイユアアイズの方を上にとりたい。

不安要素

不安要素を挙げるなら運と状態と阪神の急坂である。
運要素は知っての通り枠順やスタートや他馬からの不利などである。枠順に関してはどこでも大丈夫だと思うが、デビューから常に外枠を引いているのでそろそろ真ん中ぐらいにしてほしいところだ。ゲートに不安がある馬ではないが、万一大出遅れをしてしまったらさすがに厳しいだろう。不利は考えても仕方ない。
状態も運に近いが、当日の馬体重が大きく減っていたりイレ込みが激しいと好走できないかもしれない。特に馬体重に関しては小柄な割に新馬戦から減らし続けていることが気になるので、できれば+10kgぐらいで出走してほしい。
急坂に関しては問題ないと思う。2歳GⅠなので急坂の巧拙によって着順が変わるとは考えにくく、シンプルに能力が高ければ急坂もこなすだろう。

まとめ

阪神JF
◎ラブリイユアアイズ

結果(追記)

印は以下のツイート通り。○▲の理由は前走のパフォーマンスと外伸びTBの恩恵を受けそうだったため。

馬券は○ナミュールを評価しすぎて複勝しか取れず。。

阪神JFの買い目と払い戻し

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