トナラーってなんだという話

最近、トナラーという単語が話題になってますね。
空いた電車内でわざわざ隣に座ってくる人。話題の中心は、空いた車内でわざわざ女性の隣を狙って座ってくる男性の人。
論争になっているのは「男性はそこまで気を使わなきゃいけないのか」「露骨に避けられたら不快だ」という男性と、「わざわざ隣に座ってくるのがわけがわからない」「脚を開いて座る男性の多いこと」という女性、という構図でしょうか。
なんか、お互い引くに引けない状況というか、文章も読まずにお互いの言い分を聞くターンをすっ飛ばしてしまったがためにどうにもならなくなっていると言うか……。近年のインターネット(特にTwitter)はそういう場面がかなり増えてきている気がしています。Twitter、ギスギスしすぎて見てられないよ。


トナラーって?

ということでまず、トナラーについて簡単に状況を図解してみました。

まずこの画像。

最初から乗っていたのは女性2人と右端の男性。矢印の男性が“トナラー”と呼ばれる人物にあたります。1個右に座ればいいのに、わざわざ左詰めする男性。この状況の車内だとほかの座席も空いている事も想像できるため、「何故わざわざ私の隣に?」と思っても仕方がない、ということをわかっていただけますでしょうか。

そしてこの画像。

最初から乗っていたのは2人組の女性と右端の男性。矢印の男性がトナラーと呼ばれる人物。
言うまでもなく違和感を感じていただけると思います。

3枚目の画像は既にこの状態だった、という場合です。

「そもそも人の間に座らない」という意見も散見されましたが、この状態でしたらどこに座ろうがほとんどの人は何も言いません。

「電車が空いているの定義も人によるだろうが」という意見も多数見受けられましたので、何となくで視覚化しましたが全て私個人の主観になります。スマートフォンで指描きしたので体格などは一切考慮していませんし、男女を青と赤で表現したのもわかりやすさ以上の意図はないと明言しておきます。
座る位置など何も考えていないという人もいるかもしれませんが、「何も考えていない」ことは他人には分かりません。たとえ同性でもガラガラの車内でわざわざ隣に来たら「何……?」と思いますし、それが異性だったら尚のこと警戒してしまう、という話です。

トナラー以前の問題

次に足を開く開かない問題。
前提として足を開く人は男女共にいます。足を組む人も男女共にいます。が、割合として男性の方が多いのも事実だと思います。「飛行機の隣席の人がめっちゃ圧迫してくる」だとか、「肘が肘掛をとびこえてる」、「靴を脱いで裸足を向けられてる」なんて話もよく聞きます。両脇から足を向けられてどうしようも無くなってる方の嘆きも見たことがあります。女性で同様の例を出すとすると電車内でのメイクでしょうか。こちらは同性間でも度々話題になってますね。
要は人にどれだけ気を使うかなんだろうと思います。気を使う人は縮こまって座るし、するとしても最低限周りに影響の出ない範囲でのメイクを。気を使わない人は足を組むし、粉のファンデーションまで使うというような。

あとは座席に荷物を置く人。
男女共にいます。こちらの割合はなんとなく女性の方が多いかな、という肌感覚。

在来線のボックス席で間にキャリーがあって座れない、という写真を見ましたが、どうするのが最適解なんだろうなぁと考えてしまいます。キャリーだけ別の場所に置いておく訳にもいかないし。その場合座らないのが最適解になるんでしょうか?
大きい荷物に関してだけ言えば、言い訳に聞こえるかもしれませんが上の網棚に載せられない人も結構いるんですね。身長の問題で載せようがない。載せたが最後取れないだとか。新幹線での旅行カバンなんかまさにそうです。私も一人旅が好きでよくしますが上にキャリーやカバンを載せられない。だから自分の足元に置いておく。載せたとしても危なくて下ろせないから。気を使って載せてくれる男性も沢山います。自分が先に降りるとなるとわざわざ私の荷物を下ろしてから下車される優しい方もいます。割と切実な問題です。だからといってなんの遠慮もなく他人のスペースを侵害するなんてことは言語道断なのですが……。ボックス席に関してだけはどうしたらいいんだ……?と思ってしまいますね。

どちらの場合も、男女共にやる人はやるし、少し他人に気を使えばそれで解決する問題のような気がします。塵も積もればなんとやら。ほんの少しの善意でも積もれば全体がだんだん良くなるはず。そうすればイライラする人が減り、気遣う余裕も生まれ、といういい循環に入る可能性も高くなります。もちろん自分が気にしているからといって他人を攻撃していい理由にはなりません。


痴漢の話

女性が男性を警戒する理由の例として、私が過去にされた痴漢の話でもしておきますか。

あれは高校1年生の春。入学して2週間が経った頃でしょうか。私はいわゆる低身長女子と呼ばれる分類でして、母校の制服が近隣地域ではかわいいと言われていたセーラー服だったんですね。状況としましては新品同様のセーラー服に着られたほぼ中学生が若干の緊張を残したまま電車通学していたわけです。

だいたいの生徒はA駅で同じ電車に乗り換えるので車内は8割が同校の生徒でした。A駅から次の駅まで約5分ほどでしょうか。事はその5分の間に起こります。スーツを着た20代後半から30代ほどに見える男性。背が高くしっかりと顔を見ることはできません。手すりに捕まり立っているとふと視界の端に異様なものを捉えます。ソレは私の二の腕あたりに触れているように見えました。咄嗟に避けようとするも、車内は都心ほどでは無いにしろかなり混雑した状態。バランスを崩した私は目の前の座席の方に大きく傾いてしまい、手すりを掴んで倒れないようにするのに必死に。結果的には私が突然、混雑した車内で暴れたような形になりました。咄嗟に声なんて出ません。気づいて助けてくれようとする人もいなければ、例えいたとしてもどう助けたらいいんだろうという状況です。パニックになった私はTwitterの相互さんに「誰か助けて、話聞いてくれる人いませんか」と声をかけ、応じてくださった方に意味不明なぐちゃぐちゃなメッセージを送ることしかできませんでした。駅員に言うことも、通報することも、登校後先生に相談することも出来ずに。
「痴漢された」という事実を自分でしっかり認識することになるので、言い出せないんですよね。クトゥルフ神話TRPGで例えるとSAN値チェック後のアイデアでしょうか。多少混乱したまま時間が経てば、脳みそが勝手になぁなぁにしてある程度封印してくれますが、アイデアに成功=誰かに状況を説明すると一気にメンタルを持っていかれます。

リアルな反応として私が相互さんに送ったメッセージが出てくればよかったのですが、とうに消えてました。残念。

その日は部活があったので、帰りの電車は部活仲間と話していることで気を紛らわせることが出来ました。そのお陰で幸い電車に乗ることがトラウマになることも無く、親に報告することも無く、今に至ります。

痴漢は本当にあります。自意識過剰な女の戯言ではありません。友人たちと話していても半分以上は当然のように痴漢された経験があります。私は1回しかされていませんが、それを“運良くまだ1回”と言ってしまうくらいには。私はブツを当てられるという大胆な犯行でしたのでハッキリと痴漢だと言いきれますが、触られただと痴漢だと言いきれない場合もあるでしょうから、身内だけでも件数はもっと多いかもしれません。

おわりに

もちろん、世の男性全員がするなんて思っていません。女性だけが被害者で男性は加害者だなんてことも思っていません。ただ、そういう残念な行動をする男性がいるという事実と、それがどんな人物なのか、誰がするのか見分けることなんて出来ないということ。そういう事があって、知らない異性を多少なりとも警戒するしかない現実を少しでも知ってもらえたら嬉しいです。

まぁ、この文章をここまで読んで理解してくれる人は、そもそも普段から気を使っていたり、理解してくれている人なんでしょうけど。なんて。



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