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親知らずを抜いた

親知らずを抜いた。

生まれて初めて、一本目。

数日前から胸が騒いでた。プチ整形を控えているような気分。だって、自然と生えてきた自分の体の一部を、人工的に抜き取るんですよ。組織まるごと、なかったことにするんですってよ。

痛いのも怖いしね、、、



歯医者に到着した。

腫れますか、どのくらい腫れますか、一週間後くらいに本番が有るんです、大丈夫でしょうか、一応確認と見せかけて最後の足掻き。

簡単だから、大丈夫だと思いますよ、一撃。

はいじゃあお願いします、平然を装い。

こうなったらしようがない。

普段そんなに注目されない口の中に強い照明が当てられ、まぁ口の中が大きなステイジになってしまって、これからその内の不完全な装置が撤去されるそうよ、まあ大変

そういえば、昔の人は麻酔なしでぶち抜いてたわけなのか、、、はて痛みとはなんなのだろうと考えだした。自分がこれから受ける儀式は感覚が麻痺した状態で執り行われるそうで、尚更なんなのだろうと考えだした。



さぁ、ここからは巻きで。

注射器挿入、自分の神経が存在してゐることを確認。

五分置いたらなんやら装置を撤去するためのそれが挿入。え、え、どうなるの。メキメキバリッ

「はいもう抜けたからね〜」

その舞台装置、思ったより造りが脆かったみたい

それは、ついに姿を現した。

でもそれは、ひたすらに自分の体がまだまだ生に積極的だという証であった。



お会計。ガーゼ噛みながら。

ああもう一度みたい、欲しい、生の証。「下さい」って言ったら変人だと思われるのカナ

うんでも欲しい。
もう一度見せていただけますか。あ、貰えるんですか。ありがとうございます。

舞台上では埋もれていたけど、なんだちゃんとそれらしい形をしていた。


帰りの電車は、食道が赤血球フォンデュ



めでたしめでたし。









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