遙かなる時空の中で7【天野五月ルート感想】

※注意※ 幸村ルートのネタバレ 及び 青龍ルートでしか明かされないと思われるネタバレも含みます。






ひとまず幸村ルートネタバレを含む話は飛ばして、先に五月ルート本編の感想からいきます。


五月って、星の一族で術に長けていて、歴史や伝承にも詳しくて、軍配者としての資質すら見せた、すごく優秀な人なのになぜか自己肯定感が低いんですよね。それは双子の兄がめちゃめちゃ優秀だったからだと思うんですが、兄への憧れと嫉妬があるところに追加でかばわれた負い目がプラスされて、いろいろ捻じれてしまったのかなと思いました。本当は甘えたな弟属性なのに、それを隠して無理に背伸びして七緒の兄として頑張ってたんですね。でも乱世にきてから色んな人に出会って影響されて、等身大のダメな自分を認めることが出来たのだけど、七緒はそんな五月の一面を見ても態度を変えないしずっとそばにいると言ってくれる。だからこそ、これからは兄への贖罪ではなく、七緒のために努力して、七緒を一番そばで守っていきたいと思うようになったのではないかと思います。ここから五月の恋が始まったのかなと私は思っています。

そこからの二人のやり取り、すごく甘酸っぱいですよね。めちゃめちゃ少女漫画じゃん…。ずっと一緒にいて本当の兄妹だと思って接してきたのに、実は血がつながってないって分かってからもそれはそう簡単に変わるものじゃないのに、間接キスを気にしたり、発言にいちいちどぎまぎしたり、兄妹のはずなのに兄妹だと思えなくなっていく、そのやりとりが丁寧に描写されていてこっちが顔を赤くしてしまいそうでした。後ろから抱きしめた・抱きしめられたことを思いだして二人して赤くなってしまったり、花輪を小指に送られて本当は違う指がどうたらで二人で意識したり、さつななは可愛いがすぎます。

現代で書物を持ってきたときに、大まかな歴史を知っている自分が戦に参加するべきじゃないと思っていることを話してくれるんですが、ここで五月がすごく優しい人だなと思うんですね。

……わかっているんだけどな。あの乱世で、誰も彼もを救うなんて神様でもないとできないってことくらい。それでもやっぱり、願っちゃうよ。戦も起こらず勝者も敗者も生まれない、傷つくことも、傷つけられることもない世界で……、俺たちの仲間と、その大切な人たちみんなが笑える未来があればいいのにって……夢みたいなことを。

争いごとに関する五月の思いを知って、「乱世も軍配も、本来この人には似合わない。だから、令和の世に一緒に帰りたい」と七緒は思うわけです。中盤で七緒がこう思ったからこそあのラストにつながるんですよね。

このあたり、争いごとをどう終わらせるかをテーマに五月の成長が描かれている思います。最初の頃は、喧嘩の仲裁に入るもうまく対処できず仲間に助けられていましたが、その次では五月の策によって反目していた民衆たちが協力関係になる結果をもたらします。その策は五月一人でできるものではなくて、仲間に協力を頼み、そして結果として誰一人犠牲者を出さずにすんだのですが、そのやり方がとても五月らしく優しくて素敵だなと思いました。

しかしながら、七緒=龍神であり、力を使うごとに人の意識はなくなり龍の姿になることを知ってからの五月は人が変わったようになります。一人で抱え込んで追い詰められていく様子は仲間の目にも痛々しく映ります。別れる前に忠告をしていく彼らがとても年長者でした……。憂う七緒をみてあやめちゃんが「まったくもう、五月さまったら甲斐性のない。大切に思う女性にこんな顔をさせて放っておくなんて…!わたくし、もうかんかんですわ!」って怒ってくれるところめちゃめちゃ可愛いです。

そしてついには現代に軟禁されてしまいます。もうめちゃめちゃ追い詰められてて手段は選ばないって感じだったので、五月に再会したときはどんなヤンデレになってるのかと戦々恐々していたんですが、全くの杞憂でした。しかし結局、力を使いすぎた七緒は龍神になって神域へと行ってしまいます。五月が必死になって七緒を取り戻そうとする様子と、それが誰かも分からなくなっている七緒の様子は見ていてとても切ないです。天野七緒であったことを思い出して地上へと戻ってこられたのは、ずっと聞いていた声で名前を呼ばれたことと、そして持っていたお守りに五月の祈りが込められていたからだと思います。何度でも名前を呼ぶ、何度でも手を引く、幼いころからずっとしてきたように。でも、今は昔とはちょっと意味が違う。ずっと一緒だった二人だからこそのこのシナリオ、とても素敵です。

優しくて、朗らかで、面倒見がよくて、ずるくて、かたくなで、どうしようもなく嘘つきで……、それでも、大切な…私の兄。たったひとりの、特別な人

一人で抱え込んで余裕もなくて切羽詰まって、でもそんなダメなところを喧嘩の仲裁のときのように仲間がフォローしてくれました。五月は人を活かす軍師の才能があるけれど、完璧ではないその姿に、五月自身が仲間から助けられることも多いんですね。間違えて、謝って、仲直りして、変わりたいと願って努力して、そういう人間臭いところが五月ルートでは随所で見られたと思います。最終決戦での五月の台詞が、まさにそのまま五月ルートのことですよね。

神の力で統べられ管理された世界に、確かに戦はないかもしれない。けど、そこには人の意思もない。失敗しても、間違えても、それでも叶えたいと信じることで現実になる祈りもない。あなたに管理されなくたって、人は理想の自分になることくらいできるんだ。


そして小牧の戦いでついに双子の兄・三鶴(三成)と再会します。二人そろった立ち絵みると、衣装の形がお揃いなんですね…!色柄違い……!!三成は釣り目でちょっと話し方が上から目線感あって五月が反感持つのも仕方ない感じしました。でも本当は優しいから冷たいこと言って遠ざけて守ろうとしてるのが後からわかってなんだよくそってなる五月の気持ちすごく分かります。三成が小さい白龍を保護してたところも最終的には五月のためになっていて、クウウウ兄ってやつは!兄ってやつはー!ってなりますね。弟龍が無事に成長して守護を任せられるようになったからこそ七緒は人として現代に帰れたわけですし。ところで池をスイ~って泳いでる弟龍のスチルめちゃめちゃ可愛いです。

そして三成はしばらく現代で過ごした後に乱世に戻ったわけですが。その間の三人で過ごした時間がどうだったのかめちゃめちゃ見たいです。ほんのりワイシャツ来てる写真だけは見れましたけど、いったいどんなやり取りがあったのか……絶対楽しいやつ………。あと私は平川大輔さんのお兄さん声にとてつもなく弱いので七緒君とか呼ばれるとそれだけで照れてしまいます。

ラストのスチル、カフェでお茶してるのに自分のコーヒーそっちのけで七緒にめちゃめちゃ顔近づけてるあたりすごい甘々カップル感あって大変良いです。親睦会の男女比を気にしちゃうところも可愛い…、同じ大学の生徒になって見守りたい……!さつななには一生幸せでいてほしいです。



---------------------ここから幸村ルートネタバレあり---------------------------








先人たちのツイートから天地で対照的なシナリオだというのは知っていたんですが、いやいやいやここまで見事に対極だとは思いませんでした……!幸村ルートが仲間から家族へのストーリーだとしたら、五月ルートは家族から恋人へですね。あんまりにも見事に天地で対照的だったので比較させてください。

七緒の意思を尊重し、それがどんなものであれ応援してそばで支えた幸村に対し、七緒の意思を無視してでも、たとえ離れ離れになったとしても七緒に人としての幸せを与えようとした五月。人が神の領域に上がった幸村と、神を人の側に下した五月。ここ、幸村のスチルは背景が空で見上げていて、五月のスチルは背景が地面で見下ろしていて、スチルまで対照的なんですね……。あとは、兄弟で東軍西軍に別れた幸村、同じ西軍だった五月。兄と仲睦まじく過ごした幸村と、仲があまり良くなかった行方不明の兄を探す五月。最後に初めて七緒の名前を呼んだ幸村と、ずっと名前を呼び続けていた五月。最初から最後まで人々の理想の英雄であり続けた幸村と、何度も失敗しては何度も努力して理想に近づこうとする五月。とりあえず私が思ったのはこのあたりでした。

これは他のルートもとても気になります…!





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