遙かなる時空の中で7【真田幸村ルート感想】

※注意※ おそらく青龍ルートでしか判明しないネタバレを含みます。

こんなに号泣したの何年振りだ?となったシナリオでした。あまりにも色々な感情が渦巻いているので、勢いでnoteを登録し長文感想を書き出すに至りました。この先ネタバレ全開で思いの丈をぶつける文章となります。ご注意ください。

ちなみに一番最初に幸村ルートやりました。後悔はしてません。先人たちの叫びから何があるんだ……と気になって仕方なくて他のルートに進んでも集中できなかったと思うので、個人的には幸村最初は全然ありでした。つまりまだ幸村ルートしかやってません!!!!これ書いたら次に進みます。








「その恋は、運命を超える。」まさにキャッチコピーの通りのシナリオだったと思います。天の青龍であるからにはメインを張るものだと思っていましたがまさかこんな展開が待ち受けているとは…。

龍神の力を使うたびに人としての意識を失い、やがて龍神となり個の意識は失われる。七緒こそが白龍そのものであり、そして世界を救うために、人としての自分を捨てることを決意した七緒。友との約束のために、義を貫き通すために乱世へと戻る幸村。そして史実の通りに大阪夏の陣で討ち死にする。それぞれが人として成すべきこと、これを運命と呼ぶのだろうけれど、それを全うした後でしか二人の恋は叶わなかった。

「姫の望み――、そして私の望みはこの先にこそあるのです」

決戦前、八葉に七緒が龍神であることを告げた場面で幸村はこう言います。本当にこの言葉の通りなんですね。七緒が人であることを選んでも、幸村はやはり義を貫いて討死する。どちらともが同じ決意を抱き進んだ先にしか辿り着けない永遠の神域。ネモフィラの広がる神域はとても美しくて、二人が再会して恋が叶って嬉しくて、紛れもなくこれはハッピーエンドなのだけれど、でも残された人たちの気持ちを思うと手放しで全てを喜ぶことが出来ません。美しくて、悲しくて、切ない。でもだからこそ、とても心に突き刺さったのだと思います。

ところで楽曲の中でも幸村ルートでしか流れない曲があると先人たちのツイートで知ったんですが、そのタイトルが「英雄譚の終わり」。幸村討死の報を聞いた仲間や兄が、幸村について語る際に流れる曲です。敵であった家康ですら、日の本一の兵と称える程の武士。コーエーさんが惚れ込んだ戦国武将「真田幸村」が、英雄としてのその生涯を終えたとき。それを知ったときに心に去来したこの感情をなんといえばいいのか…。燃える大阪城を見ながら空に手を伸ばすスチルずるいですよね、泣いちゃいます。まああの辺りはずっと泣いてたんですけど。あとサントラといえば「この身を光に変えて」。視聴のときから大好きな曲でしたが、これ七緒のことなんでしょうか。人としての意識はなくなり、その身を光に変えて、世界を守る。英雄譚の終わりのあと、その身を光に変えたあと、ようやく二人は結ばれるんですね。

幸村と七緒の間にある空気があんまり甘くはならず、告白も突然だったので、いつから幸村は七緒が好きだったんだろう……って考えたんですけど、きっと最初からだったんですね。初めて会ったときからすでに好きだったのではないかと思います。二回目に会ったときには反物とはっさくをくれるんですが、何を贈るかとても悩んで、七緒に会いたくて龍穴を探してしたくらいですから。幸村は実直な人なので、誰が神子でも真摯に仕えてくれたと思うんですが、でも話の中で「あなたが神子でよかった」って言ってるんですよね。最初から使命を全うしてほしいと言っていた幸村ですから、自分と同じような気持ちで神子として働く七緒への好感度が上がっていくのは当然ですよね。でも告白のあとからは、前よりも近くに寄り添って七緒を支えてるように思いました。誰よりも七緒の気持ちを理解してそばで支えてくれる、似た者同士の二人だからこそのその様子はもうすでに夫婦のようでした。

記念写真のイベントで信幸兄上には気持ちがばれててからかわれてるのも微笑ましいです。信幸兄上に初めて会ったときに「幸村がのぼせあがるのもわかる」って言われるんですけど、そうか、幸村は七緒ちゃんにのぼせあがっていたのか……。もっと男の顔してるところも見てみたかったですね。ラストのスチルの表情やばくないですか?すきです。

あとは花のイベント。天野家の庭の花の話から繋がって、種をあげようかという七緒に対し、蒔いても花が咲くところが見られるとは限らないと言い断る幸村。その次のときに、蒔いた種は希望になると言い種を渡す七緒。さらにその次で共に種を植えます。

……この花が咲くのを私が見られるかはわかりません。それでもこの花が咲けば、弟やこの寺を訪れる者の心を和ませてくれます。心がすさんでしまっても、笑顔を取り戻すことができるかもしれません。今なら……そんな明日も信じられます。

図らずもそれは信幸兄上にとっては幸村の遺品ともいうべきものになったんですよね。

この花のイベントからわかるように、最初から丁寧に描かれてきたものが最後に近づくほどに意味を持って帰ってくるので、えっこれも?それも!?となって心が追いつきませんでした。甲賀三郎伝説は二人を示唆してるんだろうなって思ってましたけど、その通りなら最後七緒が人になって帰ってくると思うじゃないですか…。私この選択肢の結果がラストのbadかどうかの別れ道かと思ってセーブしてたんですよ……、全然そんなことなかったんですけど。あとは贈られたけど受け取らなかった反物が着物になって渡されたり。かぶいていた頃一緒に騒いでた仲間がいまでも信頼関係にあり、その縁で助けられたり。真田家の様子を描いて兄との仲の良さをたくさん見せておきながらの関ケ原での別離・弟が毒殺された過去・幸村自身も人質として故郷にいなかった時期がある・そういった家族との物語を描いた後の、幸村から七緒への告白で出る言葉が「家族になってください」なんです。ここで叫ばないように口を押えました。信幸独白の「河岸の彼方で、人の世では満たされなかったお前の幸せを、お前の愛する家族と共に満たしてくれ」、エピローグの幸村独白「幸せに慣れていない」「願いが叶うことなど今までなかった」って何だろ…と思ったんですが、これ序盤も序盤、イベント4つ目で月を見上げながら話した幸村の願い「家族と共に静かに暮らしていきたい」のことなんですよね。

そんな私が知った、初めてつかんだ幸せが――あなたです。寂しさを埋めるのではなく、喜びを分かち合う、そんな家族を持ちたいとずっと願ってきました。――ありがとう、私と家族になってくれて。

現代で家族に恵まれて育ってきた私にはたったそれだけとも思えてしまうようなささやかな願いが、乱世で義を重んじて生きる武士である幸村には到底叶わない願いだったんですね…。

そして物語の最初からずっと描かれていた「姫」呼び。違和感なくなってたので気付かなかったんですよね。これが最後、遙かな時空を超えて二人が神域で再開するためのキーだった。最後の最後で初めて名前を呼び、そして二人は再会する。最初から最後までしっかりと考え抜かれた美しい物語でした。





でもそれはそれとして、令和でも戦国でもいいから普通の人として結婚して子供産んで八葉やみんなと仲良くしてる二人も見たいです。


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