令和4年度予備試験論文再現答案(刑事実務基礎)

たぬきでありながら弁護士を目指しているめいりです。R4予備試験、最終合格できたので、論文の再現答案全部公開しちゃいますぽん〜

9つ目は刑事実務基礎(民事実務基礎とあわせてA評価)!




設問1

(1)供述証拠の信用性は、客観的事実との整合性や、供述の正確性を誤らせる主観的客観的事情により判断される。

 証拠11から、Bが『A』という表示名の者と3月1日の夜14分間にわたり会話をした事実が認められ、表示名が本人でないことは通常考えられないから、AとBがかかる会話をおこなったと推認でき、これはBの同日Aに強盗を誘われたという供述と整合する。

 証拠12、13からAの部屋から発見されたサバイバルがAの父のものであり、証拠14からBが当該サバイバルナイフを把持した事実が認められ、BがAの父のナイフで強盗をおこなったという供述と整合する。

 証拠12、証拠1からVの被害品はR銀行V名義キャッシュカードであるところ、かかるキャッシュカードがA宅で発見された事実が認められ、Aが当該カードを所持していた事実が推認でき、これはBがAに被害品のカードを渡して、Aがコンビニで現金を引き下ろそうとしたというBの供述と整合する。

 証拠17よりBは被疑事件について反省・後悔していることが認められ、Bが真実を話していると推認できる。

 以上を総合すれば、Aの関与があったという供述に信用性が認められる。

※実際はもっとぐちゃぐちゃだったはずだけど、中身は失念。

(2)共謀共同正犯は、①意思の連絡と②正犯意思があれば認められる。

 証拠11、10から、AがBを強盗に誘い、Bがこれを承諾したことが推認でき、意思の連絡がある。(①充足)

 証拠1、10から、強取されたVの現金は500万円であり、証拠6、7からV名義の口座からは現金が引き下ろされていない事実が認められるから、被害金額は500万円であると認められる。そして、証拠10からAが300万円を分前として受け取ったことが認められるところ、証拠16からAは合計305万円を金融機関に返済している事実が認められ、AがVの現金で返済した事実が認められる。また、証拠12、13から強盗に用いられたナイフを準備したのがAである事実を推認できる。そうだとすると、Aが自らの犯罪として強盗を実行する意思があったと認定できる(②充足)。

 以上より、共謀共同正犯が成立する。

設問2

 裁判所は求釈明(規則208条1項)として検察官に証明予定事実記載書の追加を求めている(刑訴法316条の21第1項)。

 公判前整理手続の趣旨は、公判手続における当事者の立証活動をスムーズに行うため、あらかじめ争点を明確化し、当事者に立証活動の準備をさせる点にある。そこで、裁判所は争点について当事者の立証に必要な事項については求釈明を行うべきである。

 弁護人はAがBと共謀した事実を否定しているから、共謀の有無が争点になる。そして、かかる立証には当事者の主張と証拠の構造が必須である。

 よって、裁判所はかかる記載書の追加を求めた。

設問3

 接見禁止請求(法81条)が認められるのは、罪証隠滅のおそれがある場合である。そして、罪障隠滅の恐れは、①対象、②態様、③主観的可能性、④客観的可能性により判断する。

 罪証隠滅の対象としては、Bの公判廷での供述が考えられる。Aは第三者に依頼してBに働きかけを行い真実に反してAに有利な供述を行わせることがありえる。強盗致傷罪は6年以上の懲役が定められた重大な犯罪であり、争点は共謀の事実だから直接証拠になるBの公判廷供述は証拠価値が高くこれを隠滅するインセンティブがある。そうだとすれば主観的可能性はある。そして、AはBの地元の先輩でありBはAに恩義を感じていたから、Aの働きかけでBが供述をかえる客観的可能性もある。

 もっとも、一旦Bが証人として証言してしまえば、もはや証拠隠滅の対象ではなくなるし、事後的な改変は客観的に不可能である。

 よって、Bの証言以後は接見禁止請求をしなかったと考えられる。

設問4

(1)「やむを得ない事由」は、公判前整理手続で提出することが、物理的に不可能であったり、具体的状況に応じて事後的に証拠提出の必要性が生じた場合に認められる。

 そして、弁護人は証拠10を弾劾証拠(328条)として証拠調べを請求している。すなわち、弾劾証拠は自己矛盾供述に限られるところ、Bの公判廷供述は作業着やロープはAが用意したことを内容とし、証拠10でBは作業着はBが用意したと供述しているから、異なる結論を導き、矛盾がある。よって弾劾証拠である。

 そして弾劾証拠は、公判廷供述との矛盾を前提にするから、実際に公判廷で供述がなされるまでは弾劾証拠になり得るかの判断ができない。よって、弾劾証拠を事前に提出することは不可能である。

 以上より、「やむを得ない事由」がある。

(2)「同意」(326条1項)とは、伝聞証拠として証拠能力を否定される証拠に証拠能力を付与する訴訟行為である。

 そして、弾劾証拠(328条)とは、自己矛盾供述であればその存在自体によって供述証拠の信用性を減殺できることから非伝聞証拠であることを確認する規定である。

 よって、同意の有無にかかわらず、証拠能力が認められるから、「異議なし」と述べた。

以上

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