たぬきの弟子育成講座・行政法

たぬきの弟子育成講座、行政法編です。全5回にわたり、以下のテーマにそって、講義を行います。

⑴概要
①実体的違法性(R1設問1,H30設問2)
抗告訴訟における「違法性」はほぼ必ず出題されるテーマですが、大きく手続的違法、実体的違法、に分かれます。後者はさらに、法律の根拠の有無、法令の要件該当性、裁量権・行政指導の抗弁として分類できます。これを体系順に頭から検討していけば論点の所在をずらさずにすむ点で、体系的理解が肝心です。

②手続的違法性・国賠(H28設問2、H29 設問1)
手続的違法にも、まずは行手法・行手条例の適用を確認し、手続上の瑕疵を指摘、それが取消事由になるかという処理手順があります。
国賠法上の違法性は、受験業界と学説上の通説のギャップが大きいところですので、判例理解においてはすくなくてもそのギャップの存在は意識した方がいいと思います。

③処分性(H27設問1、H23設問1)
実体的審査の前に訴訟要件の充足を確認しなければなりません。訴訟要件の3兄弟には、処分性がみとめられれば、その名宛人には原告適格が認められ、原告適格があるなら事情の変更がないかぎり、訴えの利益が認められる、という関係があります。
処分性は、公権力性、法効果性、紛争成熟性の3つにわけて検討するのが一般的ですが、法効果性にはさらに、外部性、規律性、個別具体性があると考えるとより精密な判例分析が可能になります。

④原告適格(H29設問2、R4設問1)
原告適格は、思考手順・答案の「型」が決まっていますので、確実にマスターする必要があります。名宛人か非名宛人か、非名宛人の場合にはさらに保護範囲要件・個別的利益保護要件へと検討を進めていきます。

⑤訴えの利益(H28設問1)
訴えの利益は原告適格のような処理手順が確立していない分野で、問われたときに論点を見失いがちです。私見ですが、当該処分が法的地位を変更しない場面、当該処分の効果が失われた場面(行訴9条1項かっこ書)、事情変更場面という3つの場面を前提に、「当該処分の法的効果により不利益性が残存し、かつ、回復すべき利益が法的保護に値する場合に、訴えの利益が肯定される」という定式化を提案しています。

⑵講義(動画・資料)

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