令和4年度予備試験論文再現答案(民訴法)

たぬきでありながら弁護士を目指しているめいりです。R4予備試験、最終合格できたので、論文の再現答案全部公開しちゃいますぽん〜

5つ目は民訴法(A評価)!



設問1

1.②の方法について

(1)甲土地総有権確認訴訟が固有必要的共同訴訟に当たるのであれば、Xの構成員全員を当事者にしなくてはならない。そこで、固有必要的共同訴訟と通常共同訴訟の峻別が問題になる。

 この点、固有必要的共同訴訟は当事者適格の問題であり、誰を当事者とするのが紛争解決の観点から適切かという観点で判断される。そして、かかる判断は実体法の処分管理権の考慮を中心にすべきである。そこで、実体法的考慮と訴訟政策的考慮によって判断する。

 総有権は所有権の一形態であり特殊な共有状態であって、それが帰属する個々の構成員には持分が観念されないから、統一的な権利行使が必要である。また、被告の応訴の煩を避けるためには、合一確定が要請されている。

 よって、総有権確認訴訟は固有必要的共同訴訟に当たる。

(2)もっとも、非同調者がいるところ、全員を原告とすることは困難である。

 この点、固有必要的共同訴訟は個人の訴権が制限されるから、緩やかに解すべきである。また、被告か原告かの違いがあっても合一確定の目的は達せられる。そこで、固有必要的共同訴訟でも、非同調者を被告に加えて訴訟提起できると解する。

 よって、Xの構成員らはCらを被告に加え、Yに対して上記訴訟を提起できる。

2.①の方法について

(1)Xが原告となる場合には、当事者適格が認められなければならない。

 まず、Xは権利能力なき社団であるから、実体法上、権利はその構成員に総有的に帰属し、権利の主体でない。もっとも、明文なき任意的訴訟担当として当事者適格が認められうる。

 この点について、弁護士代理の原則や訴訟信託の趣旨を回避潜脱せず、合理的必要性があれば認められると解する。なぜなら当事者適格は紛争解決の観点から判断すべきだからである。

 本件では、②の方法で検討した通り、構成員が訴訟提起すれば構成員全員を当事者にしなければならず煩雑である。そして、Xが原告になっても構成員には既判力が及ぶから(115条1項2号)、応訴の煩もない。そうだとすれば合理的必要性はある。

 そして、弁護士代理、訴訟信託禁止の趣旨は、当事者の保護にあるところ、Xに対して構成員の適切な授権がなされていれば、かかる趣旨には反しない。

 よって、適切な授権があれば、Xは適法に訴訟提起できる。

(2)では、CらはAらの訴訟提起に同調していないところ、いかなる手続きが必要か。

 Xの規約においては重要財産処分には総会による3分の2以上の賛成が必要であるが、甲土地総有権確認は処分にあたらず、むしろ管理行為である(民法252条参照)。そこで、総会による多数決が必要であるというべきである。

 よって、総会による多数決によってXは訴訟提起できる。


設問2

1.本件別訴は、重複起訴禁止(142条)に抵触し、許されないのではないか。

 この点について、同条の趣旨は、被告応訴の煩、訴訟不経済、既判力の矛盾といった弊害を防止する点にある。そこで、当事者及び審判対象の同一性を基準に、かかる趣旨に反しないか実質的に判断する。

 まず、当事者は被告・原告の違いがあるにせよ、XYであり同一である。

 次に、本件訴訟の訴訟物は総有権であり、本件別訴の訴訟物は所有権に基づく土地明渡し請求権であるから、訴訟物は異なっている。しかし、総有権は所有権の一形態であり、所有権は土地明渡し請求権と先決関係にあり、本件別訴を認めれば既判力が矛盾するおそれがある。そうだとすれば、実質的には審判対象は同一である。

 よって、重複起訴の禁止にあたり、本件別訴は許されない。

2.前訴既判力の後訴に対する作用を検討する。

(1)まず、前訴既判力の生じる客観的範囲(114条1項)が問題になる。

 訴訟の簡易化・弾力化の観点から、主文に記載された訴訟物の存否の判断に既判力が生じると解する。

 よって、前訴既判力はXが総有権を有しないという判断に既判力を生じる。

(2)また、前訴と後訴の当事者は同一だから、既判力の主観的範囲内である(115条1項1号)。

(3)次に、後訴の訴訟物は所有権に基づく明渡し請求権であるから、直接前訴既判力によって請求認容になるわけではない。なぜならXに総有権が存在しないという判断はYに所有権があることを当然に意味するわけではないからである。もっとも、Xに総有権が存在しないという判断に矛盾する判断をすることはできない。

(4)よって、以上のような効力を生じる。

以上

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