たぬきの弟子育成講座・7科目版

割引あり

たぬきの弟子育成講座、7科目版です。全36回(基本科目1科目5回×7科目&事実認定講義1回)にわたり、講義を行います。以下のテーマで講義を行います。

1 講義の概要

⑴ 憲法

①平等権(H23)
平等権の2段階審査を扱います。1段階目はそもそも差別があるのかどうかという審査であり、2段階目は差別を正当化する合理的根拠があるかという審査です。2段階目はさらに目的審査をクリアした場合に、比例性審査に進むという多重構造があります。

②自由権総論・信教の自由(R1)
自由権の審査は、3段階審査が基本です。権利の保障範囲を確定し、その制約の有無・程度を論じ、制約の正当化を論じます。保障の程度と制約の程度は相関関係にあり、これによって審査密度が決まってきます。そして、この審査密度を規範においてどのように表現するかは、法令違憲・憲法適合的解釈・処分違憲のそれぞれの場面で変ってくることに注意が必要です。

③表現の自由(R3)
表現の自由においても、間接的・直接的制約の区別はありますが、メインは直接的制約の中での制約態様であり、いわゆる事前・事後規制、表現内容・内容中立規制の区別が重要です。また、表現の自由の保障範囲は判例で徐々に拡張されてきた歴史があるため、これらをフラットに並べるのではなく、保障の中核部分と拡張された周辺部分を意識する必要があります。

④経済的自由(H29 )
財産権・職業選択の自由も、権利の中核部分があります。職業選択の自由であれば「職業」が中核であり、営業の自由は遂行手段にすぎないため、権利の周辺部分にすぎないのです。一方で、従来的な規制目的二分論を採用しないとしても、規制目的をどのように考慮するか、制約態様を中心にみる現在の思考枠組みの中で、どのように位置づけるか明確にしておいた方がいいでしょう。

⑤制度上の人権(H25)
憲法の難しさの根本は、従来のアメリカ的な違憲審査基準論に対し、最近のドイツ的3段階審査論がミックスされて、どっちつかずの判断枠組みが構築されていることにあります。答案においては、ドイツ的な比例原則の枠組みを採用し、権利の性質の考慮の仕方をおさえれば、未知の問題にも対応できるようになります。

⑵行政法

①実体的違法性(R1設問1,H30設問2)
抗告訴訟における「違法性」はほぼ必ず出題されるテーマですが、大きく手続的違法、実体的違法、に分かれます。後者はさらに、法律の根拠の有無、法令の要件該当性、裁量権・行政指導の抗弁として分類できます。これを体系順に頭から検討していけば論点の所在をずらさずにすむ点で、体系的理解が肝心です。

②手続的違法性・国賠(H28設問2、H29 設問1)
手続的違法にも、まずは行手法・行手条例の適用を確認し、手続上の瑕疵を指摘、それが取消事由になるかという処理手順があります。
国賠法上の違法性は、受験業界と学説上の通説のギャップが大きいところですので、判例理解においてはすくなくてもそのギャップの存在は意識した方がいいと思います。

③処分性(H27設問1、H23設問1)
実体的審査の前に訴訟要件の充足を確認しなければなりません。訴訟要件の3兄弟には、処分性がみとめられれば、その名宛人には原告適格が認められ、原告適格があるなら事情の変更がないかぎり、訴えの利益が認められる、という関係があります。
処分性は、公権力性、法効果性、紛争成熟性の3つにわけて検討するのが一般的ですが、法効果性にはさらに、外部性、規律性、個別具体性があると考えるとより精密な判例分析が可能になります。

④原告適格(H29設問2、R4設問1)
原告適格は、思考手順・答案の「型」が決まっていますので、確実にマスターする必要があります。名宛人か非名宛人か、非名宛人の場合にはさらに保護範囲要件・個別的利益保護要件へと検討を進めていきます。

⑤訴えの利益(H28設問1)
訴えの利益は原告適格のような処理手順が確立していない分野で、問われたときに論点を見失いがちです。私見ですが、当該処分が法的地位を変更しない場面、当該処分の効果が失われた場面(行訴9条1項かっこ書)、事情変更場面という3つの場面を前提に、「当該処分の法的効果により不利益性が残存し、かつ、回復すべき利益が法的保護に値する場合に、訴えの利益が肯定される」という定式化を提案しています。

⑶民法

①要件事実的思考・総則(H23)
 民法の答案は要件事実の思考によって大枠が決まります。まずは、訴訟物を考えて、その請求原因、抗弁、再抗弁…などと考えていきます。そして、その要件を判例に基づいて解釈しなければならない場面が論点なのです。

②物権(R1)
 物権変動を考えるにあたっては、2段階で考えるとわかりやすいです。第1段階は意思表示による権利の設定、第2段階は対抗関係です。個別の論点がどの段階の話をしているのかを意識することが肝心です。

③契約責任(H26)
 平成29年改正で大きく考え方がかわったところです。ドイツ法的な「不能」と過失責任によって規律された契約法が、フランス法的な「契約責任」に転換しました。ここでは、いかなる契約上の義務を負うか、そしてどのような責任追及手段が法定されているかを分析する必要があります。とくに前者の契約上の義務といえるかどうかをどのように考えるかは、司法試験でも近年特に頻出ですから、処理手順化する必要性が高いところです。

④譲渡担保(R3)
 担保権と物権の話が交錯する応用的場面です。譲渡担保では、私の自説としては所有権的構成をベースとした折衷説を採用しており、これが判例の結論を一番よく説明できると思います。この観点から、判例を整理し、処理手順を抽出します。

⑤担保物権(R2設問2、H24設問1)
 担保物権を理解するためには、まずは担保としての性質(優先弁済的効力、不可分性、付従性、随伴性、物上代位性)を押さえた上で、次に物権としての性質(2段階の物権変動)し、抵当権や留置権といった個別の担保物件がこれらの性質をどのように修正しているかという視点からかんがえることをお勧めしています。

⑷民訴法

①訴訟物・既判力(R2)、②既判力の拡張(R3)
 民訴法は全体像をつかむことが最重要ですが、私は訴訟の目的が訴訟物たる権利の実現であることに着目した整理がわかりやすいと考えています。そこで、まずは訴訟物がどこまでを指すのかを整理し、次に判決によって確定する訴訟物の成否の判断に既判力が与えられ、その客観的・主観的範囲を確認します。
 既判力は紛争の蒸し返し防止の観点から、訴訟物たる権利を超えて効力を及ぼすべき要請があり、また当事者間を超えて既判力を及ぼすべき要請もあります。第1回と第2回をセットにして、訴訟の効果に着目した整理を行います。

③弁論主義(H28)
 第3回は、判決にむかう審理過程における当事者の活動に着目します。具体的には実体法上の要件事実に即した主張・立証を行うわけですが、これを規律する考えが弁論主義になります。この回は、単なる主張のみならず、証拠との関係で、2段の推定等も扱います。民事実務基礎科目との関係でも重要なテーマです。

④当事者(R4)
 訴訟の開始の場面では、処分権主義に基づき原告が訴訟物たる権利・義務を設定するわけです。第4回では、そのような設定をできる当事者とは何かに着目します。当事者の議論は、既判力の主観的拡張との関係でも重要です。

⑤複雑訴訟(H30)
 特に当事者の複数をメインで扱います。第三者を当事者として参加させるか、従たる当事者にとどめるのか、そして訴訟当事者が第三者を引き込む場面か、第三者が積極的に訴訟に参加する場面かという状況を意識すると、全体像がクリアに見えてきます。

⑸商法

①株式譲渡・共有(H23)、②株式の発行(R4)
 第1、2回はセットの講義として、株式周りを扱います。会社法は登場する主体が多いため、誰と誰の、どのような法律関係なのかを意識することが肝心です。まずは、会社と株主の関係を基礎づける「株式」に着目します。
 株主は会社に対して出資するわけですが、反面、会社に対して株主権を行使していきます。株主権こそが会社に対する支配権であり、この支配権の獲得をめぐって紛争が生じます。

③取締役会・株主総会決議の瑕疵(R1)
 第3回は会社の内部行為です。会社がどのように意思決定をするかは、第一次的には取締役会であり、究極的には株主総会の決議です。総会決議には株主保護のために特別の訴訟(取消・無効確認など)が法定されていることが特徴です。

④競業・利益相反(H30)
 第4回で扱うのは、会社と役員の関係です。会社に対して役員(取締役など)が負う責任の根本は善管注意義務・忠実義務ですが、取締役として会社に対して忠実義務違反の恐れの高い行為には規制がかかります。これが競業取引や利益相反取引の規制であり、予備・司法試験でも頻出ですので、論点の相互関係を体系立てて学習する必要があります。

⑤第三者責任、代表行為(R3)
 第5回は、会社役員と第三者の関係を扱います。取締役の行為によって損害を被った第三者が存在する場合、会社の取締役と第三者は本来なんら契約関係がないので民法的には不法行為責任しかないはずですが、会社法429条は役員の特別の法定責任を定めています。また、取締役の行為が会社に帰属されるなら会社に契約責任を追及できますが、会社に帰属しない行為についても、表見法理などによって責任追及が可能になります。

⑹刑法

①未遂犯(H29)、②因果・故意(H23)
 第1、2回をセットとして、構成要件該当性を扱います。
 未遂犯・不能犯は実行行為性の議論と結びついています。通説にいう「現実的危険の惹起」というマジックワードの下で、具体的な判断基準がわからないままになっている方も多いですが、最近でも繰り返し出題されている重要テーマですので、通説の立場から、具体的判断基準・処理手順を示します。
 次に、実行行為性を前提に、結果発生、行為と結果の因果、故意と検討を進めていくことになりますが、因果関係は説明の仕方はさておき一定の処理手順が確立していますので、これをマスターする必要があります。故意も同様です。

③共犯(R4)
 因果的共犯論自体にも疑問があるところですが、もはや通説となっているので、因果的共犯論の立場から一貫した論述ができることが求められます。因果的共犯論は、もともと狭義の共犯においては混合惹起説としては通説的地位を占めていましたが、これが共同正犯も含めた共犯論全体に拡張されたものです。共同正犯と狭義の共犯の違い、共同正犯の成立範囲の処理手順などについて解説します。

④窃盗・詐欺(H24)
 この講座では、各論分野については財産犯にしぼって解説します。第4回では、占有移転罪を扱います。各論では刑法の文言・要件の解釈が特に重要であり、また規範の文言だけでなく下位の判断枠組みを押さえた方がよい場合もあります。例えば、占有の判断は3つの類型で整理できますし、欺罔行為も3つの要素があります。

⑤横領・背任(H27)
 横領・背任も刑法の文言の解釈が重要です。横領・背任では、行為の主体が誰なのか、つまり当該行為が組織・団体に帰属するのか、行為者本人・構成員に帰属するのか、という特有の問題があります。また、不法領得の意思も一定の処理手順が確立していますので、これを示します。

⑺刑訴法

①強制捜査・任意捜査(H29)、②令状に基づく捜査(R4)
 第1回、第2回は、捜査の適法性を扱います。新たな捜査手法が開発されたときに、どのように捜査の適法性を考えるかは、試験対策として重要です。強制捜査、任意捜査の2段階の枠組みはよく知られていますが、強制捜査であるときにはどのように適法性を判断すればよいのか、整理しきれていない方も多いと思います。そこで、捜査全般の適法性の判断枠組みを示すこととして、判例を整理していきます。

③逮捕・拘留(R1)
 逮捕・拘留は、言うまでもなく重要であり、逮捕・拘留の要件をしっかりおさえる必要があります。逮捕要件の場面としては別件逮捕の論点があり、拘留の要件としては逮捕前置があるなど、論点と要件のつながりを意識することが重要です。

④訴因変更の要否(H29)
 訴因を苦手にしている受験生も多いと思いますが、その理由は判例をどのように整理するかで学説が統一していない点にあります。そこで、特に訴因の特定、訴因変更の可否、訴因変更の要否を中心に、一定の見地から判例の枠組み、判例の結論をうまく正当化できる枠組みをお示しします。

⑤証拠法(H26)
 証拠の適法性は当該証拠に証拠能力があり、証拠の必要性があるかにより判断でき、証拠能力は関連性があり、証拠禁止にあたらないことが必要です。この大枠に基づいて、関連性の論点としては何があるか、証拠能力の論点は何があるか、などと論点の位置づけを明確にします。その上で、とくに伝聞証拠の処理手順をお示しします。伝聞証拠該当性は、供述証拠か、内容の真実性が問題になるかの2段階で検討するという手順を徹底すれば、間違えにくくなります。

⑻事実認定
①刑事事実認定
 刑事の事実認定は、大きく直接証拠型と間接証拠型がありますが、いずれの場合でも、要証事実との関係では考慮要素になる視点に基づいて、証拠から直接認定できる事実を組み合わせて間接事実をつくっていくことが肝心です。
過去問は、R4設問1、R2設問1を扱います。

②民事事実認定
 民事の事実認定は、法律行為の立証を求められることが多いので、書証が決定的に重要です。証拠構造に応じて、4つの類型があり、これを意識して事実認定上の争点を見極めることが肝心です。
過去問は、R4設問3を扱います。

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