たぬきの弟子育成講座・刑法

たぬきの弟子育成講座、刑法編です。全5回にわたり、以下のテーマにそって、講義を行います。

⑴概要
①未遂犯(H29)、②因果・故意(H23)
 第1、2回をセットとして、構成要件該当性を扱います。
 未遂犯・不能犯は実行行為性の議論と結びついています。通説にいう「現実的危険の惹起」というマジックワードの下で、具体的な判断基準がわからないままになっている方も多いですが、最近でも繰り返し出題されている重要テーマですので、通説の立場から、具体的判断基準・処理手順を示します。
 次に、実行行為性を前提に、結果発生、行為と結果の因果、故意と検討を進めていくことになりますが、因果関係は説明の仕方はさておき一定の処理手順が確立していますので、これをマスターする必要があります。故意も同様です。

③共犯(R4)
 因果的共犯論自体にも疑問があるところですが、もはや通説となっているので、因果的共犯論の立場から一貫した論述ができることが求められます。因果的共犯論は、もともと狭義の共犯においては混合惹起説としては通説的地位を占めていましたが、これが共同正犯も含めた共犯論全体に拡張されたものです。共同正犯と狭義の共犯の違い、共同正犯の成立範囲の処理手順などについて解説します。

④窃盗・詐欺(H24)
 この講座では、各論分野については財産犯にしぼって解説します。第4回では、占有移転罪を扱います。各論では刑法の文言・要件の解釈が特に重要であり、また規範の文言だけでなく下位の判断枠組みを押さえた方がよい場合もあります。例えば、占有の判断は3つの類型で整理できますし、欺罔行為も3つの要素があります。

⑤横領・背任(H27)
 横領・背任も刑法の文言の解釈が重要です。横領・背任では、行為の主体が誰なのか、つまり当該行為が組織・団体に帰属するのか、行為者本人・構成員に帰属するのか、という特有の問題があります。また、不法領得の意思も一定の処理手順が確立していますので、これを示します。

⑵講義

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