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「源流はヤミ金」

「融資保証金詐欺だけでなく、あらゆる振り込め詐欺の手口に精通した」

 都内の拘置施設に勾留されている男(52)=詐欺罪で起訴=はこう豪語する。

 「振り込め詐欺が社会問題になったのは平成15~16年ごろからだと思うが、それ以前の社会問題にヤミ金があった」

 法定金利の上限を大幅に超える金利で貸し付ける無許可の金融業者「ヤミ金」の“残党”が始めたのが振り込め詐欺のルーツだという。

 「あるグループがヤミ金で使った多重債務者のリストを利用し、さらに金をだまし取ることを考え、始めた。これが融資保証金詐欺の発端だ」

 振り込め詐欺はヤミ金に続き、大きな社会問題となった。

 「振り込め詐欺をやっている連中も、元ヤミ金出身者が多い。そういった連中が地元のワル仲間を“業界”に誘ってグループを大きくしていった」

 金も高級ブランド品も簡単に手に入るから、なかなか足を洗えないという。

 「オレオレ詐欺や還付金詐欺の場合、1人が1日100~500人に電話するのが一般的だが、電話をかけるだけだから若者にもやりやすい。融資保証金詐欺はダイレクトメールを送って備える“待ち”の詐欺だが、郵送費など軍資金が必要になる。ある程度の組織をつくらないといけない」

 男は自分の共犯だった若者たちを見て、「悪意のなさ」に驚いたという。

 「最初は『だませるのか』と不安があっても、先輩の指導の下、いとも簡単にだませてしまう。自分のやっていることが悪いことという認識がなくなっている。『だまされる大人たちが悪い』と言わんばかりだよ」
「道具屋とは警察が勝手に作った言葉。犯行グループの道具は細分化していて多岐にわたる」

 「携帯屋、口座屋、名簿屋、代行屋、印刷屋、まき屋、転送屋、私設私書箱などだ。こういった連中がグループに群がって犯行を支える。振り込めは大きな産業になっているといえる」

 融資保証金詐欺と架空請求詐欺の場合、ダイレクトメールや手紙を送るため、名簿屋から購入する「多重債務者名簿」が必要不可欠となる。

 「名簿屋は、ヤミ金上がりの若者が店から持ち出したデータを売るケースから本格的な業者までピンキリ。オレオレ詐欺や還付金詐欺の場合、高齢者のリストで十分足りるからさほど重要ではない。最近では名簿屋を使わず、通常の電話帳や電話番号が収録されたパソコンソフトを使って、片っ端から電話する犯人も多いと聞く」

 犯行グループが重宝するのが代行屋だ。

 「箱、いわゆる事務所を借りる際の名義貸しを行う業者だ。手数料は家賃の4カ月分が相場。月々の予算からも上前を取る。だから10件もこなせば相当なもうけになる」

     

 

「被害者の方に申し上げたいことがある」


 男は逮捕されてから、250日が過ぎようとしている。

 詐欺を繰り返す“日常”が一変したのは今年2月27日のこと。日課の朝のコーヒーを飲もうとしたとき、玄関のベルが鳴った。警視庁の捜査員だった。

 「逮捕状が出ています」

 共犯者の供述で、男の関与が浮かび上がったのだった。

 「『あいつ、最近いないな』と思ったら逮捕されていて、私の名前を話していたんだ。私は本名を使っていたから、簡単に分かってしまった」

 詐欺罪での起訴はほぼ終わり、公判が始まっている。

 「私が司法の場で裁きを受けるのは当然。私を失った妻や娘は社会的な制裁を受けた」

それでも男は口を開いた。報道機関にきれいごとを言って裁判所の心証を良くしようとしているのか、改心の一環なのか、真意は分からないが、「被害を抑止することが願いで、究極の目標はすべての詐欺被害の撲滅」と強調する。

 「私は被害者の方に申し上げたいことがある」

 前置きし、語った。

 「だます側も幼稚な手口だが、だまされる側も大人の姿をした幼稚ないじめられっ子だ。普通の社会人ならとても引っかからないような言葉でだまされるわけだから、被害者にも責任はある。この現実から逃げていたら被害の撲滅などありえない。幼稚なトークにだまされてはいけない。自分のお金は自分で守らなくてはいけないと思う」

 だます側がいて初めてだまされる人が生まれる。数々の男の言葉は被害者にとって身勝手な言い分だが、拘置施設で「1番」と呼ばれる男は、それが被害者への「冒涜(ぼうとく)」だと認識している。


犯罪者はこぞって同じ語り口だ…

不倫される側にも問題はある…がいい例だろう。

犯罪はされる側に問題が無い事は大前提だ!!!


私もかつては金融業にお世話になっていた時期があった

(某最大手消費者金融業に約9年)が、

バブルがはじけて不良債権が多発し、

毎週裁判所に通っていた厳しい時期であったが

いわゆるヤミ金ほど酷い業者はそんなにはびこっていなかった・・・

かつてはマチ金なんぞと言われたが、それほど問題になるほどではなかった

ヤツラは違法スレスレの取立てを巧みに行う技術を持っていたからだ・・・

それがヤミ金は全く違う!

明らかに暴力的で威圧的且つ業務の平穏を害する取立てばかりか、

勝手に振り込んで取り立てるなど悪行の限りを尽くすことで巨万の富を得た

そのノウハウがオレオレ詐欺やら振り込め詐欺に発展して言った訳だ・・・

今現在でも一日数十億単位の被害額があると言うが、

上記のような腐った輩がいる限りは、

被害はまだまだ残念ながら続いていくであろう・・・

まだまだ罰則が甘すぎるからだ・・・

昔の同僚(もちろんいけ好かないヤツだったが)がヤミ金に落ちて捕まった時、

一度入ったら辞められないと語っていたらしいのは、

暴力団がバックにいるからだけでない!

その報酬が忘れられないからだ・・・

長くて拘留は半年・・・更には保釈金以上に稼いでいるからだ。

又名義人を他に立てて再建すればいい・・・ノウハウさえあれば・・・

この図式と現在横行する詐欺は全く一緒なのである。

日本人の性善説文化も風前の灯火なのかと寂しく感じる一方で、

司法もシフトする時期が来ているのもいたし方なく思う・・・

裁判員制度導入を期に犯罪を抑止するには、

皆の力が必要不可欠なのである。

2008/11/27
事件(探偵アングル)

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