見出し画像

「パシリ探偵」

クライアントやら友人・知人に至るまで、

聞かれる質問のトップと言っても過言ではないコトに

何か面白い事件とか変わった話・・・がある・・・。

ほとんどは「ねえよ」(友人の場合)

あるいは意外に地味な仕事なんです(知人の場合)

と答えるが、あれは困った依頼だった・・・。

あれは開業して間もない頃の話だった・・・

ある同業の知人からの依頼で

「ちょっと特殊な案件なんだけどやる?」と

振られた・・・

当初貪欲でまだ相談業務には不慣れだったことから、

つい「オレ何でもやるよ」と安請け合いしたコトが運のつき

それがあんなコトになるとは・・・


クライアントは60代の女性で嫌がらせの被害を受けている様子

詳しくは面談にてカウンセリングという事で、

都内の集合住宅へ向かった。

そこで聞いた話は耳を疑う驚くべき内容だった!

要約すると・・・

クライアントが留守にすると

自宅にオトコが侵入し、

金品やら自宅の小物やはたまた下着!まで盗んでいく!!と言うのだ!

ここで私は素朴な疑問をぶつける・・・

「何故警察に被害届けを出さないんですか?」

更に驚愕の言葉を発した・・・

実は・・・


「実は犯人は娘の旦那なんです!」

と・・・

義理の息子さんがですか!?

にわかに信じられない話ではあるが、

ワシらの仕事は事実をクライアントに報告するまでは

否定する理由がない・・・

「そうですか・・・」と

話を全て聞き終え、張り込んで監視するという調査を提案し、

契約を終えその日は帰路についた。

だが調査日当日には、この奇怪な案件にあっさりと解決の糸口が見えてきた・・・


調査日当日:

クライアントが外出する時間に合わせて、

自宅付近にて張り込みを開始する・・・

が、しかし

一向にクライアントは外出しない・・・

三十分後流石にしびれを切らしクライアントに連絡する。

「いかがなさいました?お出掛けはされないのでしょうか?」

と、

すると意外な返事が・・・

「今日は気分が乗らないから止めた・・・」

「え?そうじゃなくて・・・料金発生しますよ?」

というと・・・

「やらないんだからまけて~と言う始末」

仕方ない初回というコトもあるので、

次回は料金が発生する旨を再度念押しし、

現場を離れる・・・

この時点で

「これはかなり怪しいし、ちょっと精神的に弱っているのか・・・」

と気付いたのだがアトの祭りだった・・・

その後2週間毎日のように電話責め…

それもほとんどが世間話に終始する始末。

さて調査はどうします??と言うとまた電話するなんて切られる…

しまいには「私が出掛けられない状態なんだから買い物してきてよ」

「あ、牛乳とパンお願いね」

ってパシリかよ!!

呆れて「私どもが出動するなら料金発生しますよ」と話すと何やら電話口で誰かと揉めている様子。

突然「電話代わりました私娘の〇〇と申します」と娘さん。

「お分かりでしょうが精神を病んでましてご迷惑お掛けします…」という内容。

そこでご依頼が必要な場合は娘さんから連絡を貰うこととした。

これで安心かと思いきや又電話攻撃…これじゃ仕事にならない。

そこで仕方なく着信拒否をする羽目に

これにて一件落着…暫くは業務に流され2ヶ月近く経ったある日

その日は2日連続の不眠調査でヘロヘロになって自宅へ戻り、

泥のように眠っていた。

突然呼び鈴がなり這うようにインターホンに向かい対応する。

すると「電報です」と

「!!」

何か緊急事態かと玄関先へ向かい、

電報を受け取り急いで中身を確認する!

そこには一言こう書いてあった。

「デンワニデロ」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?