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「超美人妻の秘密!?」


季節は梅雨ど真ん中!

悪天候な時ほど印象深い調査が多いものだ・・・

~数年前~

あの調査の初日は珍しく雪が降りしきる中での※立ち張りだった・・・。

(※立ってしか張り込めない状態のコト)

初日の調査からさかのぼる事数日・・・

依頼者は30代の男性、

男性である私が言うのはなんだが、

かなりのイケメンだ・・・

しかも会社経営・・・

羨ましい限りだが意外によくあるケースだ・・・

リクエストはごく普通の浮気調査であり尾行がメイン、

ただ一つ不可解な事を除いては・・・


私: 「・・・じゃあ奥様の尾行をして行動を監視するという事ですね・・・」

依頼者: 「ハイ。お願いします」

私: 「ところで、いつが怪しいとか曜日は特定できますか?」

依頼者: 「ええ、仕事で出ている日が多分怪しいと思ってます・・・」

私: 「そうですか・・・ではその曜日は限定できるんですね?」

依頼者: 「ええ分かります・・・ただ・・・」

私: 「ただ?」

依頼者: 「実は妻の勤務先がハッキリ分からないんです・・・」

私: 「え?・・・そうなんですか?そりゃ又何故ですか?」


話を要約すると実は一年前にも浮気容疑があり、

その時は夫婦の話し合いで終息したのだが、

その後なんとなくわだかまりが残り、

お互いをあまり詮索できない冷戦状態なのだとか・・・。

ただ、何故怪しく思ったのか聞いてみると・・・

仕事の話をほとんどしなくなったのと、

明らかに仕事ではない曜日に派手な服装で出かけたり、

決定的だったのは妻の手帳を見てしまい、

仕事の曜日と時間のつじつまが合わない日がある事が分かったとの事・・・。

まあこんな話も意外とよくあるケースだ。

~中略~

私:「それでは勤務先割り出し後の尾行調査というカタチでやりましょう」

依頼者:「お願いします」

という事で調査契約となった・・・・。

そして調査資料の作成過程において驚きが・・・

写真を見せてもらい、目が点に・・・明らかに普通の写真映りと違う!

私:「こ、これは・・・モデルさん?」

依頼者:「そうなんですよ・・・いやぁ・・・って言ってもその辺の商店の広告モデルとかカットモデルですよ・・・」

私:「納得です・・・」

しばし無言で写真を眺めていると・・・


依頼者:「何か問題ありますか?」

私:「いやぁ~かえって目立つ方の様ですから尾行はやりやすいですよ・・・」

だが調査は思わぬ方向へと展開していく・・・

「調査初日」

昨日からの爆弾低気圧とかの影響(いい迷惑だ)で、

予想通り朝から珍しく雪がちらついている・・・

不幸中の幸い、出勤時間は判で押したように一緒とのこと

どうやら長時間の張り込みはなさそうだ・・・

が、しかし中々出てこない・・・

その間雪はどんどん降り積もる。

自転車で駅まで行くとの情報だが、こうまで雪が降りしきり、

時間が経つにつれ、自転車での可能性は薄らいできている・・・

いつもの出勤時間から20分経過した時、

調査対象者である例の美人妻が自宅から出て来た!

住宅街とはいえ袋小路の対象者の自宅、

出て来る場所は一箇所とタカをくくって通りの先で待っていたが、

自宅から出てすぐ袋小路の方へ歩いていく・・・

ゴミでも捨てに行くのか?

と様子をみていると・・・

「!?」

なんと!

袋小路のドン詰まりの先にあるフェンスをよじ登り始めた!!

「おいおい!そこ行くんか~い?!」

なんぞとココロで絶叫しながら調査員二人で猛ダッシュ!!
(まさかアトを追ってフェンスを登って見つかったら一発アウトだ!)

事前情報で天候不順日はバスで移動とは聞いていたので、

バス停方向へしばらく走ると姿が見えた・・・

息を整えながら対象者に接近し尾行再開!

すると対象者がバス停前の大通りを信号無視して猛ダッシュ!

バスに駆け込み乗車をしてしまう!

我々は流石に後に続くワケにも行かず、

(もちろん怪しまれないためだ!)

予めバス停前に待機させておいた調査車輌に飛び乗る!

取りあえずは予想通り?の動き(ちょっとあせった)だ・・・

だが激しい鼓動は何故か中々収まらなかった・・・。

さて最寄の駅でバスを降りる対象者、

そしてそれに続いて後を追う調査員。

駅の改札を通り、電車に駆け込み乗車はするものの、

こういう動きも対象者のクセと思えば、

さほど撒かれる心配はない!

さて情報どおりならM駅にて下車するはず、

が、降りない・・・「!」

乗り換えて違う路線の電車に乗り、

数十分後のT駅で下車する・・・

「?」

一体ドコへ行くのか?

調査員も一様にアイコンタクトをしつつも「?」の視線が泳ぐ。

駅ビル近くで雑誌を購入し、駅ビルを出て数分歩き、

コンビニで買い物をしてさらに数分歩き、

とある雑居ビルへ入っていく・・・

エレベーターに一人で乗ったためあえて追わず、

降りた階をエレベーターの電光表示で確認する・・・

「・・・5・・・6・・・7」

「七階だ!」

大急ぎでビルから少し離れ看板を見ようとするが死角で中々見えない!

再度ビルに戻ると小さいインフォメーションボードがある。

インフォメーションボードにはなんと!

「ファッションヘルス○○○」

と表記されている

調査員一同

「!!!」

と顔を見合わせ再度このビルの七階に他にテナントがないか確認する・・・

「ない」

皆一様に「まさか」といいつつ私の顔を見る

「何て報告するんですか?」

「ありのまま報告するよ」と調査員に告げる・・・。

浮気調査のための尾行がまさかこんな展開になるとは、

依頼者も夢にも思わなかっただろう・・・。

だが、依頼者の悪夢はこれだけでは終わらなかった・・・

勤務先が判明した場合、その日の夕方には尾行調査が予定されていた・・・。
【この調査は勤務日の帰宅時間のつじつまが合わない事が本筋】

依頼者に電話報告した時には、

しばらく絶句したアト心なしか力無い

「・・・そうですか・・・では・・・引き続き夕方から尾行調査お願いします・・・」

という承諾をもらった・・・。

そして開始前の連絡時に依頼者は

「どうやらその店に勤務しているのは間違いないですね・・・」

と言い出した・・・。

何故ですか?と尋ねると・・・

店のホームページがあって写真が源氏名と共に掲載されていたとの事・・・。

なんとも大胆な対象者だ。

さて夕方になって、依頼者の情報と予想通り出てくるのか?

一時間経過・・・出てこない・・・

やはり勤務先を依頼者に内緒にしているだけなのか?

・・・「!」・・・

多少ヘアースタイルを変えてはいるものの、

対象者が勤務先のビルのエレベーターから出て来る。

すぐさま尾行を開始する・・・

駅ビル内のカフェに立ち寄り軽食を取りながら携帯電話をいじっている・・・。

何かありそうな雰囲気だ。

カフェから出て駅から電車に乗り、○駅で乗り換え・・・

と思いきや、「!」

降りてしまう。

そして駅ビルでウィンドウショッピング開始・・・

これは厳しい!

女性のウィンドウショッピングは調査の鬼門だ・・・

そうも言ってられず、接近して尾行を続行する。

そこからいくつかデパートを出入りして結局映画館へたどり着く・・・

「!ここか!?」

と期待は高まるが結局一人でチケット売り場に行き一人で映画鑑賞・・・

映画が終わってそそくさと駅から電車に乗り、いよいよ帰宅か?と思われたが・・・

途中の駅にて下車!

「いよいよか!?」

と緊張が高まるが、ここでも買い物・・・

そして帰宅・・・

多少安堵しつつ初日の調査は終了する・・・。

一週間後の同曜日
調査二日目


今日は先週掴んだ勤務先からの調査なので気が楽だ。

何せ調査は初動調査で成否の7割は決まると言っても過言ではないからだ。
(少なくともワシ自身はそう思っている)

さて、今回は・・・

出てきた!

調査開始10分も経過していない。

早速尾行開始!

今日は駅ですぐさま電車に乗る、○駅でもすぐさま乗り換え帰りの路線へ・・・

「?」おかしい?帰宅時間にはまだ程遠い時間だ・・・。

すると途中の駅にて下車する。

改札を出ると人待ち顔をし始める・・・

「やはり!」

調査員達の緊張と警戒は最高潮に達している・・・

程なく男性と落ち合う・・・

対象者と男性は微妙な距離感を保って歩き出す。

我々も慎重に尾行を続行する。

まずはイタリアンレストランに入っていく・・・

しばらく緊張が緩和する・・・

この時他の調査員が

「言っちゃぁ何ですけど、おっさんですよぉ相手!違うっぽいっすよね?」

と言ってきた、私も・・・そうだよなぁ・・・とココロで思いながらも、

「何があるか分からないのが調査!先入観は捨てて集中しろ」

と吐き捨て、気持ちを切り替えようとしていた。

程なくレストランから出て街中を徘徊している、

相変わらず付かず離れずの微妙な距離感だ・・・

そうこうしているうちに、バーの階段を降りていった。

「絶対ないっすよぉ、あれは・・・」という調査員の言葉を軽く払うように、

俺は「ある」と見たな、と調査員に言う・・・

コレはある程度探偵をやったモノに備わるカンだ
(もっとも、悪いカンほど必ず当たる)

さてバーから出た二人は終始笑顔だ・・・

そしてまたもや徘徊しながらも

段々とその街のホテル街へと近付いている・・・

調査員全員の厳戒態勢は臨界点だ!

そして、

やはりホテルへと入って行く・・・。

全て報告をし終えて今思い返す事は、

携帯電話などのコミュニケーションツールにより、

個人との距離は凄く縮まっているかのように思える。

(何かあっても携帯に連絡出来る事の安心感がブレーキになり、

かえって緊急時以外に連絡を取らなくなっている・・・)

が、実体は上記の夫婦だけではなく一見便利なコミュニケーションツールが、かえってヒトの距離を遠ざけているのではなかろうか?

そんな虚しさを覚えてしまう調査だった・・・。

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