夏を見つけた話

メモ帳に残っていた夏の話。

↓以下本文

蝉の声が聞こえる。イヤホンで耳を塞いでも否応なしに隙間から流れ込み鼓膜を音で満たしてしまう。
夏に救われたことはたくさんある。じんわりと肌を撫でる風は生きている感じがした。まだ冷めきらない夜道は間違いを許してくれる。遠くの灯りの中から喋り声が聞こえるけれど、湿った空気の中に意味が溶けていく。8月の朝が冷気を帯びて、異世界に繋がる。

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