justice bank
「正しい人間」の模範として生きてきた僕が誰かに殺された。
その事実が僕の心に鋭い傷と肩の動脈に注射された点滴のようなモヤモヤを与えた。
なぜ「正しい人間」の模範である僕が誰かに殺されなければならないのか、「正しく」生きてきた僕にはその「正しさ」に応じた対価が何らかの形で支払われるはずだ。
それなのに僕は殺された。なぜ?これが僕の「正しさ」の対価だとでもいうのか?
いったい僕の何が悪かったのか…。まったく理解できない。
とりあえず現在の状況をオーバーヒート寸前の脳みそを極力落ち着かせながらまとめてみる。
僕が殺されたのは学校からの帰り道だ。
僕は仲のいい友達2人と僕を含む3人でいつも帰宅する。
部活動の後だったので時刻は7時ちょっと前くらいだったはずだ。
激しい熱線の降り注ぐ昼と打って変わって涼しい風がふく快適な帰り道だった。
駅の前の交差点についたころに友達がコンビニに行きたいと言ってきたので、すぐそこのコンビニに寄ることにした。
僕はジュースを買ってすぐにコンビニを出たが、友達はパン選びに夢中になっていた。
こんななんでもない帰り道もいつか思い出になるのだろうか。
ところで伊藤はどこに行ったのだろう。霧島はさっきからパン選びに夢中になっている。だが、伊藤の姿が見当たらない。一緒にコンビニに入ったはずだが…トイレだろうか。
そんなことを考えながらペットボトルのフタに手を伸ばした瞬間。
痛みを感じられなくなるほどの痛みが僕の後頭部を襲った。