見出し画像

人生の最後は何ができる?

職場で聞いた話と妻とたまたま話す機会があったので、書いてみようと思います。

自分は今、病院に勤めております。
今は「緩和病棟」と言って、「ガン患者さんが最後に選択する所」で仕事をしております。

「手術」や「服薬」を試しても良くならない方。
気付いた時には全身に転移してしまった方。
転移した部位が悪くて治療法が無い方。

などなど、理由は様々ですが、なるべく辛くないように、薬(痛み止めや麻酔、麻薬など)を調整したり、マッサージをしてみたり、少しでも楽しいと思えるようなイベントを企画したりしてます。

その人の「人生最後の時間」が、なるべく辛いものにならない様にする事が、自分たちの仕事だと思っています。

…話は少し逸れますが、皆さんは身近に亡くなった人はいますか?
病気だけでなく、交通事故などの予測のできないケースもありますよね。

自分の身近で亡くなった人がいたのは、かれこれ10年前以上も前の話です。祖母の話になります。

祖母は電話をしては「会いたい」と毎回伝えてくれていましたが、当時は遠くに住んでいたのと、毎日部活をしていたので、簡単に会いに行ける距離ではありませんでした。

完全に言い訳です。
電話でも、手紙でも、写真を送るでも、会えなくても出来ることはあったと思います。

それをしなかったのは、
「祖母がいることが当たり前」だと思っていたから。

いつでも会えると思っていました。
そして亡くなった後に、「末期のガン」だった事を知り、祖母も親も、自分に心配かけない様に…言わなかったんだと思います。

不思議なもので、「大切なもの(人)」は、無くなってから気付くものです。
後悔してもしきれない。
今でも良く思い出してしまいます。

話を戻します。
そんな過去なので、
今、自分がこういう職場に関われていることは、何かの縁ではないかと思っています。

そんな職場なので、人の最後の時間を共有出来ることの意味を考えてしまいます。
正直めちゃめちゃ辛いです。

他人とはいえど、たくさんお話しもします。
過去の自分だったら…と重ねて考えてしまうことも度々あります。

若い人は30代前半の人もいました。
まだまだ小さいお子さんで、電話越しに「ママに会いたい!」と話ししているのも聞こえてしまいました。
元気な時は良いのですが、もちろん治療する場所ではないので、日に日に状態は悪化します。
テレビ電話をしていた時間から、音声だけの電話に代わり、電話時間が短くなり、「調子悪いからまた今度ね」とLINEだけになり、スタッフからの電話で状態を知らされる様になっていきます。

そして、最後の日。
パートナー(旦那さん)さんと話し合い、
お子さんには「最後のご本人を見せない」という辛い選択をされました。


これはあくまでも一例です。

他にも最後の日は

大切な家族を失って泣き崩れるご家族。
涙を押し殺し、丁寧に対応してくださるご家族。
優しい目で、ご本人の頭を撫でているご家族。
最後の時間に立ち会えず、最後の状態を聞いてくださるご家族。

「よく頑張ったよ。長い間お疲れさま。」と、声をかけている方もいらっしゃいました。

もし、あなたの大切な方の最後に立ち会えた時、
一番最後に残る感覚は「聴覚」だそうです。

先生いわく、「心臓と呼吸が止まっても、耳だけは聞こえるから、ちゃんと思っている事を伝えてあげてください。」と話ししていました。

もし、可能なら、
大切だと言う気持ちを毎日伝えられたら良いですが…。
大切な人の最後の時間になってから
自分の想いに気がついてしまったとしても、
最後には、その人に「大切だったという思い」を伝えられると良いですね。

長文になってしまいましたが、
もしこれを読んでくださった方の記憶の隅に
おいて貰えたら幸いです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?