レイジングループクリアから半年以上経ち…

過去の感想文を読むと今と変化した部分が多いな。陽明は殿堂入りとして、一番好きなキャラがかみさまと書いてあったけど、今は千枝実です。暴露モードと小説をすべて読んだからかもしれない。最終的に、一番共感して喜怒哀楽を共有できたのが千枝実だった。

・辛い過去を持っているけど、机に向かって勉強という地道な努力で大学進学し前に進もうとした千枝実。でもどこか上手くいかなくて、里に帰っても何か違くて。宴が始まると、都会に出て村とは離れたはずなのに、未だかみさまに支配されている自分に否が応にも向き合わされてしまう。思考停止してかみさまの手のひらで弄ばれる自分。その自覚はあっても、彼女は抗えない。どう抗えばいいかわからない。そして、殺し殺されの繰り返し。

そこで出会う陽明。

かみさまに対抗する神様も持たないのに、あなたは容赦なく、闇に切り込んでいく
わたしには、そんな強さはない。だから、かみさまから逃げ回ってばかりいたけど…
…でも…わたしにも…戦うことができるとすれば…
陽明さんのように、考えること…

信仰を持たない陽明が申内明神を崩すすべは、理屈。それまで申内信仰にズブズブだった村人に囲まれていた千枝実にとって、陽明は光。陽明を受け入れる素地は、都会暮らしで培われていたはず。思考停止をやめ、自分なりの理屈…道理を積み上げていく。それこそ、自分の人生を生きていくということでもある。千枝実が陽明から貰ったものはなんて大きなものなんだろう。良い彼氏だなあ。やつのあんなことやこんなことにさえ目を瞑れば…。

ラスト、タンデム旅行に飛び出す彼女の解放感はいかほどか。ただ、千枝実が背負ってきた信仰というものはとてつもなく根が深いもの。実際、上記の決意のセリフはかなり強い変化ではあったけど、結局事態自体は良くならず千枝実もまた錯乱状態に戻る。千枝実と信仰の戦いは行ったり来たりの繰り返しだ。ラストでは、陽明の神殺しによって完全に決着したようには見えるけど、信仰は消しゴムをかけるように心から消せるものではない。その後の彼女も見てみたいもの。続編〜〜消えた続編〜〜けむこ〜なんとかして〜〜!!

・かみさまは、暴露と小説では結構おちゃらけなところもあって、好きだったポイントの神秘性が薄れてしまったかな。初めはパワーバランスが陽明<かみさまだったけど、終盤は完全に陽明>かみさまになってしまった。カワイイかみさまも好きだけど、薄気味悪くて得体の知れない、陽明を煙に撒きまくるかみさまが好きだったよ!

・李花子さんアンチの毛が強くて笑ってしまった。これも暴露モードやってかなり変化しました。李花子がどんな気持ちで宴をやっていたのか読んだら、印象が変わった。歪んだ形ではあるけど休水の人たちのことを愛しているのかな、と。それにはもちろん憎しみも入っている。その、村人らに愛憎入り乱れた感情を向けている姿になにか美しいものを感じた。