レイジングループ感想《ネタバレ全開》

私の「こんな話が読みたいな」がギチギチに詰まったミラクルゲームでハマり過ぎてこの数日体調おかしくなりました。

どこから語ったらいいんだろう…

■主人公の魅力

房石が好きすぎる。本当に嫌な男。大きな声でこの主人公が好きって言いづらい。いい趣味ではない。

房石の魅力とは。

-悪い男である

思い切り愛されたい、でもどこか振り回されたい。そんな退廃的でマゾな欲望を密かに抱えている女性は少なくない、ていうか自分。その隙間を縫い現れる房石という邪悪。

たしか千枝実の前には13人と付き合ったという台詞がありました。これ何歳の時点からカウントしてるんだろうな。たぶん物心ついたころからあれこれ途切れずやってる人間でしょう。

リアルでこういう男と恋愛関係になると本当に辛いだけなのでこの感覚がゲームで味わえるというのは私にとって幸福でしかない。房石が女性を暖かい気持ちで心から愛すことはほぼないと思う。彼にとって恋愛=面白い、刺激、未知。恋愛=平穏、愛、永遠ではない。千枝実がミステリアスな部分を残さず自分の全てを房石に出してマンネリになったら、房石はすぐに彼女への興味を無くすだろう。とはいえ千枝実は動物的というか他人が制御し切れない何かを持ってる面白い子なので、いつまでかはわかりませんが続くには続くだろうな。房石にぴったり。あいつらスポーツみたいに性行為してそう。

そんな女の扱いがわかっているチャラ男房石でも、筋は通すところがある。

彼にとっての筋とはひとつのループではひとりの女性と付き合うこと。でもループ終わったらそこはリセットかなみたいな、この、ある程度飲めるけどでもクソだな〜って感じがたまらん。筋を通す理由も相手のためっていうか自分で作ったルールなんだろうな。

-賢い。しかし危うい

上であれこれツバ飛ばしながら語りましたがまず第一に彼のチャームポイントは賢さだ。でもその賢さっていうのは賢人とかそういうんじゃなく、もっともっと小手先の小賢しさ。本当の賢人は橋本さん。

理屈の人間でよく口が回る。でもどこか煙に巻いてくようなとこがある。即興性はバツグンだけど長い目で観察しているとどこかほつれが見えてくる…彼の印象はそんな感じです。つまり人狼で強いタイプ。

-狂ったモラルだが社会というものはわかっている

自分を客観的に見る能力に長けているので自分の狂気と社会のすり合わせが巧み。狼ルートで「倫理観はまわりの人間に合わせるからまわりが狂うと困る」みたいな台詞がありましたね。ボクシングって、慣れてない人がいきなりやっても良心のブレーキがかかり人を思い切り殴ることができないそうです。でも房石は殴れそう。そういうキンキンに冷えたものを持ってる主人公。

バイク壊して村に入って、なんだおまえは?みたいに見られてもキチンと自分のことを説明して謝罪する、とかさ…そういうことをできるけどでも房石の行いにはどこか何かイヤなものが常にある。橋本さんみたいに爽やかではない。

房石と橋本さん、両方とも頭の良い人間と言っても、そういう陰と陽の対比があって、人狼ルート楽しかったです。

-イラストの若干たれ目の優男感がほんとザって感じで、ほんと…

-元カノは可愛い系を勝手に想像してたけど超マスキュリンなあの人という衝撃の結末。狂った男にはあれくらいじゃないと釣り合わないんだなあ。なんかもうゲームなのにリアル恋愛を見た気持ちになりました。

-りかこと一瞬エロゲになった時もキチンと行為を止めてて、良かった。良かったァ〜〜ッ!主人公として越えちゃいけない線として、それは当たり前ではあるのですが、当たり前を当たり前に描写されるって良いですよね。房石ならああいう機会はいくらでも他に持てるもんね。大人の余裕だね。イライラ

-冒頭の千枝実との飲みで巧みに距離を近づけていく感じが生々しくて本当にイヤです。会話のノリこそオタクですが、ああいうやりとりは、リアル男女間でよくある(と思う)。千枝実も房石のノリにうまくついて行くからあんまりヤバい風に見えませんが、男性経験の少ない純粋な女の子ならあの場で食われてます。コワ〜〜〜〜

-一番大事なことを言い忘れてました。房石!!かっこいい!!!!かっこよすぎる!!!!!!大好きだよおおおお!!!

-最初のルートのラストの、付き合おう、いいよの流れがきゅんきゅんで夢中になったので、りかこルート始まった時は目をひん剥いたのですが、最終的にはきちんと千枝実に収まってよかった。あのまんま各ルートで色んな女性に手を出してグダグダで終わる…とかじゃなくて本当によかった。単なる人狼ゲームを期待してたのでこんなにきゅんきゅんだなんておばさんびっくりしちゃったよ。ふたりでツーリングのエンド大好き。あー楽しい。あー房石かっこいー


■千枝実

設定で、千枝実の脚は筋肉質で太いというのがある。そういうとこすごく好き。山奥育ちのたくましい彼女。自然のなかで育った彼女の精神性はどことなく都会の若い女の子のそれとは違うもの。

千枝実もどこかぶっ飛んでる人で房石に近いといえば近いけど、千枝実の方が弱さがある。房石と違って死ぬことに疲れてたもんね。そこがヒロインらしさで、房石と立つのにバランスがいい。でもたぶん最後に立つのは房石でなく千枝実なんだろうな。

■かおりさん

心に残る人。鬼子母神。ダンサーインザダーク。かおりさんの行動は常にとても理解できた。

泰長と義次が、どちらがよりかおりさんに愛されてるかされてないかみたいなので口論して、泰長が「僕ができるのは将来お金稼いでお母さんに恩返しすることだけ」みたいな超具体的なことまで口にして、「何を2人で話しているのか、くだらない」と一刀両断する下りが好き。ほんとうにくだらないよ。その通りだよ。泰長がなにかと「お母さんは弟の方が好きだから」と口にするから何か複雑な背景があるのかと思ったけどそういうんじゃなかった。かおりさんにとっては2人とも可愛い我が子でしかない。それは息子2人にうまく届いてないかもしれないけど。愛おしい3人家族でした。

■泰長

かわい〜〜〜ってずっと思いながらプレイしてた。笑

こういう礼儀正しい賢い男の子って、可愛くて可愛くて…

エクストラでは間宮さんと仲良しでした。間宮さんに完全に感情移入、、でもあれは本当の恋愛じゃなくて仕事に疲れた人間のあくまで擬似ですねえ笑

■義次

マヨネーズ

■春ちゃん

かみさま。この作品で一番好きなのがかみさまです。房石は好きすぎて一番とかじゃなくて私の心の殿堂で暮らしてます。

不気味で、掴みどころがなく、どう転んでいくのか全く読めないミステリアスさがたまらなかったな。あの言い回しがたまらなかったな。これは、これはこれはこれは。そして春ちゃんが子供の時に考えたという包帯ぐるぐる衣装がかっこいい。狼ルートで夜にかみさまがやってくるシーンは夢のように楽しかった。かみさまのすべてにわくわくしたわ。ありがとうレイジングループ。

春ちゃんがなぜかみさまになっちゃうのかの下り興味深かった。神様というのは人の頭の中におり人を介して移動していく。それはつまり、知識とか言葉とかなんでもそうだけど、そういうのをわかりやすくおもしろく描写したのがこのむじなのかみさまなのだと解釈した。

■もっちー

もっちーの女装で「このゲーム、奇抜な題材がウリだけの作品じゃない…!?」と一気に引き込まれた。彼の女装はショタの文脈にあるものじゃなくあくまで奇人のそれなんですよね。似合ってないし、髪型そのまんまの短髪で、腕にそれなりに筋肉あるし。あと全身絵だとあのワンピに便所サンダルみたいなの履いてるのも最高すぎる。ホントにヤバい人じゃん。こえーよ。いいキャラだった。

■巧にい

面白いという意味で、イヤーなキャラだったなあ。彼のプライオリティは村の団結にある。それさえ満たされればなにかおかしいところがあっても盲目的になる。その描写がグロテスクで怖かった。その愚かさが村コミュニティに属す人間としてリアルだなと…。いや、愚かというのは正しくないか。人狼ゲームやる上では弱点だけどひとつのコミュニティを保つには彼みたいな人が必要。(みたいな下りが話にありましたね)

日本人らしい人とも言えるのかもしれない。彼は日本の大企業とか向いてるかもしれん笑 めっちゃ真面目に会社のために働きそう。そして集団に属する上での様々な理不尽があってもうまく乗り越えてそう。

■寛造じいさん

口癖がンなのがたまらん。ンの度に笑ってしまう。わかる。こういう爺さんいる。

房石の茶髪に否定的な多恵バアに対して、街の若者はみんなこんなもんだろ、と許容する寛造じい。すげ〜〜こういうじいさんいるよね〜〜っていうか実生活でお年寄りに同じこと言われたことあるわ!笑

最後までカチカチに固くて、漫画的な主人公にデレとか無く、ギャグも無く、すごくよかった。レイジングループの真の魅力は寛造じいと多恵バア。

2つ目のルートで、房石に死んでくれと頼み、酒を勧める下り面白かった。

■多恵バア

寛造じいは頑固だけど案外柔軟で話が通じる一方、多恵バアは…っていう対比がまたリアル。

もう新しいことは受け入れられないし、こういうおばあちゃんを納得させるには、あれこれ理屈を伝えるより神騙りエンドがベター。そう思うとなんてきれいな結末だろう。

最初のルートの最後、狼が出たときのあの一枚絵の多恵バアの表情がやばい。これでいいんだと。これでこの村も安泰よねえと。いるよねこういうおばあちゃん。

■能里さん

初登場時にめんどくせ〜のが出たな〜ありがちなイヤミキャラで文字読むのもめんどくせ〜〜とか思っちゃってゴメンなさい。

都会で学問納めてきたということでやはり村の住人とは違う。啓けている。

■りかこ

りかこさん、私としては房石と恋愛して欲しくなかったんだよな…りかこさんが房石に惹かれるのはわかるのですがあそこまでぐいぐい行かずにうっすら恋愛感情くらいがよかったなあ。

利他主義のりかこさんが素敵で、この血を血で洗う人狼ゲーム上でとても美しく見えたから最後の展開は残念だった。ああいうわかりやすい漫画的な狂人演出は、これまで丁寧に人間を描いてきたストーリーの中で浮いてるように感じた。りかこさんが背負っているものに対しては、非常にセンシティブな題材でもあったし、丁寧な感情描写による結末が用意されていて欲しかったな。

■めー子

散々言われてることですが、人狼ゲームの上では幼児は扱いに困るというめー子の立場が面白かっただけにあの設定が残念で、あれこれ考えてた時間〜〜と思いつつ、製作者の方としてはこんなヒット作になる想定ではなかったそうで、そういう小規模な環境で作られたからこそのレイジングループの面白さのはずで…

完全読本の短編小説の最後の下り面白かったな。房石やばい。

■久子さん

ミステリーモノにはよくいるなんてことなさそうなキャラなのに、魅力的な久子さん。能里さん以上に常識人で、この人がいると外の空気が入ってくる感じで面白い。

フワフワしてる房石と村人たちと、真っ当な社会人である記者2人の対比がとても面白かった。その2つの立場が違和感なく画面で成立するってすごいのではないかと…。パーマンと進撃の巨人が違和感なく共演みたいな?違うか

■橋本さん

いるよね〜こういう人格者っていう。橋本さんは言い回しが絶妙。私はボイスオフでプレイしたんですが勝手にあたまに流れてくる笑 それだけ臨場感ある台詞たちでした。

橋本さん参加の宴をもっと見たかった。完全読本の小説面白かったです。優しい狼。。