TOD対戦虎の巻 ~今日から使える基礎知識~

※この記事はタイパー Advent Calendar 2021の7日目の記事です。
6日目の記事は「かり~」さんの「タイパーインタビュー14:とるてぃさん」です。
8日目の記事は「donuts」さんの「2021年のタイピング、マイ運指の変遷」です。

はじめに

こんにちは! たのん(@tanon_710)です。
この記事では、往年の名作タイピングゲーム「The Typing of the Dead(TOD)」の対戦モードにフォーカスし、TODの基本的なシステムから対人戦の戦略や対戦時に意識すべき点まで詳細に説明を行います。
記事の性質上、どうしてもTODを遊んだことのある方向けの内容にはなってしまっていますが、TOD経験のない方も、TOD対人戦の奥深さを感じとっていただけたらと思います。

TODについて

(以下、文章で長々とTODの紹介を書いていますが、こうしたゲームの紹介は動画を見るのが手っ取り早いです。池袋のゲームセンターでのTOD対戦の模様がYouTubeにアップロードされていますので、ぜひこちらをご覧ください)

The Typing of the Dead(TOD)は2000年にSEGAがリリースしたタイピングゲームで、同社のガンシューティングアクション「The House of the Dead 2」をタイピングソフトとしてリメイクした作品です。

TODは全6章の面クリア型ゲームとして構成されており、章のラストに待ち構えるボスを倒すことで次の章に進むことができます。
プレイヤーはいくつかのライフを持った状態でスタートし、敵キャラクターの攻撃を受けるごとにライフが1減少します。ライフが0になるとゲームオーバーとなりますが、この際にコンティニューを選択することで同じ地点からゲームを再開することができます。
序盤は短いワードが大半を占めますが、終盤になるとローマ字で20~30文字程度のワードが登場するようになるため、章が進むごとに要求される打鍵速度が速くなっていきます。
道中にはバリエーション豊かな敵キャラクターが登場するため、一般的なタイピングゲームとは異なり、同時に複数のワードが表示されることがあります。また、各所に特殊な効果を持ったアイテムが配置されており、アイテムの中には表示されるワードに影響を与えるものもあります。
どのワードを優先して打ちにいくか、またアイテムを取りにいくかどうかの駆け引きはTOD対戦の魅力のひとつです。
また、各章のラストに待ち構えるボスはそれぞれ異なる特徴を持ち、ボス戦では基本的には同時に表示されるワードが1ワードだけになります。
画面に複数のワードが表示される、というのはTOD特有の要素で、複数のワードをあたかも1つのワードであるかのように認識し切れ目なく打つことができるかどうかが、対戦において重要になってきます。

TODはタイピングゲームとしては珍しくゲーム性が強く、画面のさまざまな場所にワードが表示されたりワードの表示枠が移動したりと、TODに慣れていないとワードを認識するのにも一苦労します。
また、タイピングゲームとしては非常に古いということもあり、基本的には「ん」のxn打ちや「か行」のc打ちに対応しておらず、ワードの表示位置やフォントの関係で文字が潰れて読みづらいということも多々あります。
こうした要素はTODをひとりで遊ぶ際にはストレスになりかねないのですが、対人戦においては純粋なタイピング技術を埋める要素として機能し、結果としてTOD対戦の魅力を高めています。
特に、ワードの表示位置を正確に把握しているかどうかはTOD対戦に大きく影響を与える要素で、一部のワードでは表示位置を把握しているかどうかでワードの認識に1秒近くの差が付くこともあります。

次項から、TOD対戦の基本的なルールや仕組み、対戦において意識するべき部分や戦略などを見ていきます。

TOD対戦の基本的なルール

TODは各章ごとに、取得したワード数や正確性、取得したアイテムなどからポイントが計算されるのですが、TOD対戦では獲得したポイントの大小で勝敗を決定します。
よくある対戦型のタイピングゲームとは違い、取得したワード数のみで勝敗が決するのではなく正確性やその他の要素が影響してくるのがTOD対戦の面白いところで、これにより対戦時にどのような戦略を取るかという幅が生まれています。

ポイントは以下の要素を元に算出されます。

[プレイヤーごとに計算されるポイント]
・ワード打ち切り時の速度(ランクに応じてポイントが変わる)とワードの基礎点(ワードの長さに応じてポイントが変わる)
・アイテムの点数
・ライフ最大時のライフ回復(ライフボーナス)
・正確性に応じたポイント
[両プレイヤーに共通して計算されるポイント]
・各章クリア時のポイント
・市民救出時のポイント
・ミッションクリア時のアイテムによるポイント
※ミッションクリア時のアイテムのポイントは本来なら両プレイヤーに加算されるが、バグがあり1P側のみに2つぶんのポイントが加算される。このため、1P側・2P側の選択により擬似的にハンデをつけることができる

[参考]
http://www.umekkii.jp/data/application/tod/point/
https://web.archive.org/web/20150904224011/http://www.geocities.co.jp/Playtown-Toys/7456/todscore.html

ワード打ち切りのランクによるポイントはAランクで35点、以下B・C・D・Eランクもありますが、タイパーどうしの対戦であれば基本的にはAランクしか出ないと考えて問題ありません。
またワードの基礎点はもっとも短いもので10点、以下ワードが長くなるごとに12、15、17、20、25、30と増えていきます。このうち、基礎点が25点以上のワードは特定の場所でしか出てこず、10・12点のワードもほとんど出てこないため、ワードの大半は基礎点が15~20点となります。
このことから、対戦時には1ワードにつき50点程度加算されると考えてよいです。
このほか、アルファベット1文字のワードは一律10点で計算され、各章につき20ワード程度は登場するため、初速差がある場合などは無視できないポイントになります。

アイテムによるポイントは、ペンダントが50点、ダイヤモンドが100点と、それぞれ1・2ワードぶんの得点になります。また、ライフが最大のときに何らかの手段でライフを回復すると150点のポイントが加算されます。
終盤はライフに余裕がなくなることが多いためあまり意味がないですが、序盤・中盤はライフ回復のポイントを狙える場面も多々あるため、意識すべき要素になっています。

最後に、正確性に応じたポイントは100%で1200点、98~99%で800点、96~97%で600点、94~95%で400点、91~93%で300点、86~90%で200点、81~85%で100点、それ以下は0点となっています。
特に目に付くのは正確性98%以上のポイントの高さで、多少の速度差がある場合でも、正確性を高く保つことにより前述のライフ回復のポイントとあわせて取得ワード数の差を埋めることが可能になります。
例えば、相手の正確性が94~95%、自分の正確性が98%~99%であれば、ライフ回復のポイントを2回取れたとすると700点(14ワードぶんの得点)の差をつけることができますし、もし正確性100%にできれば1100点(22ワードぶんの得点)の差をつけることができます。これだけ差をつけることができれば、よほどの速度差がない限りは勝利を収めることができます。

また、アーケード版のTODの仕様として、エスケープキーを押すと直前に打っていたワードでのミスをなかったことにできます。これを利用することにより、ライフ回復のポイントを狙うことが少し難しくなるものの、正確性を高く保つことができます。

対戦時に意識すべきこと

次に、TOD対戦時に意識すべきことを、箇条書きでまとめます。

・ワードやアイテムの表示位置とタイミング
・相手との相対的なポイント差(取得ワード数の差とお互いの正確性)の把握
・同時に表示されるワード数が偶数か奇数か
・同時にワード表示されたときに、相手がどのワードを先に打つか

ワードの表示位置とタイミングを覚えることはTOD対戦における最初の関門で、TODに慣れているプレイヤーとそうでないプレイヤーとでは、ワードを打ち始めるまでに体感で0.2秒程度は差がつきます。タイピングにおいて0.2秒の差は大きく、ローマ字8文字程度の長さだと200kpm、ローマ字16文字程度の長さでも100kpm程度の差が生じてしまいます。
このため、TODに慣れたプレイヤー(や初速の速いプレイヤー)はTOD対戦において優位に立つことができます。

また、相手との相対的なポイント差を把握しておくことも重要です。
正確性に応じたポイントの配点はかなり大きいため、お互いの正確性をアバウトにでも把握しておかないと、取得ワード数では上回ったがポイントでは負けたという事態が発生しかねません。

そして、同時に表示されるワード数が偶数か奇数かを意識することも、ワード差をつけるため、あるいはワード差をつけられないようにするために重要になります。
相手が自分よりも速い場合、ワード数が奇数の場合はどうあがいてもワード差が生じてしまいますが、ワード数が偶数の場合は相手と打つワードを変えることによりワード差をつけずにすみます。
逆に自分が相手よりも速い場合、ワード数が偶数の場合は相手と打つワードをかぶせることでワード差をつけることができます。
また、相手が最初に打つワードの癖を見抜くことができれば、打つワードをかぶせる、あるいは打つワードを変えるのが容易になるため、余裕があれば観察してみるとよいです。

また、ワード数の偶数・奇数の話に関連したこととして、TODの各章には、複数回ワードを打たないと倒せない敵が2体同時に出現する地点がいくつかあります。こうした敵は本来なら同時に表示されるワード数が偶数になりますが、片方のワードだけを素早く打つことで、1つのワードが複数回表示されるという状態に持ち込むことができます。
これを決めることができると大きくワード差をつけることができるため、相手との実力差がある場合には気をつけたほうがよいです。

対戦時の戦略について

以上をふまえて、TOD対戦における戦略を、自分が格上の場合、互角の場合、相手が格上の場合のそれぞれについて述べていきます。

・自分が格上の場合
実力差の程度にもよりますが、相手の勝ち筋をつぶすことを意識して進めるのがよいです。
自分より速度の遅い相手が勝利を目指すためには、基本的には取得アイテムのポイント、正確性に応じたポイント、ライフ回復のポイントの3つでワード差を埋めるしかありません。
取得アイテムのポイントは1~2ワードぶんにしかならないためあまり気にしなくともよいですが、正確性に応じたポイントとライフ回復のポイントは大きいため、積極的に打つワードをかぶせに行き相手のミスを誘発しつつ、自分の正確性も96~97%(600点)を下回らないように高く保つことを意識するのがよいです。
また、道中とは異なりボス戦は基本的に同時に1ワードしか表示されないため、正確性を落としすぎない範囲で完封を狙うのがよいです。ボス戦では少なくとも12ワード程度のワードが表示されるため、すべて取りきることができればそれだけで600点の差をつけることができます。
また、相手がTODに不慣れであると感じた場合は、ボスの特性や特殊ワードを使い相手をゆさぶることもできます。

・同格の場合
同格の場合は、まず自分の強みと相手の強みを把握し、どの部分で差をつけられるか、あるいはどの部分で差をつけられそうかを考えることが必要です。
基本的には、表示されるワード数が偶数個の場合にはワードを分け合い、奇数個のとき(特に1ワードだけのとき)に気合いを入れる、という展開になりますが、そのなかでも、自分の強みを活かせる箇所、あるいは相手の強みを活かされそうな箇所を意識し、相手よりも多くのポイントを獲得できるように立ち回る必要があります(そのため、エスケープキーを利用した「待ち」が発生することも多くあります)。
取得ワード数や正確性に大きな差がない場合、取得アイテムやアルファベット1文字のワードの取得数で勝負が決まる可能性があるため、細かな部分も気を抜けなくなってきます。

・相手が格上の場合
相手のほうが速度が速い場合できることはおのずと限られてきますが、大前提として正確性を高く保つ必要があります。
そのためにも、表示されたワードをやみくもに打ちにいくのではなく、ワンテンポ待って相手と打つワードを変えるなどして、取れるワードは必ず取るようにすべきです。
特に速度差が大きい場合には、正確性100%を狙ってエスケープキーも積極的に使うべきですが、ミスをしてしまうとライフ回復のポイントが狙いにくくなるため、なるべくノーミスを継続できるように意識する必要があります。
ボス戦は小細工が効かないため、なんとかワード差をつけられないように気合いを入れるしかありません。

2021/12/1時点でTODが遊べる場所

参考までに、2021/12/1時点でTODのアーケード版が稼動しているゲームセンターをいくつか紹介します。
セガ秋葉原3号館 6階(東京都)
池袋ゲーセン ミカド 1階(東京都)
アミューズメントスペースa-cho 2階(京都府)

おわりに

自分がTOD対戦時に意識しているポイントや対戦時の戦略について丁寧に説明を加えたため、非常に長い記事になってしまいましたが、そのぶん実際にTOD対戦を行うにあたっての参考になるのではないかと思っています。
(ちなみに、冒頭でご紹介した動画の2P側は自分が打っていました。必ずしも完璧なプレイとはいえませんが、この記事で紹介したテクニックが随所に登場するため、TOD対戦のモデルケースとして参考になるのではないかと思います)

現在でもゲームセンターでTODを遊べるお店が少ないながらも存在しますし、TODは家庭用ゲームソフトとしても販売されていますので、少しでも多くの方にTOD対戦の楽しさを味わっていただけたらと思っています。

a-choであれば気軽に行ける場所に住んでいますので、関西圏にお住まいの方でTOD対戦にご興味のある方はぜひお気軽にお声がけください。


明日の記事は「donuts」さんの「2021年のタイピング、マイ運指の変遷」です。
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