REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023オフィシャル観戦ガイド

こんにちは。たのん(@tanon_710)です。
これまで過去に2度、個人的にタイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP」に向けた観戦ガイドを作成してきたのですが、およそ3年半ぶりの開催となる今大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023」に向けて観戦ガイドを作成しました。
タイピング競技になじみのある方も、そうでない方も、ぜひ本記事を配信のおともにご活用ください!

1. 大会について

本記事で取り上げるのは、東プレ株式会社が主催するタイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP」(通称「RTC」)です。

公式イベントページ:

本大会は2017・2018・2019年とこれまでに3度開催されており、第4回となる今回はおよそ3年半ぶりの開催となっています。

まず、本戦出場者を決めるオンライン予選が2/7から2週間に渡って開催され、ローマ字入力部門の上位12名・かな入力部門の上位4名という狭き門を突破した計16名が、オフライン開催となる本戦へと駒を進めました。

本戦は3/12の15:00~18:00で開催される予定で、オフライン会場での現地観戦(※申込受付は終了)のほか、YouTube・twitchのREALFORCE公式チャンネルでも配信が実施され、自宅からでも大会の模様を観戦することができます。
配信チャンネル:
・(Twitch) https://www.twitch.tv/realforcegg
・(YouTube) https://www.youtube.com/@REALFORCE/streams

また、今大会・RTC2023は⽇本テレビ放送網株式会社との共同開催となっており、本戦の模様は後日、日本テレビのeスポーツ応援番組「eGG」にて放送予定となっています。

本戦の舞台となるのは日本テレビ社屋の特設大会ステージ。以下の会場イメージからも、本大会の熱気を感じ取っていただけるのではないかと思います。

本戦の会場イメージ

2. 大会ルール・使用ソフトについて

大会ルール

今大会ではシングルエリミネーション制のトーナメントが採用されており、一度の敗北で脱落となる緊迫感ある形式となっています。

本戦の各試合は、決勝戦以外は3ラウンド先取(Best of 5)、決勝戦のみ5ラウンド先取(Best of 9)となっています。
また、各ゲームはどちらかのプレイヤーが10ワードを先に打ち切った時点で終了し、ラウンドの勝敗は以下の図のように決まります。

ラウンドの勝敗条件

先に10ワードを取得したとしても、正確性が95%を下回ってしまうと負けてしまう可能性があるので、速度だけでなく正確性にも気を配る必要があります。

今大会では、大会に向けて準備された「日テレワード」「ビジネスワード」「たべものワード」という3種類の課題文と、これら全てを合わせた「ALLワード」の計4種類のワードを用いて試合が行われます。
各試合の1ラウンド目では「ALLワード」で対戦し、以降のゲームでは直前のラウンドの敗者が、4種類のワードの中からいずれか1つのワードを選択して対戦します。

使用ソフト

今大会では、対戦型タイピングソフト「Weather Typing」を大会向けにカスタムした専用バージョンで試合が行われます。
専用バージョンは通常のソフトと画面構成などが異なっているため、以下の画像を用いて、画面情報の見方について解説します。

RTC版「Weather Typing」対戦画面

①には、試合を行う両選手の名前とこれまでの取得ラウンド数が表示されます。
この画像の場合、左側に表示された選手が0ラウンド、右側に表示された選手が1ラウンド取得していることになります。

②には、出題ワードが漢字表記とひらがな表記の2種類で表示されます。

③には、出題ワードを各選手が選択した入力方式(ローマ字入力・かな入力)に合わせた文字列が表示されます。
ローマ字入力の場合はアルファベットが、かな入力の場合はひらがなが表示されるため、ここを見ることで選手が「ローマ字入力」と「かな入力」どちらの入力方式を選んだのかを知ることができます。
また、③で表示された文字は各選手の入力状況に応じて消えていきます。

④には、今の出題ワードが表示されるまでの両選手の平均入力速度(kpm表示)、正確性(%表示)、取得ワード数が表示されています。
取得ワード数に関してはインジケーターでも示されており、どちらの選手が何ワード取得しているか、どの選手がリードしているかが視覚的に分かりやすくなっています。
また、正確性が95%を下回っている場合は黄色でハイライトされるため、正確性が95%以上であるかどうかが視覚的に分かりやすくなっています。

3. 大会のみどころ紹介

本大会は、タイピングの大会としては珍しい対戦型の大会であること、また単にワードを多く取得した方が勝利となるのではなく、勝敗条件に正確性を95%以上に保つという条件が加わっていることから、一人でタイピングをするのとは全く違う緊張感や面白さが生まれています。

正確性を巡る駆け引き

まず注目したいのは、選手たちの正確性を巡った駆け引きです。
本大会では、ゲームの勝敗を決める際、相手より多くのワードを取ることよりも、正確性を95%以上に保っているかどうかを優先して判定します。
そのため、たとえば9ワードを取得しているものの正確性が95%に満たない場合、ワードを打ち切らずに途中まで打つことで正確性を回復させる、逆にワード数で多少のリードを許しても正確性を重視して打つことで相手にプレッシャーをかける…といった駆け引きが発生します。
多少の正確性を犠牲にしてもワード数を稼ぎにいくのか、それとも速度を抑えて正確性を重視するのか。
自分のスタイルや相手のスタイル、そのゲームの状況など、選手たちは様々な要素を考慮に入れながら戦略を巡らせて試合を進めていきます。
もちろん、最終的にものをいうのは選手個人の実力ですが、それでもただ速く打つだけでは勝敗が決まらないのが本大会の面白さです。
選手たちの駆け引きにぜひご注目ください!

処理速度の差による駆け引き

また、今大会で使用されるソフトでは、出題ワードが表示された瞬間から入力を行うことができます。
とはいえ、実際に文字を入力するまでには、表示されたワードを認識し指を動かすという一連のプロセスを経る必要があるため、文字を打ち始めるまでに一定の処理時間が発生することになります。(タイピング競技に取り組む人たちの間では俗に「初速」と呼ばれています)
選手の能力や体調、選択した入力方式、出題ワードの内容など、処理時間は様々な要因によって変化し、結果として各選手が文字を入力するタイミングにズレが生じます。
そのズレは時間にすればわずか0.1~0.2秒程度なのですが、本大会に出場するレベルの選手にとっては、この0.1秒の差が大きな差を生むことになります。
本戦出場者の中には「初速」の速さを武器にしている選手もいるため、当日は打ち始めるタイミングの早さを生かした戦略を見られるかもしれません。

ワード選択の駆け引き

本大会では、ゲーム中の駆け引きだけでなく、ゲーム開始前のワード選択の駆け引きも存在します。
ワードによって長さの違いや入力方式(ローマ字・かな入力)ごとの打ちやすさの違いがあり、また選手によって得意・不得意が違うため、どのようなワードを選択するかもみどころの1つとなっています。
ここでは、筆者の目線から、本戦で使用される4つのワードについて、ワードごとの特徴と、それぞれの入力方式での打ちやすさについて簡単に紹介します。

「日テレワード」は全体で最も平均の文字数が多く、最も文字数のバラつきが大きくなっています。
特に、日本テレビ系で放送されている番組名が多く集められていることから、数字や英語、「!」などの記号が数多く含まれており、非常に癖の強いワードとなっています。
一方で、かな入力においてつまずきやすい「ー」や濁点・半濁点、小文字のひらがなの数は3ワードの中で最小となっているため、特にかな入力の選手にとって、練習量が結果につながりやすいワードになっています。
癖が強く、かなり運の要素の大きいワードである一方、全体的に文字数が多く「初速」の差による影響が小さくなっているため、ローマ字入力・かな入力を問わず、切り札として磨いている選手もいるのではないかと思います。

「たべものワード」は全体で最も平均の文字数が少なく、最も文字数のバラつきが小さくなっています。
「日テレワード」とは対照的に、数字や英語、「!」などの記号が一切含まれておらず、また「ー」や濁点・半濁点、小文字のひらがなの数も「日テレワード」とほとんど変わらないため、文字数こそ少なくなっているものの、かな入力において最も打ちやすいワードとなっています。
平均の文字数が少なく「初速」の差による影響が大きくなりやすい点はローマ字入力の選手にやや有利に働きますが、かな入力で打ちにくい要素がほとんどないという点がかな入力の選手に有利に働くため、どの選手も実力を最大限発揮できるワードとなっています。

「ビジネスワード」は「たべものワード」と平均の文字数、文字数のバラつきともにほとんど同じで、全体的に短めのワードになっています。
「たべものワード」と同様、数字や英語、「!」などの記号はほとんど含まれていないのですが、「ー」や濁点・半濁点、小文字のひらがなの数が3ワードの中で最多となっており、かな入力では苦戦を強いられることが予想されます。
そのため、ローマ字入力の選手が、かな入力の選手へのカウンターとして「ビジネスワード」を選択する場面が見られるのではないかと思います。

「ALLワード」はこれらの3ワードをすべて集めたものになっているため、比較的バランスの取れた内容になっています。1ゲーム目では必ず「ALLワード」で対戦することや、「ALLワード」では上記3ワードを練習しているだけでは見られないワードの組み合わせが出題されることから、どの選手もしっかりと練習を積んでいるはずで、過去の大会同様、本大会でも目にする機会が多くなるでしょう。

選手たちの思い

本大会は実に3年半ぶりの開催ということで、過去の大会に出場経験のない新星たちが顔を揃えています。
もちろん、これまでの大会で実績を残した選手たちも本大会に出場しているため、これまで以上に熱い戦いを見られることは間違いありません。

また、RTCに出場する選手たちはタイピングへの熱い思いを持って参加しているため、対戦中だけでなく、対戦前、対戦後のリアクションにもその思いが反映されていきます。
選手たちの表情やしぐさにもぜひ注目してみてください!

4. 予選の模様・本戦出場選手紹介

「ローマ字入力」部門

ローマ字入力部門の予選1週目では、これまでのRTCで活躍した選手たちと、RTCへの出場経験のない実力者たちが激しい争いを繰り広げました。
予選1週目のお題が好スコアを狙いやすい「バレンタインワード」だったこともあり、最終的なランキングは、過去のRTC予選はもちろん、21年に及ぶe-typingの歴史上でも類を見ない非常にハイレベルなものとなりました。

続く予選2週目のお題は、こちらも好スコアを狙える「擬音・擬態語ワード」であり、2週目も過去の大会ボーダーを大きく上回るのではないかと予想されていました。
実際、予選1週目で出場権を獲得できなかった方や、予選1週目には参加していなかった方が競い合った結果、こちらも過去のRTC予選を上回る水準での争いとなりました。

ローマ字入力部門の厳しい予選を勝ち抜き、本戦出場の権利を掴んだ12名をご紹介します。

・miri(予選スコア921/予選1週目・第1位)

これまでのRTCで3連覇を果たしている絶対王者・miri選手。
3年半ぶりの開催となった大会予選では、これまでのe-typingの歴代最高記録を大幅に塗り替える史上初のスコア900超えを達成するなど、さらなる進化を遂げた姿を見せてくれました。
果たしてmiri選手の4連覇は実現するのか、ご注目ください。

・くわな(予選スコア863/予選1週目・第2位)
これまでに様々なタイピング大会で優勝を飾り、タイピングゲーム「寿司打」では歴代最高記録を保持するなど、数々の実績を持つくわな選手がついにRTCに初出場となりました。
予選では挨拶代わりに863という圧倒的な記録を叩き出しており、その実力は底が見えません
本大会の台風の目であるくわな選手にご注目ください。

・really(予選スコア847/予選1週目・第3位)
「第22回毎日パソコン入力コンクール」の6月大会において、和文Bで九段を取得し一般部門の1位に輝いた、確かな実力の持ち主のreally選手がRTCに参戦。
予選でも持ち前の実力を発揮し、847という非常に高いスコアを出して本戦への出場権を掴んでいます。
長文を巧みに打ちこなすreally選手の実力にご注目ください。

・ごえ(予選スコア837/予選1週目・第4位)
直近のRTC開催年である2019年以降に頭角を表した新星・ごえ選手。
圧倒的な初速を武器としe-typingでは毎週のように1位を争う実力者で、大会予選でも素晴らしいスコアを残しています。
持ち前のスピードをどのように本戦で活かすのか、ごえ選手の戦いにご注目ください。

・テル(予選スコア831/予選1週目・第5位)

RTC2017・2018と過去2度の大会に出場し、そのたびに悔し涙を流してきたテル選手。
タイピングゲーム「タイプウェル」ではローマ字入力・かな入力・英語入力の3部門を制覇するなど屈指のオールラウンダーで、今大会予選でもローマ字入力・かな入力部門の両方で非常に高いスコアを出しています。
二刀流という唯一無二の武器を手にどこまでトーナメントを登ることができるか、テル選手の活躍にご注目ください。

・Y-i(予選スコア824/予選1週目・第6位)
かつてe-typingを中心に活躍していた実力者・Y-i選手。
タイピング競技からは長らく離れていたものの2022年に本格復帰、e-typingを中心に実力を伸ばし、強豪ひしめく予選1週目を見事に勝ち抜いています。
未だ進化を続けるY-i選手がどのような戦いを繰り広げるのか、ご注目ください。

・あるぱー(予選スコア823/予選2週目・第1位)

タイピング競技において様々な実績を持ち、RTC2019にも「o-ck」という名義で出場経験を持つあるぱー選手。タイピングだけでなく、音楽ゲームでも様々な記録を持つ実力者として知られています。
予選1週目では800に迫るスコアを記録、2週目で堂々の1位通過を果たすなど、その実力は健在です。
あるぱー選手の自由な運指がもたらす爆発力にご注目ください。

・魔が差す(予選スコア782/予選2週目・第2位)
歌謡タイピングで腕を磨き、近年はe-typingで毎週のように1位を争う魔が差す選手。
予選1週目でも800近いスコアを出すなど実力は十分で、2週目で見事出場権を手にしました。
また、魔が差す選手はお酒を飲んでタイピングをする「酔拳タイパー」でもあります。
RTCでは原則アルコールは禁止となっていますが、お酒を断った魔が差す選手は実力を発揮できるのか、ご注目ください。

・セレナーデ☆ゆうき(予選スコア756/予選2週目・第3位)

本大会において、試合の前後に魅力的なパフォーマンスを見せてくれることでおなじみのセレナーデ☆ゆうき選手。
近年はタイピング競技以外での活躍が顕著ですが、タイピングの実力も衰えを見せることはなく、並みいるライバルを抑えて4大会連続のRTC本戦出場権を掴んでいます。
安定感の高さが持ち味のセレナーデ☆ゆうき選手にご注目ください。

・はるまき(予選スコア745/予選2週目・第4位)
はるまき選手は主要なタイピングゲームのランキングに名前が残っておらず、その実力は未知数となっています。
しかしながら、「Luca」という名義で参加した予選1週目では769と高水準の記録を残すなど、予選の記録からも実力の高さをうかがうことができます。
強豪ひしめく本戦で春の嵐を巻き起こすのか、はるまき選手にご注目ください。

・のん(予選スコア739/予選2週目・第5位)

RTC2018以来の本戦出場となるのん選手。予選では「(´・ω・`)」という名義で登録していました。
しばらくタイピング競技からは離れていたとのことですが、これまでのRTCよりも厳しくなった今大会の予選を見事突破、その実力が健在であることを見せてくれました。
のん選手の持ち味である加速力にご注目ください。

・星凪/seina(予選スコア722/予選2週目・第6位)
この1年で急成長を遂げた本大会最年少の出場者となる星凪/seina選手。
滑り込みという形での本戦出場とはなっていますが、e-typingでの自己ベストは792と、他の本戦出場者にも決して見劣りしないスコアを出しており、その実力は十分です。
星凪/seina選手の独特な運指と成長力にご注目ください。

「かな入力」部門

歴史に残る戦いとなったローマ字入力部門でしたが、かな入力部門はそれを上回る、空前絶後の争いが繰り広げられました。
予選のお題はローマ字入力部門と同じ「バレンタインワード」と「擬音・擬態語ワード」。
どちらもかな入力にとって非常に打ちやすいワードであったこともあり、600を超える選手が出てくるのではと予想されていましたが、蓋を開けると、本戦出場者全員が600超え2週目の予選ボーダーが1週目の予選ボーダーを上回るなど、予選の段階からすさまじい戦いが行われていました。

かな入力部門の尋常ならざる競争を戦い抜き、本戦出場を決めた4名をご紹介します。

・三山羊(予選スコア658/予選1週目・第1位)
主要なタイピングゲームのランキングでは名前が見つからない三山羊(みやぎ)選手。
しかしながら、大会予選で658という圧倒的なスコアを叩き出し、muller選手・はやとぅ選手を抑えてかな入力部門で堂々の1位通過を果たしています。
その実力に疑いなしの三山羊選手、本戦での活躍にご注目ください。

・muller(予選スコア614/予選1週目・第2位)

かな入力現役最強との呼び声高いmuller選手。
今大会予選でも早々に600超のスコアを叩き出し本戦出場権を掴んでいますが、過去3回のRTCでは、いずれもmiri選手に敗れ優勝を逃してきた背景があります。
3年ぶりの開催となるRTC2023でmiri選手にリベンジを果たすことができるのか、muller選手にご注目ください。

・あの(予選スコア628/予選2週目・第1位)
e-typingにおいて毎週のように1位を争っているあの選手。
本大会の予選でも、1週目・2週目ともに600を超えるスコアを揃えており、その実力は折り紙付きです。
速度と正確性を兼ね備えるあの選手ですが、過去最高のレベルとなったこの大会でどのような活躍を見せるのか、ご注目ください。

・はやとぅ(予選スコア622/予選2週目・第2位)

過去のRTCでも爆発的な速度を武器に活躍を見せたはやとぅ選手。
予選1週目ではわずかにボーダーに届かず涙を吞みましたが、その悔しさを乗り越え、2週目では622という非常に高い記録を残し、本戦出場の権利を手にしました。
文句なしの実力を持つはやとぅ選手が本戦でどのような戦いを見せるのか、ご注目ください。

おわりに

今大会では、16枠という限られた本戦出場の権利をかけて、予選の段階から激しい争いが繰り広げられました。
3/12に行われる本戦では、過去の3大会で活躍を見せた強豪たちと、この3年で頭角を現した新星たちがしのぎを削ります。
どのカードも見逃せないアツい戦いになること間違いなしの今大会。
勝利の栄冠に輝くのは一体誰なのか、ぜひご自身の目で確かめてください!

Good Luck, Have Fun!