ランダム文字列タイピングへの招待状

はじめに

こんにちは、たのん(@tanon_710)です。
テル(@TeruMiyake)さん制作のタイピングゲーム「Typing (is) Nonsense」(TiN)が公開されたこともあり、にわかに盛り上がっているランダム文字列タイピング界隈ですが、通常のタイピングとは異なる文字列を入力する関係上、なかなかとっつきにくいと感じる方も多いと思います。
この記事は、そうした「ランダム文字列タイピングには興味があるが、どのようにはじめればよいか分からない」という方に向けた招待状となっています。
奥深いランダム文字列の世界へ、ぜひ足を踏み入れてみてください!

ランダム文字列タイピングとは?

「ランダム文字列タイピング」とは、アルファベットや数字、記号などの出題対象の文字がランダムに出題されるタイピングゲームのことをいいます。
どのような文字を組み合わせるかはゲームによって様々ですが、この記事ではTiNとタイプウェルオリジナルの「すべてのキー」で用いられる「アルファベットの小文字・大文字52種+数字10種+記号32種+スペース1種」の計95種の文字、もしくはその一部を組み合わせたタイピングゲームを取り扱うこととします(ランダムなひらがなの文字列をローマ字やJISかなでタイピングするゲームもありますが、そうしたゲームは扱わないものとします)。

ランダム文字列のタイピングゲームは、通常の日本語や英語のタイピングゲームと異なり、多種多様な文字列のつながりを処理していく必要があるため、指の運動能力よりもランダム文字列への慣れが重要な種目となっています。
そのため、慣れないうちはなかなか手を出しづらく感じたり、思うように打てなくて難しいと感じることも多いと思います。
しかしながら、ランダム文字列への習熟度がそのままタイムに直結する種目であり努力が結果に反映されやすく、いくつかの壁はあるものの、やればやるだけ伸びていく楽しさを感じることができます。

この記事では、まずランダム文字列タイピングができるゲームを紹介し、それらのソフトを用いた基本的な練習の流れを説明しています。
また、TiNのタイム別のアドバイスも掲載しているため、TiNで行き詰まった際には、ぜひこの記事に戻ってきてもらえるとう嬉しいです。

ランダム文字列で遊べるタイピングゲームの紹介

まずは、実際にランダム文字列タイピングができる主要なタイピングゲームをご紹介します。
それぞれのソフトやサイトごとに、タイピングゲームへのリンクと、練習できるランダム文字列の種類、簡単なゲームの説明を行っています。
各ゲームは難易度の低い順に並べているため、ぜひ上から順に試してみて、自分に合うゲームを見つけてみてください!
(タイピングゲームの大半はWindows向けに開発されているので、Mac向けのソフトが存在する場合はその旨を併記しています。またブラウザ上で遊べるゲームについてもその旨を記載しています。Windows以外の方はwineを導入するなどすれば遊べるかもしれないので、もし余裕があれば調べてみてください!)

・A-Zタイピング(ブラウザ上で動作、Win/Mac対応)
リンク: http://typingx0.net/az/
練習できる文字列: アルファベット26種類
説明: 右から左へとスクロールするランダムなA~Zまでのアルファベットを打っていくタイピングゲームです。
打った文字数が増えるごとにアルファベットのスクロール速度が速くなるため、繰り返し遊ぶことで反射的に26種類のアルファベットに反応できるようになっていきます。

・美佳のタイプトレーナ(Win対応、Java版はMacにも対応?)と美佳のタイプトレーナ 記号編(Win対応)
リンク: https://www.asahi-net.or.jp/~bg8j-immr/ のMIKATYPE.LZHもしくはMIKATYPE_JAVA.zip、記号編はMIKAKIGO.LZH
練習できる文字列: アルファベット+スペース27種類/アルファベット+数字+スペース37種類、記号編ではアルファベット+数字+スペース+記号の69種類
説明: タッチタイピングのマスターを目標に作られた古のタイピングゲームで、古いタイピングゲームの多くがそうであるように、このゲームもランダムな文字列のタイピングを練習できるようになっています。
出題される文字列が5文字ごとにスペースで区切られているため、ランダム文字列であるものの認識がしやすく、またランダムなアルファベットのタイピングを、段ごと、すべてのアルファベット、すべてのアルファベット+数字と段階的に練習していくことができるという唯一無二の特長を持っています。
また美佳タイプシリーズには様々な派生作品があり、記号編ではアルファベットの大小は練習できないものの、すべての英数字と記号を段ごとにランダムで練習できます。
TYPING LANDと同様に丁寧なチュートリアルもついているので、こちらで記号の位置や打ち方に慣れるのも効果的だと思います。

・TYPING LAND(Win/Mac対応)
リンク: https://typingland.higopage.com/jp.html
練習できる文字列: アルファベット26種類/アルファベットの小文字・大文字52種類/アルファベットの小文字・大文字+数字+一部の記号83種類
説明: 往年の名作タイピングゲーム「Ozawa-Ken」の開発者であるhigoさんの新作タイピングゲームです。
ランダム文字列が練習できるモードでは、出題対象の文字がそれぞれ1回ずつ出てくるようになっているため、短いスパンで練習を繰り返すことができます。
タイプウェルオリジナルの「大文字・小文字混在」モードに相当する種目や、タイプウェルオリジナルの「すべてのキー」モードやTiNとほぼ同様の文字列を練習できる種目もあるため、ステップアップにぴったりのゲームとなっています。

・Monkeytype(ブラウザ上で動作、Win/Mac対応)
リンク: https://monkeytype.com/
練習できる文字列: アルファベット小文字+スペース27種類/数字+スペース11種類/記号のみ+スペース33種類など
説明: 様々なタイピング練習ができるMonkeytypeですが、Tabキーを押して開けるコマンドラインから「Funbox」モードを選択し各種オプションを選択することでバリエーション豊かなランダム文字列練習を行うことができます。
具体的には、「58008」オプションを選ぶとランダムな数字、「gibberish」オプションを選ぶとランダムなアルファベット小文字、「specials」オプションを選ぶとランダムな記号をそれぞれ練習することができます。
さらに、「nospace」オプションを選ぶとスペースなしのランダム文字列の練習、「capitals」オプションや「rAnDoMcAsE」オプションを選ぶことでアルファベット小文字・大文字のランダム練習を行うこともできます。
その他、「gibberish」オプションを有効にしたうえで画面内メニューの「punctuation」や「numbers」を追加することで、ランダムなアルファベット小文字に記号や数字が追加された文字列で練習することもできます。
たとえば、「gibberish+nospace+punctuation」でタイプウェルオリジナルの「小文字のみ」に似た文字列、「gibberish+nospace+capitals」や「gibberish+nospace+capitals+rAnDoMcAsE」でタイプウェルオリジナルの「大小混在」に似た文字列、「58008」オプションでタイプウェルオリジナルの「数字」に似た文字列で練習することができます。になっています。
記録の集計・蓄積なども自動で行ってくれるので、タイプウェルオリジナルやTiNに手を出してからも、継続的に使っていくことのできるサイトになっています。

・タイプウェルオリジナル(通称「TWOR」「TWO」)(Win対応、ブラウザ上で動作する「大小混在」「数字」版もあり)
リンク: http://tanon710.s500.xrea.com/typewell_mirror/download.html のTWOR.lzh
ブラウザ版(大小混在) http://tanon710.s500.xrea.com/typewell_mirror/js/twls.html
ブラウザ版(数字) http://tanon710.s500.xrea.com/typewell_mirror/js/twon.html
練習できる文字列: 数字+スペース11種類/アルファベット小文字+記号「,.」+スペース29種類/アルファベットの小文字・大文字+記号「,.」+スペース55種類/アルファベットの小文字+大文字+数字+記号+スペース95種類
説明: 言わずと知れたタイピングゲーム「タイプウェル」の、ランダム文字列のみを扱ったバージョンです。
タイプウェルのなかで最初に開発されたモードであり、公式のランキングには20年近くに渡る記録が集積されています。
タイプウェルオリジナルの出題文字数は200文字となっており、360文字が出題されるTiNの約半分となっています。
また、TiNと異なりアルファベットとカンマ・ピリオドのみで構成された種目もあるため、TiNの攻略に向けて段階的にランダム文字列のタイピングに習熟していくことができます。

・Typing (is) Nonsense(通称「TiN」) (Win対応)
リンク: https://tin.terum.jp/
練習できる文字列: アルファベットの小文字+大文字+数字+記号+スペース95種類(デフォルト設定)
説明: この記事でのメインの攻略対象となる、テルさん制作のタイピングゲームです。
TiNでは51種の論理キーを任意の物理キーに割り当てることができ、また95種の文字を任意に設定することができるため、様々な表示上の工夫を行うこともできるのですが、この記事ではほかのタイピングゲームとの整合性を保つため、すべての設定をデフォルト(JIS配列のプリセット)にした状態のTiNを想定して説明を行うものとします。
タイプウェルオリジナルのおよそ倍の長さである360文字の入力が必要でありながら、ミスの上限はタイプウェルオリジナルと同じ50ミス以下に設定されているという厳しさで、記号などに慣れるまでは打ち切るだけでも苦労すると思います。
しかしながら、文字数が多いぶんタイムに実力が反映されやすく、練習することでじわじわとタイムを縮めていくことができるため、ランダム文字列タイピングの奥深さを思う存分味わうことができるようになっています。

練習方法について

以上、ランダム文字列で遊べるタイピングゲームをご紹介しました。
ここからは、紹介してきたタイピングゲームを中心に、段階を踏んだランダム文字列タイピングの練習法についてご説明します。

基本的な練習の流れは以下の通りです。

  1. 小文字のみの引き出しに慣れる(A-Z/美佳タイプ/TYPING LAND)

  2. 大小混在に慣れる(TYPING LAND/TWOR)

  3. 数字の位置を覚える(美佳タイプ/TWOR/TYPING LAND)

  4. 記号の位置を覚える(TYPING LAND/タイピンガーZの記号練習モード/メモ帳)

  5. 難易度の低いところから実戦(TYPING LAND/TWOR/TiN)

英文タイピングに慣れている場合は3または4から始めてもよいですが、シフトの押し離しの頻度が英文タイピングよりも多くなるので大小混在も触っておくとよりスムーズに練習ができると思います。

また、プログラミングの経験があるなど記号にもそれなりに耐性がある場合や、JISかななどキーボード全体を使う配列を使っている場合、もしくはランダム文字列へのモチベーションが非常に高い場合は、最初から5に挑戦してもよいと思います。
この場合は、TYPING LANDやTWORなど簡単なところからスタートしたり、並行して大小混在に触れて地力上げを行うなどすると、よりランダム文字列を楽しめると思います。

記号の位置を覚える際は、まずは数字+シフトキーで打てる記号を覚え、それから小指領域の記号を覚えていくようにすると覚えやすいと思います。
また、似た形の文字が近くに配置されていること、かっこ類は開きかっこが左側もしくは上側、閉じかっこが右側もしくは下側にあることを意識しておくと、記憶の助けになるかもしれません。

ランダム文字列の成長過程

ランダム文字列のタイピングには、ほかのタイピング種目と同様にいくつかの超えるべき壁が存在します。
TiNに登場する全95種の文字をすべて覚えてタッチタイピングできるようになることが最初の壁になります。
すべての文字をタッチタイピングできるようになったあとは、覚えた文字の位置を素早く思い出しスムーズに打てるようになることが壁になりますが、これは練習を繰り返すことで自然とマスターでき、かつタイムもはっきり改善されていくため、楽しく練習できると思います。

すべての文字を素早く処理できるようになるとある程度のタイムには到達できるのですが、一定の速度で詰まってしまうことになります。
これを打破するためにはランダムな文字列をまとめて処理できるようになる必要があり、そのためにはシフトワークの最適化とランダムな文字列のチャンク化という2つの課題に向き合う必要があります。
これらは和文や英文のタイピングにおける運指の最適化とチャンクの拡大に相当する要素であり、どちらも継続的に向き合うことになる永遠の課題となります。
はじめはタイムが悪化するかもしれませんが、シフトを毎回離さずなるべくシフトを押しっぱなしにして打ってみる、アルファベット小文字のみのランダム文字列や大文字のみのランダム文字列、記号のみのランダム文字列をまとめて打てるように意識してみるなど、実戦のなかで取り組むことで少しずつ身についていき、練習の成果がタイムにも表れるようになります。
TiNの場合はEscしたあとも出題された文字列が表示されているので、どう認識・打鍵するべきだったかを振り返るのも効果的です。

シフトワークの最適化に関しては、まず左右どちらのシフトキーを使うかを決める必要があります。
ある程度慣れたところからシフトキーの押し方を変更するのはそれなりに負担が大きいので、チャンク化を進める段階に入ったら方式を固定してしまうのがよいです。

両方を使うようにすると打ちにくい文字列を減らせるものの認識の負担が増し、またシフトキーの持ち替えというスキルを別途身につける必要が出てきます。
片方に固定するようにすると認識の負担が減りシフトキーの持ち替えも必要なくなりますが、そのぶん打ちにくい文字列がどうしても生じてしまいます。
小指領域にシフト入力が必要なキーが多いことを考えると左シフト固定のほうが安定する気もしますが、現TiN全一のおかぴらさんは右シフト固定、全二の自分は左メインで両シフト使用なので、どのシフト方式でもTiN60秒切りは目指せますし、好きな方式を選ぶのがよいと思います。

認識面でのアドバイスとしては、まずはTWORなどでアルファベット小文字のみ、大文字のみ、小文字と大文字の混在というチャンクに慣れておき、それから実戦を通して小文字とシフトなしの記号、大文字とシフトありの記号…というふうに少しずつチャンクを拡張していくのがよいと思います。
参考までに、自分は認識の際に打つべきキーとシフトのありなしを分けて認識していますが、これが正解だとは限らないので鵜呑みにはせず、ある程度記録が伸びたら自分に合う方法を考えてみてください。

各速度帯のプレイヤーに向けたアドバイス

最後に、TiNを基準として、0.5CPS刻みでそれぞれのプレイヤーに向けた簡単なアドバイスを示してみます。

前提として、TiNには全95種類の文字が登場し、そのうち英数字とスペースが63種類、記号が32種類となっています。
出題される文字列はランダムに生成されるので、それぞれの文字がほぼ均等に出題されることになり、英数字とスペースが約240文字、記号が約120文字出題されます。
これをふまえて、英数字とスペースを打つ速度と記号を打つ速度を分けて考えると、ボトルネックや課題を見つけやすくなります。

・TiN初打ち切りまで

TiNには速度の足切りがないため、ミス制限にさえ引っかからなければ理論上は打ち切れることになります。
一応の速度の目安として、英文タイピング力と記号の打ち方にもよりますが、手元を見ずに打ち切れた場合の初打ち切りでのタイムは3~4分程度になることが多いと思います。
とはいえ、360文字で50ミス制限という数字はランダムな文字列に慣れていない人にとっては非常に厳しいボーダーとなります。
実際、TiNの公式ランキングに記録を登録できている(50ミス以下で打ち切れている)人がわずか31人しかいないことを考えても、TiNを打ち切れる、あるいは打ち切りを目指そうと思えるだけで十分にすごいことだと思います。
一度TiNを打ち切れたら、まずはその達成感を存分に味わったあと、2回目・3回目と、打ち切りの回数を増やせるようにチャレンジしてみてください。そうするうちに自然とタイムが縮んでいくと思います。

・TiN180秒切り(2CPS超)まで

ランダムな英数字を4CPSで打てるなら記号が1CPSでもギリギリ180秒を切ることができますが、とはいえランダムな英数字を4CPSで打つのは難しいので記号を打つ速度を伸ばす必要もあります。
速度の目安としては英数字が2.5CPS、記号が1.4CPSという感じになるかなと思います。
このレベルはまだ1動作1キーで大丈夫なので、記号の位置をしっかり覚えて正確に再現できるようにすることが重要です。英数字は多少速度を意識して打ってもよいですが、記号に関しては正確性最優先で練習していきましょう。
なかなか思うように速度が出せずもどかしい気持ちになることもあると思いますが、練習を重ねるうちに記憶を引き出す速度が上がり、自然とタイムにも反映されていきますので、焦らずじっくり取り組んでいきましょう。

・TiN144秒切り(2.5CPS超)まで

当然のことではありますが、TiNで2.5CPSを超えるためには、少なくともランダムな英数字で2.5CPSを超えている必要があります。そのため、TiNの練習と並行して、TWORの大小混在などに取り組むのが有効です。
速度の目安としては英数字が3CPS、記号が2CPSという感じになりそうです。
英数字が3CPSで打てるとTWORのみ・混在でB~Cくらいのランクがつきます、頑張ればSランクが見えてくるタイミングなのでモチベにつなげていきましょう。
記号はまだ1動作1キーでよいですが、判断で迷わないようにすることや、なるべく手を動かして押しにいくようにして、移動速度を上げる意識を持っておくと将来が楽になると思います。
TiNと並行してTWORに取り組んでいる場合、この段階だとのみ・混在のランク>すべキーのランクになると思うので、焦らずに基礎を積み重ねていきたいところです。
まだまだ修行という感じが抜けないかもしれませんが、もう少し先に進めばさらにランダム文字列のタイピングが楽しくなるので、ぜひこの先まで進んでみてください。

・TiN120秒切り(3CPS超)まで

速度の目安として、英数字の速度を鍛えて英数字4CPS、記号2CPSで120秒切りを狙うルートと、英数字・記号を混ぜた2連接チャンクを少しずつマスターし英数字3.5CPS、記号2.4CPSで120秒切りを狙うルートの2つが考えられます。
どちらも一長一短ありますが、英文タイピングなどの素養がある場合は前者、ランダム文字列に向き合い続けられる場合は後者がよさそうに思います。
1文字1文字をなるべく速く打つというスタイルだとこのあたりで頭打ちになると思うので、最初はタイムが悪化するかもしれませんが、英数字の2連接チャンク化を少しずつできるようになっていきたいところです。
TWORのみ・混在だとS上位~X下位が狙えるくらいの実力になってきています。TiNの息抜きにTWORにもチャレンジし、Xランク到達をモチベーションにしてみてほしいです。
これくらいまでタイムが縮むと、TiNの打ち切りも少しずつ苦にならなくなってくるかなと思います。やればやるだけ伸びる時期だと思うので、ランクの更新やタイムの短縮の楽しさをたくさん味わってください。

・TiN103秒切り(3.5CPS超)まで

速度の目安として、英数字4.5CPS、記号2.4CPSで103秒を切ることができます。英文タイピングでZランクを出しているなど、高い地力があれば英数字5CPS、記号2.2CPSといったルートも考えられそうです。
1文字1文字打つというところから、複数のキーをまとめ押しできるようになったり、シフトキーを押しっぱなしにしながら打てるようになったりと、ランダム文字列タイピングの魅力をさらに味わえるようになってきていると思います。
ここまで来るとすべキーでもXランクが狙えるようになり、少しずつのみ・混在のランクに近づけるようになるので、すべキーやTiNを通して、ランダム文字列の奥深さを味わってみてください。

・TiN90秒切り(4CPS超)まで

速度の目安として、英数字5CPS、記号2.8CPSで90秒を切ることができますが、記号を素早く打つのは相当の練習が必要になり少し厳しそうです。
現実的には英数字5.5CPS、記号2.6CPSあたりが目標になるかなと思います。
このレベルになるとTWORのみ・混在のランクがX中位程度になり伸び悩みはじめるかもしれません。
チャンクを広げる、間違いやすいアルファベットの並びに慣れる、混在ではシフトワークを意識しなるべくシフトを押しっぱなしにして対処できるようになるなど、細かな改善を重ねてトライアルを重ねていきましょう。練習を続ければ必ず認識力が伸びて記録更新につながるので、諦めない心が大切です。
英数字のみならず、記号もそれなりの速さで打てる必要が出てくるので、シフトワークをどうするか(左または右で固定、もしくは両方を使う)を考え始めたほうがよいと思います。
ここまでくるとすべキーでXB~XAあたりを狙えるようになると思うので、Machine到達を目標に練習を重ねていきましょう。

・TiN80秒切り(4.5CPS超)まで

英数字のランダム力でゴリ押しして英数字6CPS、記号3CPSを目指すプランと、アベレージを重視し英数字5.5CPS、記号3.3CPSを目指すプランの2つが考えられます。
個人的には、将来のことを考え英数字と記号を混ぜた2~3連接チャンクへの習熟を進めるべきだと思うので後者がおすすめです。
もちろん短期的な伸びは前者のほうがよく、また5CPSを目指すにあたっては英数字のランダム力強化も避けては通れないので、どちらの課題にも取り組む必要があります。
英数字6CPSはTWORのみ・混在でXS~XX相当になり、Zランクも少しずつ見えてくるのでやりがいがあると思います。
このレベルだとすべキーはZI~ZH程度に相当すると思いますが、すべキーは慣れでかなり記録が伸びるのであくまで参考程度にとらえてください。

・TiN72秒切り(5CPS超)まで

最低限の目標として英数字6.5CPS程度は目指したいところで、この場合は記号3.5CPSで72秒を切ることができます。
TiNメインで練習するともう少し記号のCPSが高く、逆に英数字のcpsが低くなる気もしますが、将来のことを考え英数字のランダム力の強化にも取り組んでいきましょう。
このあたりまで来るとTWORのみ・混在も自然とZに乗るのでだいぶ強くなった感触が得られると思います。
実際、現時点でのTiNのランキングでもトップ5に入れるレベルなので相当な強さなのは間違いありません。
TiN5CPS超はすべキーだとZE~ZD程度に相当するかなという感じです。このランク帯になると有名なタイパーの名前も散見されるので、TiNの息抜きに記録狙いをしてみるのも楽しいと思います。

・そして、その先へ――

この記事を書いている2023/04/03時点では、70秒を切っているのはわずか4名となっており、非常にハイレベルな世界だと言ってしまって問題ないと思います。
70秒切りは5.143CPS以上となりますが、72秒を切れていれば必ず到達できる数字だと思うので、ぜひ頑張ってみてほしいです。

60秒台に入ってからは、改行時の視線移動の改善、シフトワークの効率化、シフトを押しっぱなしにしたままでの動作の意識、記号含みのチャンクの強化や英数字のみのランダム文字列の強化、上段・最上段の認識の意識付け、認識が難しい文字列や間違いやすい文字列の集中強化など、小さな課題を見つけて練習を繰り返すことで、少しずつでも進んでいけるはずです。
70秒切りから60秒切りまでの10秒を縮める方法は人それぞれだと思いますが、このレベルの記録を狙おうとする人であれば、和文や英文などであれば十分な速度を出せていると思いますので、ランダム文字列のタイピングであっても、少なくとも打鍵力がボトルネックになることはないと思います。
ここまで来ると、どうすれば記録が伸びるのかわからない、という状況になってしまうこともあるかもしれませんが、自分のトライアルの分析を重ね、諦めずに少しずつ伸びしろを見つけていってほしいです。
また、TiNだけでなくTWORにも取り組むと思わぬ成果が得られるかもしれません。68秒切りとすべキーZC、65秒切りとすべキーZA、62秒切りとすべキーZXがだいたい同じくらいになるので、ぜひ名だたるタイパーたちの記録を超えていってください。

参考までに、自己ベスト更新を狙う過程で、自分が加速→減速を繰り返すタイプなのか、それとも一定の速度で安定を取るタイプなのかを見極めておくとよいと思います。
この判別には、すべキーのトップラップやTiNのトップラップがどれくらいの速度になっているかを見るのがおすすめです。すべキーの場合、トップラップでTiNの自己ベストの1.2~1.3倍がそれなりに出せていれば加速型、1.15倍くらいがせいぜいの場合は安定型という感じになります。またTiNの場合では、自己ベストが60秒台後半であれば5秒台前半のラップがそれなりに出せるか、60秒台前半であれば4秒台ラップがそれなりに出せるかが基準になるかなと思います。
もしくは、TiNで自己ベストに近い記録をどれだけ安定して出せるかを見るのもよいです。自己ベスト+3~4秒くらいのタイムであれば少し粘れば出る、という感じであれば安定型、出せるときはポンポン出せるが調子が悪いとなかなか記録が安定しない、というタイプは加速型になると思います。

また、アドバイスの冒頭でTiNに占める英数字・記号の割合の話をしましたが、これはあくまで0次近似にすぎず、実際には英数字と記号の混ざったチャンクについても考える必要があります。
英数字の出現率が2/3、記号の出現率が1/3であることを考えると、英数字のみの3文字チャンクの出現率は8/27(約30%)、記号のみの3文字チャンクの出現率は1/27(約4%)で、残りの2/3(約66%)は英数字と記号の混ざったチャンクになります。
さらに4文字チャンクについて考えてみると、出現率がそれぞれ約20%、約1%、約80%になるため、最終的にランダム文字列タイピングで鍵を握るのは英数字と記号の混ざった文字列にどれだけ対応できるか、という部分になります。
そのため、TiNだけでなく、すべキーでのトップラップ狙いをすることも記録の更新につながるのではないかと思います。
もちろん、チャンクを4文字に広げてもなお英数字のみの出現率が20%もあることを考えると、のみ・混在が大切であることに変わりはありません。
自分の強み・弱みはどこなのか、しっかりと分析を重ねながら練習に取り組んでいきましょう。

現状の自分(TiN56.8秒/すべキー28.6秒)の場合、TWORのみ・混在の記録を加味して英数字7.5CPS、記号4.3CPSという感じです。
単純計算で英数字8CPSの記号5CPSになれば54秒切り、英数字8.5CPSの記号5.5CPSになれば50秒切りという感じなので、このまま練習を重ねていけば少なくとも40秒台はそのうち手が届くかなーと楽観的に考えています。
ちなみに、計算上はTiNで50秒を切るとすべキーの歴代記録更新が狙えるレベルになります。

ここからは完全に妄想の域ですが、参考までに、英数字11CPSの記号6.6CPSでTiN40秒切りができるので、ランダム文字列の神なら30秒台も拝めるかもしれないなーと思っています。
ちなみにTiNで40秒が切れると、ワンチャンすべキーR1が出せます(そもそもTWORにRランクが実装されているか不明ですが…)。
英数字14.5CPSの記号8.9CPSで、計算上はTiN30秒を切れることになりますが、流石にこの領域はちょっと人間には到達不可能だと思うので35秒くらいがリミットだと思います。
ちなみにTiN35秒ならすべキーR4、TiN30秒ならすべキーR6が出せるらしいので、エイプリルフールのネタとしてはアリかなという気がします。

おわりに

ここまで、TiNの攻略を中心として、ランダム文字列タイピングの世界を紹介してきました。
この記事を読んでくださった方に、少しでもランダム文字列タイピングの奥深さと面白さが伝わっていれば幸いです。
皆様が少しでもランダム文字列タイピングでよい記録を残せるよう、心から願っています。