[非公式] RTC2024"最速"観戦ガイド

※本ガイドは(昨年とは異なり)非公式の記事となります。
記事の内容に関するご意見等は筆者のたのん(@tanon_710)までご連絡ください。

こんにちは、たのん(@tanon_710)です。
これまで過去に3度、「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP」に向けた観戦ガイドを作成してきたのですが、今回も観戦ガイドを書いてみました!
タイピング競技になじみのある方も、そうでない方も、ぜひ本記事を配信のおともにご活用ください!

1. 大会について

概要

本記事で取り上げるのは、東プレ株式会社が主催するタイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP」です。
本大会は2017・2018・2019・2023年とこれまでに4度開催されており、昨年に引き続き第5回が開催されます。
2/6から2週間に渡りオンライン予選が開催され、見事予選を通過した16名が、3/9にオフライン開催される本戦へと駒を進めました。

本戦は3/9の15:00~19:30で開催される予定で、会場での現地観戦(※申込受付期間は終了)のほか、YouTube・twitchのREALFORCE公式チャンネルでも配信が実施され、会場以外でも大会の模様を観戦することができます。
配信チャンネル:
・(Twitch) https://www.twitch.tv/realforcegg
・(YouTube) https://www.youtube.com/@REALFORCE/streams

また、本大会は⽇本テレビ放送網株式会社との共同開催となっており、本戦の模様は後日、日本テレビの eスポーツ応援番組「eGG」にて放送予定となっています。

大会ルール・みどころ

本大会ではシングルエリミネーション制のトーナメントが採用されており、本戦の各試合はWeather Typingを用いて「10ワード・正確性縛り95%以上・勝敗はワード数準拠」のルールで行われます(ただし、10-10で決着し両者の正確性が95%以上のときのみ、トータルポイントの多寡で勝敗が決まります)。
決勝戦以外は各試合が3ゲーム先取(Best of 5)、決勝戦のみ5ゲーム先取(Best of 9)となっています。
大会用にオリジナルワードが4種類(「日テレ」「ライフ」「旅行」と、すべてのワードが出現する「ALL」ワード)用意されており、各試合の第1ゲームはALLワードで、2ゲーム目以降は直前のゲームの敗者が選んだワードで対戦が行われます。
また、試合中の使用配列変更は認められておらず、同一試合では1つの配列のみ使用することができます(ワードに応じてQwertyとJISかなを使い分ける、というようなことはできません)。

本大会独自の要素として、「正確性95%縛り」ルールの存在があり、試合中にはワード数だけでなく正確性を巡った駆け引きも行われます。
このルールの重要性を高めるために、今回の大会から、正確性の回復以外を目的として打鍵の途中で意図的に手を止める行為が禁止となりました。
これまでの大会でも見られた、正確性を回復させるために最後の1文字を残して相手の打ち切りを待つテクニックは引き続き使うことができますが、苦手ワードが来た時に体力温存や連鎖的なミスを避けるためにそのワードを捨てるというようなことはできなくなりました。
(3/12追記)今大会から追加された「打ち始めた後に入力を途中で止める行為」の解釈について、正確性で上回っている側が相手の自滅を待つために打鍵をせず放置する行為を防ぐ目的で設定されたルールとのことでした。
具体的な例で説明すると、1Pが3ワード・正確性97%、2Pが8ワード・正確性90%のとき、1P側が一切打鍵をせずに放置することで2P側の自滅を強制することができますが、今大会から追加されたルールによりこのような戦略が使えなくなりました。
この例では、1P側が勝つためには正確性95%以上を保ちつつ残り7ワードを取る必要がありますが、その間に2P側も正確性を回復させるチャンスが生まれることになり、必ずしも1P側が勝てるとは限らなくなっています。

今回の大会は、これまでの大会とは異なり事前に1回戦の組み合わせが決定しており、大会用ワード公開の直後に本戦参加者に共有されたほか、大会直前に一般公開もされています。
事前に対戦相手が分かっているという状況が選手にどのような影響を与えるのか、それぞれのカードの勝者が誰になるのかなど、事前の組み合わせ決定により大会の魅力がさらに増したのではないでしょうか。

2. 本戦ワード解説

日テレワード

昨年の大会でも登場したテーマで、今年のワードは昨年のワードからおよそ半数ほどが差し替えられています。
番組名のワードが減ったこともあり、特にJISかなでの打ちにくさは多少抑えられたものの、昨年打ちにくさで話題となった「Oha!4 NEWS LIVE」や「Going! Sports&Newsから」は健在、依然としてローマ字・JISかなともにやりこみ量が問われるワードになっています。
打ちやすいワードと打ちにくいワードの差が激しく、長さもワードによってまちまちなので昨年同様運要素の多いワードではありますが、とはいえ平均的なワードの長さは3ワードの中で最長で、正確性重視で打てばそれなりに安定するワードでもあるので、正確性95%ルールでの圧の掛けあいが起きるのではないかと思っています。
ややローマ字有利なワードという印象で、運要素が大きいワードなこともあり、ワンチャンスを狙って選択されることが予想されます。

ライフワード

昨年の「たべもの」テーマと同様に、一部の例外を除き全体的に文字数が非常に少なくなっているワードです。
Qwerty/JISかなともに打ちにくい難しいワードが少なく、特にJISかなで打ちやすいワードが多いため、本戦ではJISかな勢が好んで投げることが予想されます。
一方で、Qwertyから見ても打ちやすいワードが多く、また文字数が少ないので、Qwertyでも初速差と短文加速力を押し付ければワードをもぎ取ることはできそうで、力と力のぶつかりあいになることが予想されます。
全体的にミスをしにくいワードではありますが、それ以上に速度を出しやすいワードなため、特にJISかな勢が真っ向勝負を挑むのに選ばれることが多そうです。

旅行ワード

日テレワードと同程度の長さとなっているのでJISかなでも正確性を保ちやすい一方、Qwerty/JISかなともにミスを誘発する要素がそれなりにあり、ワードによってQwerty/JISかなの打ちやすさが極端に変わるので、日テレワードとは別の意味でガチャ要素のあるワードになっています。
Qweだけが打ちやすいワードを多く引けばQwe有利、JISだけが打ちやすいワードを多く引けばJIS有利という展開になることが予想されるため、自分のペースを守るのが難しくワンサイドゲームになることが多くなりそうです。
特に異種配列戦でこのワードが選ばれた場合、どちらに有利になるかが読めないのでワードを選ぶ側にも選ばれる側にもリスクがありますが、自分の苦手なワードが続いた場合でも安定感を保って打ち抜けられる選手にとっては武器になりうるワードだと思います。

おまけ:ワードごとの分析情報

以下の画像は、RTC2024で用いられる3種類のワードについて、前半・後半の200ワードを対象にした分析結果をまとめたものです。
上段には各ワードのローマ字つづりでの平均文字数、文字数のばらつき具合、最短・下位25・50・75%・最長の文字数の分析結果がまとめられています。
また、下段にはJISかなでの減速要素となりうる文字(長音符・記号・英数字・小文字(「ゃ」や「っ」など)・濁点・半濁点)が含まれるワードの個数を集計し、JISかなでの打ちにくさの指標としています。

RTC2024 各ワードの分析結果
(参考)RTC2023 各ワードの分析結果

今年と去年の分析結果を比較すると、日テレワード以外の2ワードについて、ハイフン/長音符の出現頻度が大幅に下がっているのが分かります。
JISかなで減速要素となりうるその他の文字の出現頻度も下がっており、全体として日テレ以外の2ワードは昨年以上にJISかなで打ちやすいワードになっていると考えられます。
また昨年は日テレワード以外の2ワードがどちらも短く、また長さのブレも小さかったのに対して、今年は旅行ワードが日テレワードと同程度に長く、どのワードも長さのブレがそれなりにあるのが分かります。
全体として、日テレワード以外の2ワードはJISかなでも打ちやすく、また日テレワードも昨年よりはJISかなで打ちやすくなったため、今年は例年以上にJISかな勢の躍進が期待できるのではないかと思っています。

3. 予選の模様・本戦出場選手紹介

ローマ字部門

ローマ字部門の1週目は昨年と同様「バレンタイン」ワードが出題され、過去最高の水準での争いとなった昨年を上回る激戦が繰り広げられました。
特に、昨年の本戦参加者間でのデッドヒートがすさまじく、全員が昨年の記録を更新、昨年2位の記録が今年の5位相当になるなど、予選から史上最高レベルの戦いとなりました。

続く2週目のお題は昨年とは異なる「数のある言葉」ワードが出題され、昨年の「擬音・擬態語」ワードよりもスコアを狙うのが難しいこともあり、ボーダーラインは昨年より下がるのではないかと予想されていましたが、参加者層の実力向上もあり、ふたを開けてみると昨年以上のボーダーでの争いになりました。
特に、辞退者が出る前のボーダーラインだった752点の近辺に10人近い選手が固まっており、選手のレベル向上を感じる結果となりました。

かな部門

1週目・2週目ともにローマ字部門と同様のワードが出題され、昨年に勝るとも劣らない激戦が繰り広げられました。
1週目の「バレンタイン」ワードでは、muller・はやとぅ・三山羊の3名による異次元の戦いが開幕、全員が昨年1位の記録を上回り、昨年1位通過の三山羊選手が1週目での予選通過を逃すなど、予選と思えないレベルでの争いとなりました。

2週目の「数のある言葉」ワードは昨年の「擬音・擬態語」よりも打ちにくいワードだったこともあり、ボーダーラインこそ昨年を下回りましたが、それでも1位のスコアは600超え、2位争いも550付近での争いという激戦となりました。

本戦出場選手紹介

今大会は事前に1回戦の組み合わせ表が公開されているため、選手紹介も組み合わせ表の順に行っています。

[Aブロック]
・miri(予選スコア922/ローマ字予選1週目・1位)
昨年の予選で記録した自身の記録を1点上回る922という圧巻のスコアで予選を通過したmiri選手。
絶対的な実力を持ち、5連覇にも期待のかかるmiri選手ですが、2回戦で昨年の決勝カードであるくわなさんとぶつかる可能性があり、準決勝以降の道のりも平坦とはいえません。
果たしてmiri選手の5連覇は実現するのか、ぜひご注目ください。

・riafi(予選スコア742/ローマ字予選2週目・6位)
予選こそ滑り込みでの通過となったものの、Qwertyでの日本語入力・英語入力・JISかなでの日本語入力と、様々な分野で高い能力を有するriafi選手。
Qwerty/JISかなの両方を使いこなすオールラウンダーという点は、過去の大会で唯一miri選手に勝利したことのあるやだ選手を思わせます。
本戦ではQwertyとJISかなのどちらを選択するのか、riafi選手の戦いぶりにぜひご注目ください。

・くわな(予選スコア880/ローマ字予選1週目・3位)
昨年の予選でマークしたスコア863を上回る880というスコアで堂々の予選突破を決めたくわな選手。
本戦のワード公開後は配信で積極的に練習や対戦の様子を公開しており、その内容は圧巻の一言。
2回戦は昨年決勝で敗れたmiri選手へのリベンジマッチとなる可能性があるなかで、くわな選手がどのように本戦に臨むのか、ぜひご注目ください。

・たのん(予選スコア749/ローマ字予選2週目・5位)
予選で自身のベスト記録を更新しRTC初出場を掴んだたのん選手。
ランダム文字列で無類の強さを誇っているほか、Qwerty/JISかなの両方を打ちこなす二刀流でもあります。
本戦ではJISかなを選択することを公言しているたのん選手、選んだ武器はくわな選手に届くのか、ぜひご注目ください。

[Bブロック]
・魔が差す(予選スコア844/ローマ字予選1週目・6位)
昨年のRTC以降もY-i選手らと積極的にe-typing上で競い合ってきた魔が差す選手。
その成果が実り、本大会の予選では昨年を大きく上回るスコアを記録し1週目での本戦通過を成し遂げました。
本戦は昨年同様アルコール禁止となっていますが、魔が差す選手が本戦の舞台でどのように立ち回るのか、ぜひご注目ください。

・てぃーがー(予選スコア755/ローマ字予選2週目・3位)
激しいボーダー争いとなった2週目予選で、早くから好記録を残していたてぃーがー選手。
タイパーとしての表立った活動は少ないものの、瞬発力や短文での爆発力を持ち味としており、1回戦の魔が差す選手との試合も熱戦が予想されます。
てぃーがー選手の試合運びにぜひご注目ください。

・はやとぅ(予選スコア679/かな予選1週目・2位)
昨年からさらなるレベルアップを遂げ、自身初の予選1週目通過を果たしたはやとぅ選手。
速度・正確性に加え、昨年の大会で見せた試合勘は本戦出場者の中でも随一。
過去の大会でJISかな勢との数々の試合を制してきたはやとぅ選手ですが、今回も1回戦でJISかな使いのさなろーま?選手と激突します。
はやとぅ選手の戦いぶりにぜひご注目ください。

・さなろーま?(予選スコア561/かな予選2週目・2位)
激戦となったJISかな部門の予選を通過し、RTC初出場を決めたさなろーま?選手。
本大会でも用いられるWeather Typingの公式ワードではmullerさんと並ぶLv.15を達成しており、実力は他のJISかな勢に引けを取りません。
JISかなながら非常に高い正確性や安定感を誇るさなろーま?選手が本戦での戦いにどう臨むのか、ぜひご注目ください。

[Cブロック]
・goe(予選スコア904/ローマ字予選1週目・2位)
予選1週目で史上3人目のe-typing900超えとなる904を達成したgoe選手。
唯一無二の武器である初速だけでなく、短文での初期加速や打鍵の安定感も増しており、大幅な成長を見せています。
昨年は1回戦敗退となってしまったgoe選手が今年はどこまで勝ち上がるのか、ぜひご注目ください。

・really(予選スコア874/ローマ字予選1週目・4位)
昨年の記録を上回る874というスコアで予選1週目通過を果たしたreally選手。
予選1週目の開始数十分後には800超のスコアを記録、その後も自身の記録が抜かれるたびに記録を更新しかえすなど、その実力は健在。
1回戦は予選1週目を2位通過したgoe選手との対決となっており、激戦になることが予想されます。
really選手の活躍にぜひご注目ください。

・あるぱー(予選スコア811/ローマ字予選2週目・1位)
昨年と同水準のスコアで見事予選2週目を1位通過したあるぱー選手。
ホームポジションにとらわれない自由な運指はときに爆発力を、ときに安定感を生み出し、Y-iさんとの1回戦も熱い戦いになることが予想されます。
あるぱー選手の指捌きにぜひご注目ください。

・Y-i(予選スコア797/ローマ字予選2週目・2位)
昨年とは異なり予選1週目での通過とはならなかったものの、2週目で800近いスコアを記録し予選通過を決めたY-i選手。
e-typingでは大半のワードで800超の記録を保持するなど、ワードへの対応力は随一。
よきライバルであるあるぱー選手を相手にY-i選手がどのような戦いを見せるのか、ぜひご注目ください。

[Dブロック]
・三山羊(予選スコア618/かな予選2週目・1位)
e-typingのかな部門で歴代1位の記録を保持する三山羊選手。
今大会では惜しくも予選1週目での通過はならなかったものの、600超えのスコアを残し予選2週目を1位で通過しました。
昨年は3位だった三山羊選手が今年はどこまでトーナメント表を登るのか、三山羊選手の活躍にぜひご注目ください。

・seina(予選スコア854/ローマ字予選1週目・5位)
昨年は予選2週目での繰り上がり出場だったseina選手ですが、今年は854という堂々たる成績で本戦出場を決めました。
過去に類を見ない成長速度、そして両親指を活用する独自の運指から生み出される加速力が武器のseina選手。
JISかなのトップランカーである三山羊選手相手にどう立ち回るのか、ぜひご注目ください。

・セレナーデ☆ゆうき(予選スコア752/予選2週目・4位)
miri選手・muller選手に並び、5大会連続での本戦出場を決めたセレナーデ☆ゆうき選手。
予選2週目の初日に752というスコアを出しているなど、持ち味の初見力・対応力は健在。
セレナーデ☆ゆうき選手が強敵・muller選手相手にどのような試合運びを見せるのか、ぜひご注目ください。

・muller(予選スコア683/予選1週目・1位)
予選1週目ではやとぅ選手・三山羊選手に猛追されるも、自身のスコアが抜かれるたびに更新し返し、堂々の予選1週目1位通過となったmuller選手。
JISかなとは思えないような速度と正確性を両立する圧倒的な実力の持ち主で、難しいワードへの対応力も十分。
自身初、そしてJISかな勢初のRTC優勝を手にすることができるのか、muller選手の活躍にぜひご注目ください。

本大会では、16枠という限られた本戦出場の権利をかけて、予選の段階から激しい争いが繰り広げられました。
3/9に行われる本戦では、過去の大会で活躍を見せた強豪たちと、ここ数年で頭角を現した新星たちがしのぎを削ります。
どのカードも見逃せないアツい戦いになること間違いなしの本大会。
勝利の栄冠に輝くのは一体誰なのか、ぜひご自身の目で確かめてください!

Good Luck, Have Fun!