夏風邪だと思ったらコロナで、しかも嗅覚を失う。

どういうことだ。
全く香りを感じない。

原因を考えてもなにも思いつかない。
そういや、数日前まで熱が出ていたな。
四十度の熱だ。

でも、高熱で嗅覚がダメになるなんて初体験だ。
病院に行ってもコロナ検査は陰性だったしな。
しかし、動かしようのない現実がある。

とにかく何にも香りがしない。

再度病院に行ったら「コロナの後遺症ですね」と言われた。
いわゆる偽陰性ってやつさ。

まぁそれはいい。
とにかく臭いがしないのが困るんだ。

香り無き世界は生きるに値しない。
おいしいご飯も、あまつさえ固執した喫煙の楽しみすらも奪われている状態なんだから。

いったい俺が何をしたって言うんだ。
ただ真面目に生きていただけだぞ。

もし嗅覚を奪われるほどに、私が生きる事が罪深いのなら、私よりも先に死んだ奴はいいやつなのか。
そんなわけはない。
良い奴か悪い奴か、統計を取ったとしても相関指数は何も示さないだろう。

こうやって書いている間にもなんの臭いもしない。
デオドラント至上主義者なら喜ぶんだろうが、私は違う。

ただ、臭いがしないというだけでここまで苦しいとは。
世界を憎む。