紅葉の色仕掛けに負けるSS

DEAD OR ALIVE大会。
何でもありの男女混合異種格闘技大会。
俺、タケルもこの大会にエントリーしている。
空手と柔道を組み合わせた俺の技、誰にも負けはしない。絶対に優勝して、格闘界の頂点に立ってみせる。

最初の相手は紅葉というくノ一のようだ。
「よろしくお願いします」
礼儀正しく挨拶してくる。
俺は余裕で返した。
「こちらこそ、よろしくな」
紅葉は忍術を使うらしいが、そんなものは関係ない。
こっちには空手があるんだ。だが、ひとつだけ気になることがあった。
それは紅葉の服装である。

紅葉はノースリーブの巫女装束とくノ一装束をかけあわせたような格好をしているのだが、その胸元が大きく開いていて谷間が見えているのだ。
正直言って目のやり場に困る。
それにしてもこの女……めちゃくちゃ美人だ。スタイルもいいし、顔立ちも整っている。
ずっと山に篭って一人で修行をしていた俺には刺激が強すぎる。
……いかんいかん、何を考えてるんだ。大事な試合だぞ、集中しろ俺。深呼吸してそう自分に言い聞かせる。
「それでは試合開始!」
審判の声と共に戦いが始まった。
先手必勝! 俺は一気に間合いを詰めて蹴りを放つ。
しかし、紅葉はそれをひらりとかわした。
さすが忍者といったところか。動きが速い。
だが、まだまだこれからだぜ。
俺は次々と攻撃を繰り出す。
だが、どれも当たらない。まるで踊っているかのようにヒラリとかわす。
どうなってんだよ? こんなはずじゃなかったんだけど……。
焦り始めたその時だった。攻撃しようと振りかぶった手の平に、ふにゅんっ と温かく柔らかな感触が伝わる。
なんだ、これは手の方を見てみると…
おっぱい!?︎ なんと俺の手は偶然にも紅葉の胸にあたってしまっていたのだ。突然のことに頭の中が真っ白になってしまう。
「きゃあっ」
紅葉の恥ずかしそうな声で我に返る。
「いや~ん♡ もう…えっち♡」
「え、あ、あの、こ、ここ、これは、その、わざ、わざとじゃなくて、その…」
思わずしどろもどろになってしまう。
と次の瞬間
「隙ありっ!」
紅葉の廻し蹴りが飛んでくる。完全に勝負のことから気が逸れていた俺は避けることもできず、廻し蹴りが直撃。ふっとばされてしまった。

倒れている俺にバカにしたような声で話しかけてくる。
「あらら〜? 大丈夫~? あなたの攻撃なんて全然あたってなかったんですよ。急に私に触れられるわけないじゃないですか~。 わざとですよ、わ・ざ・と♡」
「うぐぅ……」
悔しくて何も言えない。確かにそうだ。俺の攻撃は一度も当たらなかった。
だが、こんなところで負けるわけにはいかないのだ。俺はよろよろと立ち上がる。
「まだやるんですね?」
「当たり前だろ」
「いいでしょう。でもあなたの弱点わかっちゃいました。こういうのに弱いでしょう?」
そう言うと紅葉は、腕でむぎゅっと胸を寄せて谷間を強調する。
またもや俺の視線はその谷間に釘付けになる。
「ほぉら、私のおっぱい見てくださいよ〜」
ダメだ、目をそらそうとするものの、どうしてもチラッチラッと見てしまう。
「ほーら、見てますよね? やっぱり男の子は大きい方が好きみたいですね」
そう言って今度は自分の胸を両手で揉み始める。
ぷるんっぷるんっと揺れ動く乳房。
俺はそれを食い入るように見ていた。
「ねぇ、もっと近くで見たいでしょ? ほら、おいで♪」そう言われてフラフラと近づいてしまう。
そしてついに目の前まで来てしまった。
「ふふっ、ここまで来たご褒美です。触ってもいいですよ♡」
そう言われると無意識のうちに手が伸びる。
あと少しで触れるという時だった。
「ふふっ ば~か♡」紅葉がニヤッと笑ったと思った瞬間、強烈な回し蹴りを食らい、またしても吹っ飛ばされた。
「勝者、紅葉!」
審判の声が響く。
結局、俺は一度も攻撃を当てることができず、そのまま敗北してしまったのだ。
こうして俺の初陣は惨敗に終わったのであった。

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