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信長の野望覇道が友達バイバイゲーへ 絶望のゲーム体験

 今作「信長の覇道 野望」(以下 信長覇道)は「大名家に仕える」というコンセプトにより、シーズンを通して「強制同盟制度」が取り入れられていることが全てのゲームバランスを破綻させている根源であることに言及しておきます。

 信長覇道はコーエーテクモゲームスが2022/12/1に配信、iOS/Android/PC向けのMMO戦略シュミレーションゲームとなっています。

 いわゆる「村ゲー」と呼ばれる戦争ゲームで、今作は領土や名城を奪い合いながら士官している大名家の勢力を伸ばすために、1シーズン(3ヵ月)を通してユーザー間で戦争と外交合戦を繰り広げならイベントをこなして行くといった内容になっているのですが、大名家システムによってゲームバランスが破綻しており、一般的な村ゲーのようなゲーム体験を望めないままリリースより半年が経ちました。

 そんな信長覇道が2023/5/31でシーズン2を終了し、とんでもない仕様変更を伴ってシーズン3へ移行するため、問題点と改善案をまとめてみたいと思います。


 リリース前の2022/11/30に4Gamer.net掲載

高林氏:
 すべての部隊がマップ上に現れて,複数の部隊が互いにぶつかり合いながら戦う。それが覇道シリーズの特徴と捉えています。
 類似ジャンルですと,部隊が一つずつ対決をし,その部隊のみの優劣で勝負するゲームもありますが,覇道ではよりリアルタイムストラテジーに近い,多数の部隊が同時接触する仕組みとしています。
 そのため,複数部隊の戦いがリアルタイムに行われること。これが本作において,まず第一に実現すべき要素でした。


 この「複数部隊の戦いがリアルタイムに行われていること。」を実現することが第一だったという点には疑問があります。

 防衛行動である「待伏・遊撃」を一門の垣根を超え、大名家単位で行える一方で、攻撃行動は一門単位でしか行えないためです。

 攻撃有利とはいえ、膠着状態になれば数が多い防衛が圧倒的有利になるのは明らかで、その結果大量の部隊が領土防衛を行う塹壕状態での睨み合いという何が面白いのか全く分からない状況が最適解として多方面で実施される状態に陥っていりました。

 また、調達に出している部隊は攻撃防衛行動が出来ず、調達での拘束時間が2時間~4時間と、防衛させる気があるのか?という根本的な疑問もあります。

 取得した領土に応じて資源時給UPと、一定時間毎に領土に応じてアイテムを取得できるか、調達時間をなくし、単純に調達は往復のみでアイテムを取得できるような仕組みで良いのではないでしょうか。

 第一に実現したかった複数部隊での戦いを調達が弊害になってしまっているバランスはどういった経緯でそうなったのか、ゲームをプレイする限り今の調達システムでないとバランスが壊れるとは感じられません。

 この塹壕状態は、シーズン1の途中で破棄された同じ大名家領土へ移転出来るよう仕様変更されたことも大きな要因になっています。

 一門単位で進軍していくバランスから、大名家単位で進軍する仕様へ大きな仕様変更となったわけですが、それに伴う調整がされていないため、ゲーム全体でバランスが崩れてしまいました。

 この仕様変更がなければ、局所的に起きる戦闘は一門vs一門の構図で、戦略的に動く事で大名家vs大名家の戦闘が実現するといったバランスだったのが、簡単に大名家vs大名家の戦闘が可能になってしまったことで、局所的な戦いであっても大名家単位での攻防を意識する必要が出てしまっているのは非常に問題があると思います。

高林氏:
 「信長の野望 覇道」では,同じ大名家の仲間たちと共闘し,天下統一を成し遂げるまでのプロセスを体験していただけます。多くの方々は出身地や現在お住まいの土地への思い入れがあるはずですので,現実の親近感を持って,ゲーム内で領土争いを楽しんでいただきたいです。

 「天下統一」というのは村ゲーではよくあるコンセプトなので、コンセプトそのものは良いと思いますが、信長覇道は天下統一を目指すゲーム設計になっておらず、何をもって天下統一を成し遂げたとなるのかがよくわかりません。

 シーズン1では「山城国」区画が実装されておらず、室町御所はただの飾りでした。シーズン1の最初にお知らせで告知があったようですが、信長覇道のお知らせは周知するには不親切な仕様で、多くのプレイヤーがこのことを認識しないまま遊んでおり、残念なシーズンになっていたのを覚えています。

 シーズン2で「山城国」区画と「室町御所」が実装されましたが、室町御所をとれば天下統一というわけでもなく、単に利権武将の購入権利がちょっと多めに貰える程度の場所であり、報酬が弱すぎるため、プライドをかけた戦い以外に奪い合う動機が生まれにくいのではないでしょうか。

 一般的な村ゲーではエリアを関所で分け、中央エリアに行くほど領土報酬が多く、中央へ進む動機が用意されています。またシーズン報酬にも相応の物が用意されており、最後まで戦う意義があります。

 また、関所でエリアが完全に分けられているため、初期位置から小規模な戦いを経て一門が強くなっていくように設計されているのですが、それに代わるものが信長覇道には用意されておらず、単に「マップで自由に殴り合ってくれ」という不親切な設計になっています。

 序盤から自由にどこにでも(山城国を省く)移動可能にしている理由が特に見当たらないため、特定の大名家や一門が序盤から多方面に殴られ没落し、シーズン3ヵ月が消化試合になってしまう状況が各鯖で起きており、見ていて悲しい気持ちなりながらも殴るしかないという悲しいゲーム体験をすることになっているのを運営には把握してるようですが、対策はいまだされておりません。

 この対策にシーズン3では各大名家の戦力が均等になるように、システム的にユーザーの所属大名家を割り振るようですが、一緒に遊んでいた仲間が敵対関係になる友達バイバイ仕様は団体でプレイしているユーザーたちにとってみればゲームを引退する案件になるのは自明で、何故こんな仕様を実装したのか理解が出来ません。

 村ゲーでは外部ツールで繋がり、アプリ外でもコミュニケーションをとりながら共に遊んでいくような文化がありますが、こういった文化を破壊してプレイヤー1人1人が個別に楽しむといったコンセプトでもあるのでしょうか。

 天下統一というコンセプトがあるなら、シーズンを通して天下統一を目指させるゲームへするために、関所によるエリアわけをするか、マップを大きくすることで序盤から何も出来ない一門が生まれないようにするべきです。

 外交でどうにかしろというのは、現状の大名家(強制同盟)システムでは、外交が得意ではない大名家が生まれるため、無理な要求です。

4Gamer:
 CBTでは越後から播磨あたりまで,本州の中央部が合戦の舞台になっていましたが,リリース後はほかの地域も登場しますか。
高林氏:
 配信後のアップデートで検討していきます。東北や山陽・山陰,九州といった地方にも全国的に名の知られた人物はたくさんいるので,各地に縁のある武将の登場も楽しみにしていてください。

 関所によるエリアわけがないのと、強豪大名家による陣地拡大に対して、マップが狭すぎる状態が常態化してしまう問題は日本列島全体を実装すれば解決する可能性がありますが、逆に言えば中央部のみのままでは今後も狭いマップで領土や少ない名城を取り合うといった悲しい状況が長期間続くことを意味します。

 こういったゲームを作りたいという思いは理解出来ますが、その思いをゲームバランスへ反映しきれていないのは大変問題があります。

高林氏:
 CBTでは攻城戦に参加しなかったプレイヤーさんが多かったのですが,どこがハードルだったかを考えるとやはり,一番は人を集めるだと考えました。そこをお客さまに任せてしまうのではなく,システムとコンテンツで解決すべきと考え,用意しました。

 今のこの認識を継承しているのであれば今後のアップデートに期待がもてないように感じます。

 信長覇道は近年リリースされている村ゲーの良いところを一切無視して、独自に作ったような印象を受けるほどバランスが崩壊しており、「人を集める」ことをシステムとコンテンツで解決すべきというのは実現出来ればいいですが、実現できないのでユーザーに任されているというのを理解しておられないように見えます。

 そもそも一門の上限が30人しかいないにも関わらず、システム的に人を集めることを解決するというのはどういうことなのかよくわかりません。

 100人を超えるような規模であっても日中にログインして即応できる人数は非常に少ない場面が多々あり、30人構成で日中に即応性が担保出来ると考えた根拠はどこから来ているのでしょうか。

 記事中、アプリを常時気にしなくても楽しめる仕組みを意識しているといった言葉がありますが、アプリを常時気にしなくていい戦争ゲームは村ゲーとは別のゲームになってくるので、根本的にズレているように思います。

 いっそのこと、第三勢力としてNPCだけの大名家を用意して、PVPではなく限りなくPVEに寄せてしまった方が良いまであります。


2023/02/28にyoutubeで公式生放送

 2月の生放送でマップの拡大については前向きに準備検討していますとの言及があったため、今後のアップデートで拡大される可能性はありそうですが、シーズン3で実装されるかは2023/5/30に予定されている生放送で明らかになりそうです。

 大名同士の外交関係をシステムとして組み込めないかという質問に対して、「大名家全員が納得出来ような外交は出来ないと思っており」との回答をしており、強制同盟システムを実装して大名家単位で競わせているにも関わらず、大名家単位での意思統一は出来ないと考えているのは、どういうことなのか理解が出来ません。

 現に、実際には大名家単位で意思統一をすることで大名家単位での外交をせざるおえず、利敵行為対策として実装された「告発・制裁」制度が大名家の意思統一の手段として用いられて内紛が起きた事例もあります。

 一門単位での外交を尊重するのであれば、それこそ強制同盟である大名家システムを無くすか、他大名家へ離反できるようにしておくべきであり、大名家へ使えるというコンセプトの否定ではないでしょうか。


2023-02-28にファミ通掲載

シーズン1を振り返ってみての総評をお聞かせいただけますでしょうか?
高林 元々目指していた「戦線が動いたときに、動いている人数が多いほうが勝つ」という、シンプルな集団ウォーゲームの実現はできたと考えています。

 強制同盟で他大名家へ離反出来ない仕様にしたうえで、「動いている人数が多い方が勝つ」というコンセプトにしているのは衝撃です。

 アクティブの少ない大名家に所属してしまった場合、そのシーズンは諦めて頂くということを当初から念頭に置いていたのでしょうか。

 救済処置として、他大名家へ条件付けでもいいので離反出来るようにしておく必要があると思うのですが、この辺はどう考えているのかとても気になります。

高林 現在のゲームシステムでは大名家に属さない状態でもプレイができるような下地が整っていませんので、放逐というのはいまは考えていません。でも、大名家に属さないプレイヤーが国人衆のような存在になり、そうしたカテゴリも活躍できるようなシステムができると、また新しい面白さが生まれそうです。ゲーム性の広がりとともに検討していきたいと思います。

 第三勢力のようなプレイはこの時点ではまだ実装出来ない状況のようです。

 ただ、第三勢力はゲームバランスをしっかり考えて実装しないとゲーム性を破綻させる要因になるため、現状のバランスを見るに、実装しないほうが良いように思います。


2023/04/25にyoutubeで公式生放送

 1大名家が圧倒的な領土を持ち、逆転が不可能に思えるので対策はあるのでしょうか?という質問に対して、シーズン3に向けての対策は「士官先をシステム側で戦力が均衡になるように対応」(友達バイバイ機能)という友達と一緒に遊ぶより、戦力が均衡になることを優先することがこの生放送で言及されました。

 仲間と一緒にシーズン3を遊べなければ引退案件になるというのは考えなかったのでしょうか。バラバラになっても多くの人が遊び続けると確信できるだけのデータがあったのか気になるところです。


 改めてインタビュー記事や公式生放送を見返すと、リアルタイムで問題点については認識しており、改善しようとしているのは伝わってきます。

 一方で、実際に改善するために実装した新仕様のいくつかが大きな改悪となってしまっているケースが目立ち、問題を認識しているが、何故そういった問題が起きているのかを正確に把握していない印象を受けます。

 改悪になるアップデートは、少し考えれば更なる問題を引き起こす事は容易に想像できるため、その場しのぎの対策にすらなっていません。

 大名家システムを抜本的に改修できれば一番良いのですが、それが出来ないというのは理解出来ます。

 しかし、そうであれば他大名家へ条件付けで1度だけ離反出来るようにしたり、シーズンの切り替わりに同時期にオープンした他鯖へ順次人数制限をつけて移住出来るようにしたりと、ユーザー自身が自由意思で遊べる環境を選択できるようにするべきだと思います。

 これに関しても、シーズン2で統合した鯖を、シーズン3ではバラバラにして再統合するという斜め上の仕様になっており、更に大名家も希望制なうえ、戦力を均衡にするためにシステム側で割り振るといった同じ大名家ですら遊べない可能性があるという友達バイバイシステムは村ゲーに限らず、ギルド系のゲームではあればありえない仕様です。

 強制同盟である大名家システムで、バラバラの大名家へシステム側で割り振られるということは、シーズン2で共に戦った戦友と意図しない形で敵対関係になることを意味しています。

 ただでさえ戦争ゲームでは人間関係がこじれやすい上に、仲良くなった戦友と強制的に敵対関係へなることが楽しいのでしょうか。

 また、史実に沿った立地にしたいというのは分かりますが、長方形のマップを継続するのであれば4大名家へ絞り、4隅へ初期リスポーンを配置し、シーズン最初のリスポーン位置も初期リスポーンにしておくのがベターです。

 また、マップ中央には山城国でなくとも、魅力的な名城を配置したり、中央へ向かう地形を4大名家それぞれの初期リスポーンが優位になるような工夫をすることで、バランス調整をするようことは出来るように見えます。

 このあたりは、史実にこだわっている本作では、こだわりが邪魔して調整が出来ずにいるのかなと思いますが、流石にゲーム体験を犠牲にしてまで固執するのはユーザーをないがしろにし過ぎではないでしょうか。


 2023/5/30に公式生放送が予定されており、そこでシーズン3へのアップデート内容が発表されると思いますが、この記事で書いた懸念が少しでも改善されることを祈るばかりです。

 最後に、想像以上に各大名家へユーザーがシステム側で割り振らて、一緒に遊んでいた仲間がバラバラになった場合、特定の大名家ではいわゆるグループ単位での引退案件になると思われるため、シーズン3も他家よりアクティブが少ない大名家や戦力が劣る大名家が多数観測される懸念があります。

 どういった割り振りにするつもりなのかわかりませんが、今からでも思いとどまって、やっぱりやめました!って生放送で発表してほしいものです。

 

戦友と離れ離れにさせれれ落ち込む武将達



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