リオ五輪男子サッカー代表お疲れ様の総括

「Jリーグ開幕後の五輪世代としては最弱」「アジア予選突破も怪しい」と言われ続けながらも予選でグイグイ勝ち進みリオオリンピックに出場できた手倉森ジャパンだったが、今日予選リーグ落ちが決まった。結構見ていて思い入れもあるので、いろいろ考えてたことを書きたい。

ナイジェリア戦・コロンビア戦でOA招集された塩谷と藤春がほとんどの失点に絡んでしまったために、「OA必要だったの?」みたいな話が出てた。しかしながら、今回の招集は半分くらいは割と仕方のないものだったと思われる。五輪出場決めた直後のOA候補が「大迫・柴崎・林卓人」だったように、当初から割と優秀なディフェンダーが多いという評判だったこの世代は、そもそもバックラインにOA呼ばなくてもいいだろう、という見通しだった。しかし春頃から奈良・山中・岩波などけが人が続出したためバックライン中心の選出に切り替えたという経緯がある。その中で海外組をうまく招集できず(当初は長友などの名前が挙がっていたけど)、国内組から選んだわけだ。ただ、半分といったのはそこまでの経緯の話で、タイプとしてあってたのかどうかはやや疑問。塩谷も藤春も守備力より攻撃参加で評価されている選手という認識なので、このチームに合わせるのは難しかったのでは、という気がする。(じゃあ誰にすれば良かったのよという向きはある。SBは誰が良かったのかね)

というのも、このチームにはあまりきちんとした守備戦術が整備されていなかったように感じるところがあるからだ。当初はアギーレ監督の率いるA代表と合わせて4-3-3を使っていたがどうもふわふわした感じ。そのあとシンプルな4-4-2にしたけど結局なんちゃってゾーンみたいな感じで植田と岩波のコンビネーションでどうにかしていたのが1月のU-23選手権。そこから選手が入れ替わっちゃうとどうにも厳しかったな…という感じ。というかナイジェリア戦での4-3-3採用はマジでなんだったんだろうという気持ちだった。案の定中盤の守備はズタズタだったわけで。

ちなみにFWとして前でボールを収め続けた興梠慎三について言うと、きっちり仕事は果たしたけどやっぱりアジアの外だと身長もう少し欲しいな…という気持ちに。大迫に断られたのは仕方ないけど、他の選手との補完性とかを考えると僕は鳥栖の豊田が一番良かったとずっと思っている。まあそれでも興梠はきちんと仕事してたと思うけど。

そんなわけでなんか東京五輪も手倉森監督で…とか言ってる人がいるみたいだけど、正直我慢してギリギリのところで勝ち続けた、というかきちんとチーム戦術が整備されてた感じはないので(チームとしては極めてよくまとまっていたと思う。手倉森さんはモチベーターとしてはかなり優秀だな、という印象)、そこは考え直して欲しい。しかし今の技術委員会って西野朗・山本昌邦という「チーム戦術がたいしてなかった監督」だった人ばっかなので、総括の内容含め不安は残る。

あと何人かの選手についてコメントしておきたい。
この世代の不動のセンターバックだった植田直通。彼ほどフィジカルの強いセンターバックはA代表にもいないので、プレイ精度を上げてもっと伸びていってほしい。結構期待している。
アーセナルに移籍の浅野拓磨は2ゴールで最低限存在感は見せたか。最終スウェーデン戦では怪我でコンディションが良くなかった。まずはチームに合流して、きちんと試合出られるといいね(貸出になったとしても)。
キャプテン遠藤航は正直に言うとボランチでは100%の良さが出なかった印象ではある。ただし危険察知はしっかりできてたので色々助かった。
実質的な副キャプテンで司令塔的役割だった大島僚太。アジアでのU-23選手権ではフィジカルコンタクトで負け続け終盤はほとんど使われなかったがそこから奮起しボール奪取のできる攻守に効くボランチに。この世代で今年最も伸びた選手なのでは。
FC東京ではなかなか定位置を獲得できていない中島翔哉。とはいえ小柄ながらもかなりがっちりとした体幹を持ち世界と渡り合い、コロンビア戦で見事なシュート。なんだかんだでこの世代のエースは彼だった。間違いない。
唯一のJ2からの選出だった矢島慎也。アジア選手権での韓国との決勝で1ゴール1アシスト、スウェーデン戦でのゴール、と勝負所に強かった。今は岡山で王様やってるけど、より上のカテゴリーに行くのかどうか。ただ浦和に来年戻すか?となると「うーむ…」という感じ。
GK中村航輔は彼こそが生GKであるべきだったでしょう。背丈も能力もあるので、まずはA代表に帯同できるところまでいってほしいところ。

ともあれ楽しませてもらいました。やっぱ世代別代表だとほとんどJからの選出になるから、身近に感じられて楽しいよね。

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