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腹腔鏡手術を受けた話ー病院の面会制限がしんどすぎるー

先週金曜日(8月13日)からこっち、またまた手術を伴う入院をしておりました。こんどは副腎に嚢胞状の腺腫ができたとかで、これを腹腔鏡手術で切除するものです。人によっては4日で退院する猛者もいるこの手術ですが、私はそうはいかなかったようで…

きっかけは、たしかただの感染性胃腸炎で腹痛がはげしすぎて救急車で運ばれたときに撮ったCTだった気がします。「ただの風邪でおなか痛いだけやけど、副腎になんかあるで」と言われました。ただし、良性腫瘍っぽいしまだ小さいので、大きくなってくるか、妙なホルモンを産生しだすか、どちらかの時には手術で取ったらいいよ、ということでした。

(私、本当にこういう「今は無害だけど大きくなったら取ろうね」系腫瘍が多くて。これまで、脳、手のひら、手指の付け根、足の裏、手首などなど。2020年2月の頸部腫瘍もそのたぐいでした。)

ところがここ数年、健康診断で高血圧で引っかかることが続き、かかりつけの内分泌に相談したところ、昨年夏に滾々と検査をした結果、「妙なホルモンを産生している」らしいことが発覚しました。アルドステロンだったかな。片側の副腎から、このホルモンが過量に分泌されているため、右の副腎がサボっている状態である、と。なので、切除すると当面の間サボっている右副腎だけになってしまい副腎不全を起こしやすいということなのです。普通の人であれば「ふーん、そうなんだ」で済む話ですが、私の場合、これはそこそこ命がけです。なぜなら、もともとこの腫瘍とは全然別の原因(下垂体機能低下症)で、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌量が人よりも少ないので、そこに加えて副腎本体までサボりだしたら生きておれんのです。ちなみに、副腎不全って強烈なやつが来ると15分おきに噴水のような嘔吐、脱水、意識障害、「殺してくれ」という気持ちにさせてくれる激甚な症状を呈します。

というわけで、腹腔鏡という棒をおなかにつっこむことよりも、その後の方がなんとなく不安で仕方がない入院が始まります。

この危機感は病院も共有してくれていて、頸部の手術の時には一度も様子を見に来なかった内分泌の先生が、毎日顔を出してくれています。

さて、「手術日の前営業日に入院」「泌尿器科の手術は月曜日」という謎ルールにより金曜日に入院し、2泊3日の劇ヒマタイムを過ごしました。入院前、岸田奈美さんの「もうあかんわ日記(ライツ社)」で、奈美さんのお母様が同じ病院に入院した際に「ふりかけは正義」と書いてはったので握りしめて入院しました。いやー、ふりかけ1つでこれだけQOLが向上するとは思いませんでした。ここの病院の場合、患者それぞれの食事の総カロリーを白米で調整しようとするので、健康な成人の場合、おかずの量に比してありえない量の白米が出てくるのです。私はさすがに減らしておくれ、とお願いしましたがそれでも多かったので、ふりかけは神でした。

8月16日(1日目)

さて、私はとにかく全身麻酔後に嘔吐する人なので、麻酔科の先生にも泌尿器科の先生にも病棟ナースにも、なんなら手術室ナースにも「私、吐きますんでよろしく!」と宣言してビビりつつ手術。

ところが、病室に帰ってきてもそれほど吐き気はなく、硬膜外麻酔から常時流れ込む局所麻酔のせいで終始うつらうつら。「これはイケる!」と思いながら1日目終了。

8月17日(2日目)

お昼前になり、「じゃあ歩いてみましょうかー」とのこと。無理目なようにも思いますが、このときの私は全然いけると思っていたのです。手術中からくっついていた尿道カテーテルも抜去し、傷口のドレーンも抜いて、エコノミークラス症候群除けの足マッサージ器も取っ払い、いよいよ歩行訓練。ナースステーションまでは歩けました。

ところが、調子に乗って食べた昼食がまずかったのか、昼過ぎに嘔吐。そこから持続的に(=絶えることなく)どうしようもない嘔気が襲ってきます。あれ、昨日から今朝にかけては調子よかったのに、なんでこんなことに…?そして真夜中、やっぱり嘔気に耐えきれなくなってトイレに立ち上がったとき、意識がすぅ~っとなくなり、全力で転倒、後頭部を床に強打するという大惨事を惹起してしまいました。私は意識朦朧でよく覚えていないのですが、男性看護師がてきぱきと指示し、当直の医師はおろおろしながら私をストレッチャーに乗せ、CT検査に連れていってくれました。幸い、出血などもなく、たんこぶもたぶんない…と、思います。

8月18日(3日目)

深夜に倒れたときに採血をしていたらしく、その結果によると、どうやら電解質(ナトリウム)のバランスをちょうハデに崩していたそうです。水中毒状態だったとか。水中毒って、精神疾患のからみで聞くけど、下垂体とか副腎関係でも関係あるんやね。とにかく体内の水が多すぎるので、今度は抗利尿ホルモン(これも出てないんですよ、私)の補充量を半分にして水を出す、と言われました。つまり、何をするかというと、尿道カテーテルを再度つっこんで尿量厳格管理です。私、これまで尿道カテーテルって、手術中に寝かされている間にされたことしかなかったのですが、起きてるときにあれをつっこむのってどう考えても痛くないですか!? い、いやだ・・・嫌すぎる・・・ で、つっこんだら案の定痛いし。ちょう痛いし! そんで、こんなもんぶら下げていたら満足に歩けないので、必然的にベッド上安静になるから歩行練習もできないし!

「これ、いつ取れるんでしょうか。」とおずおずと看護師さんに尋ねると、「短期だと思いますよ。1週間、ってことはないと思います。」

1週間、は、十分すぎるほど長い。できたら今日中に取ってくれ…

8月19日(4日目)

嘔吐の症状自体は、深夜の大転倒事件以降だいぶ落ち着いてきたので

あとは、やはり副腎腺腫を摘出した後、予想以上に副腎皮質ホルモンが出ていなかった上に嘔吐してしまって補充薬もうまく入らず、副腎不全を起こしていた、ということもあるのではないかとのこと。普通の副腎腺腫ならここまでにならないだろうに別に難しい病気を抱えているからムダに重症化してしまったようです。。。もー、どこを手術しても絶対ついて回るやん、副腎不全リスク。頸部腫瘍の時もそんな感じの症状で苦しんでたよ??

ともあれ、崩れまくっていた電解質のバランスも徐々に持ち直してきたことから、医師に「尿道・・・どうする?歩いてトイレいけるなら取ってもいいけど。」と言われました。

せんせい、逆や。こいつがあるからトイレ行かれへんねん。。

というわけで、無事1泊で尿道カテーテルとさようなら。よかったよかった。ついでに硬膜外麻酔のカテーテルも抜去。これで私をベッドに縛り付ける者は何もないぜ!

今日(19日)はだいぶ元気になり、晩御飯には全量いただくことができました。ふりかけ万歳。なので、冷蔵庫に蓄えておくためのペットボトルとか、おやつとか、おやつとか、おやつとか、急に買いに行きたくなります。あと日曜日から洗髪していなくてえらいことになっているので、シャワーも浴びたい。そこで担当看護師さんに相談すると、おとといの深夜の大転倒事件があるものだから、ちょう心配してくれました。シャワールームは送迎つき、コンビニも見送りだけ来てくれました。たしかに、ちょっとまだ強めの立ち眩みがあるので、何かあったら助けてもらわなければ。

面会謝絶の辛さ

そういえば、深夜の大転倒事件は、ナースステーションでもその日の話題になるくらいちょっとした大事件だったのですが、この程度のことでは家族に連絡って行かないんですね。結果的に大丈夫だったから、ということでしょうが。18日の昼前、まだ死にそうな体調の中で家族にLINEで短く顛末を送ったところ、実家がえらく心配してしまいました。1往復やり取りしただけで気力が尽きた私が返信しなかったところ、「大事故が遭ったのに病院から連絡がないのはおかしい!意識不明で本人が連絡できなくなっているのではないのか!」と不安になってしまったそうで、病棟へ電話かけてきてくれてしまいました。実は、平素、泰然自若が服を着て歩いているような性格の夫も、「普通に死にそうな内容やったもんな。」と言ってました。本人である私には、もう過ぎたことなので大したことではなかったんですが、それだけ見たらびっくりしますよね。びっくりします?

これは、コロナ禍がなくて普通に入院している状態だったら、気になることがあれば面会に来ればわかることなんですよね。なまじ会えないものだから、患者からの細かい連絡の内容や有無に至るまで、気になって仕方がないのだろうと思います。私も、家族はそう心配するだろうから、しんどい体調を押して連絡をするのですが、いかんせんしんどすぎるので連絡する内容が不十分になってしまい、かえって混乱させてしまったなぁと反省しています。警察のように「1日2人まで」とか人数制限をしてでも、部分的に会えるようにならないものか。1回目のワクチンを打った人の人数が人口の半分を越えたそうなのでそろそろ考えてほしいです。特に我が家の場合、全員ワクチン2回打ち+2週間の条件をクリアしているので、何とかならんかったんかなぁと思います。

結論

元気です(今のところ)

でも、明日元気かどうかは、まだわかりません。いかんせん、ホルモンが相手なので。医師もそこはなかなか太鼓判を押せないようなので、深夜の大転倒事件のせいで、退院が延びそうになっています。

※サムネイルの写真は、病院生活が長引いて食に飢えているので、今まで食べたものの中で一番感動したものを載せてみました。信じられるか?これ、皿と植木鉢以外、全部前菜として出てきたんだぜ…

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