【土曜日は一首評】 核発射ボタンをだれも見たことはないが誰しも赤色と思う/松木秀『5メートルほどの果てしなさ』
この短歌に出会う前の自分に「核発射ボタンってどんなのだと思う?」となにげなく訊いて、それを絵に描かせてみたい。そして画用紙にまんまと描かれた赤いボタンをみて、大笑いしたい。
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この短歌は、どアタマからインパクトのあることばがくる。
「核発射ボタン」という語には、少なくとも聞き覚えはない。ただし核兵器・原子爆弾といったものの発射を許可する装置としてのスイッチのようなもののことを言っているのだということはもちろんわかる。
核兵器が世の中にある限り、核の発射を許可するよう