「おかえりモネ」での亮のお父さん

NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」で百音の同級生の及川亮が遠洋漁船の船員なるが、その父・新次の事情について、実務経験者として解読します。

番組では、
・亮のお父さんは、魚群を素早く探す優秀な漁師であった。
・しかし借金がかさみ、百音のお父さんが説き伏せて漁船を処分させた。
・今は、「俺に船さえあれば」と飲んだくれている。
というもの。

実は、こういう事例はいくらでもあるのです。漁師は融資を受けられるなら新船にしたり、機関換装と言ってエンジンをバージョンアップする志向があります。漁船は皆ポルシェみたいなものです。

ところが、借りたはいいがお金が返せなくなる。大間のマグロの初セリ価格が話題になりますが、その裏で多くの漁師が借金に喘いでいる。数年前に初セリ価格が1億円になった漁師にそのお金を何に使うのですかとアナウンサーが訊ねたところ、「半分は借金返済」と答えていました。

おそらく、百音のお父さんは約定日毎の返済が進まない状況を見かねて、精算を促したのでしょう。

そして、こうした事例が多いのは、漁師に経営感覚がないからとは限りません。日本近海の漁獲量が全体として減る一方、輸入肉など肉類との価格競争で魚価が上がらないという、量と質の両面での大きなダメージがあるのです。

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