「威風堂々」はプロムスにかぎる。

イギリスで夏におこなわれる音楽祭がプロムス。今年は7月15日から9月10日までのスケジュールです。ほぼ2カ月にわたり、たくさんのコンサートが開かれます。そして最終日、ラストナイト・オブ・ザ・プロムスはロイヤルアルバートホールから全国に中継され、ある意味、日本のかつての紅白歌合戦みたいな国民的人気番組となっています。
このラストナイトはほぼお祭り気分で、クラシックコンサートの堅苦しさなどはまるでない。観客たちはコスプレし、クラッカーを鳴らし、国旗を振り回します。演奏される曲目も定番の曲が4曲あります。その中でも一番盛り上がるのが、エルガーの作曲した「威風堂々」なのです。
オーケストラはBBC交響楽団。指揮者はその年によってかわりますが、中堅でこれから巨匠への階段をのぼろうとしている成長株を抜擢しています。
ことしの10月には日本でもBBC交響楽団を招いて東京と大阪でプロムスを開催することになっています。2019年につづき、2度目となります。

それはさておき。「威風堂々」はコンサートの会場で静かに座って聴くよりはプロムスのアリーナで観客といっしょにたてのりするのがたのしいと思います。
だいたいどの年のラストナイトをみても、たくさんの英国旗にまぎれて日の丸の旗も振られています。ヨウツベでたまたま2014年のをみたのですが、やはり日の丸が目に入りました。
かつては日英同盟を結んだ仲だしね。ロイヤルアルバートホールに日の丸はよく似合います。

歌われている歌詞ですが、「世界に領土を拡大するわしらってすごいぜ」となっています。もうまさにイギリスが大英帝国で帝国主義を謳歌していた時代の空気です。

Land of Hope and Glory,
Mother of the Free,
How shall we extol thee,
Who are born of thee?
Wider still and wider
Shall thy bounds be set;
God, who made thee mighty,
Make thee mightier yet.
God, who made thee mighty,
Make thee mightier yet.

これにたいして、いま流行りのキャンセルカルチャー勢なら「帝国主義の歴史の反省もしないでいい気なものだ」となるのでしょうか。

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