Azure標準化ガイドラインが公開されました、そして読んでみました

今週、自社の同僚の方からAzure標準化ガイドラインなるものが公開されたことを教えてもらいました。

非常に学びの多く、Azureに関わっている人であれば是非見ておいて損の無い資料だと思いますが、以下に書いている通り非公式ゆえおおっぴらにアナウンスされることもなく、しれっと公開されていたのが驚きというかもったいないというか。。

Azure/Azure-standardization-guideline: Repository for Azure standardization guideline (github.com)

こちらは「Microsoft Azure を利用するにあたり、具体的なプラットフォーム/サービス設計の指針となるテンプレートとなることを目的とする」ものであり、日本マイクロソフト様の有志のエンジニアによって執筆されたものになります。
公式のものではないため、一切責任を負わない、問い合わせを受け付けないといった制限がありますので最初にそれら制限事項を確認してください。

と、このガイドライン自体にも書かれてはいますが、念のためこちらでも注意点について説明したところで、一通りこのガイドラインについて読んでみましたので、それについて軽く触れてみたいと思います。

上記URLのガイドラインの構成を見ていただければと思いますが、IaaSとPaaSの違いといった基礎的な部分から、設計、製造、そしてテスト、運用といった一連の作業に関する情報が一通り網羅されており、非常に濃い内容です。

恐らく我々のようなAzureを直接触る開発ベンダーのエンジニアだけでなく、その開発ベンダーに依頼いただくユーザーの方々にも理解しやすく、かつ有益な内容です。

「1-1.ビジネス SLA 設定」ではタイトル通りAzureのSLAについて触れています。当然ではありますが、私が以前書いた記事よりも量・質共に素晴らしい内容です。
特に
「冗長性を追加する前に、高可用性が要件にとってどの程度重要であるかを検討することが必要。なぜならば、アプリケーション SLA を満たすより簡単な方法が存在する場合がある。」
という文章、こちらは冗長性を求めるとコストが非常に高くついてしまいますよ、という前置きの上で書かれたもので、我々のように提案を行う側としては非常に考慮すべき内容となっています。

ガイドラインの内容を引用ばかりしていても意味が無いので、この中で興味深かったものを2点私の感想共に紹介させてください。

「1-5.ネーミングルール」、こちらもタイトルそのままではありますが、Azureのリソース、例えばAppServicesやSQL Databaseといったリソースを作成した場合、それぞれのリソースに対して名前を付けます。
Azureを数多くの案件で利用してきた経験上、ある程度名前の付け方も過去の例に従って決まってきます。
例えば本番環境であれば「PRD」、ステージング環境であれば「STG」を先頭に付けるといったものです。
ただ、それも暗黙の了解、あるいは今までの経験からくるものであり、明文化されていない会社、プロジェクトもあるかと思います。
今回こういったガイドラインの形で明確に示してもらえるのは新しく会社に入ってくる人間であったり、新人の方々にレクチャーするにあたって非常に有益なものになると思います。

次に「3-1.テスト/検証」、こちらはAzure上のシステムに対し、AzureもしくはMicrosoftのサービスを利用することでテストがどこまで便利にかつ網羅できるかを示してくれており、Azure DevOpsのPipelines、Azure Test Plansといったものが紹介されています。
Azureのガイドラインではありますが、インフラ周りのテストだけなく、ユニットテストやUIテストについても網羅されています。
そして一番興味深かったのが、「カオスエンジニアリング(もしくはカオスモンキー)」になります。
「カオスエンジニアリング」はNetflixでも実践しており、本番環境で意図的に障害を起こし、それに対して復旧を行う取り組みになりますが、私がそれを知った記事ではAWSのサービスとして提供されているということでした。

そのときにAzureではどうなんだろう。。?とは思いながらも、そのまま忙しさにかまけて調べるのをサボっていまして、今回ガイドラインを眺めていたら同じようなサービスが存在することが書かれていました。
それが「Azure Chaos Studio」です。

こちらはまだプレビュー段階ではありますが、その名の通りカオスエンジニアリングを提供してくれるものらしく、まだ上のページを眺めただけではありますが、非常に興味深く、機会があれば調べてみたいと思います。

以上、まずは私個人が非常に気になった、もしくは興味深く思った内容について紹介させていただきましたが、上のカオスエンジニアリングのようにAzureの最新情報についても触れられていますので、Azureについてある程度知見のある方にとっても知識のアップデートという意味では非常に役に立つものになると思いますので是非目を通してもらえればと思います。
そして、我々のようなベンダー、SIerにとっては設計、運用だけでなく、提案フェーズにおいても非常に役立つ資料になると思います。

また、こんな市井の片隅でひっそりと書いているようなブログを読んでいることは無さそうな気がしますが、このような有益なガイドラインを作成いただいた日本マイクロソフトの有志の皆様、ありがとうございました。

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