エチオピアで売れるレジって? vol.5
今回は、私がエチオピアで2億円分販売したレジについてのお話しです。
レジ
キャッシュレジスター
日本のスーパーなどで使われている「チーン」と開いてお金が出てくるやつです。
世界にはレジを使うことが珍しい国がたくさんあります。
アフリカもそんな地域の一つ。
ほら、聞いたことありませんか?
アフリカ人は靴を履いていないという事実を目にして、
「だめだ、ここでは靴は売れない・・・」と思うか、
「誰も履いてないんだからこれから靴がどんどん売れるぞ!」と思うか。
当時、エチオピアでレジを使っているのは一流ホテルのシェラトンとヒルトンくらいでした。
「だからレジが売れる」
そう睨んで、世界中のレジ会社で一番乗りしたのが、当時、私が勤めていた会社でした。
このレジ、普通のレジではないのです。
レジの中にFiscal Memory(フィスカルメモリー)という特殊なメモリが搭載されており、レジを介した売買履歴が自動的に溜まるように設計されています。
外付けの通信機器をレジに繋ぎ、ボタンと「ピッ」と押すと、メモリーの中のデータが国税局のサーバーに転送する仕組みになっています。
そう、脱税防止のためのレジなのです。
発展途上国では脱税が横行していると聞きました。
税金(VAT)が納められないと、国のインフラが整っていきません。
道路、橋、学校、病院・・・
衣食住や教育、医療など生活レベルを上げていくことが難しくなります。
納税額を正しく算出するためには売り上げを正しく把握することから始めなければなりませんが、台帳の売り上げはちょろまかすことができるので使えません。
台帳すらつけていない売買も溢れていました。
そこで、国中のお店に、
Fiscal Memoryを搭載したレジの使用を義務付け、そのレジを使用しない場合は営業を許可しない
という法律を作り、レジの使用を義務付けることで、確実にVAT を徴収していきます。
マルタが発祥というこの法律はFiscal法(フィスカル法)と呼ばれ、当時で世界約30カ国で施行されていると聞きました。
ポーランドのインフラ整備が進んだのはこの法律の実施があったからだとか。
アフリカでFiscal法の導入を一番初めに決めたのはケニア
そのケニアを見て興味を持ったのが隣国のエチオピア
私の会社は、エチオピア政府と一緒にFiscal法の法律を書くところから始めました。
・法律を書く
・法律に準拠したレジの開発
・法律の公示と周知徹底、理解を求める
・法律の実施
・レジの輸出入
・海外送金
・販売体制の確立
・営業、技術者の教育
などなど。
大学を卒業した翌年
当時23歳だった私はたった一人、
一国の税収システムをゼロから作り上げる最前線に立っていました。
税金が正しく納められれば、この国は豊かになると信じて・・・
サポート金が貯まって、エチオピアに寄付できる日が来たりしたら嬉しすぎるな〜。学校を建てる、井戸を掘る、日本を体験するイベント開催などなど。うん、アイディアがたくさん浮かんでくる^^