ハニー珈琲西新店

2年ほど前から、西新へ行く用事があると、プラリバのハニー珈琲へ美味しいコーヒー豆を買いに行くことは、私の楽しみのひとつになった。ハニー珈琲で豆を買うようになったきっかけは、たなまち農園が創業したての頃から、代表の井崎克英さんが野菜セットをお取りくださっていることだ。(井崎さんには、ここには書ききれないほど、本当に良くして頂き、感謝し尽くせません)

 先月、西新店の店長の貴島さんが、試飲用の紙コップを受け取ったわたしの荒れた手を見て、「わあ、頑張ってる手だあ。お母さん、ありがとう、ありがとう」と声をかけてくれた。わたしはその言葉がじわっと胸に沁みて、なんだか泣きそうになってしまった。そしてお店なので、泣くのを我慢して、力なく笑った。元々肌があまり強くなくて、手は家事や子供たちのお世話で荒れていつも赤くなっている。心配されることも時々あって、あまり人に見られたくなかったのだけど、その日は帰りの車でハンドルを握った自分の手を見て、心の中に明かりが灯ったように嬉しくなった。

この日わたしは、「豆をいつもと違うものにチャレンジしてみたいなあと思っているんです。でも、どれも美味しいなあと思うばかりであまり違いが分からなくて。」と話した。すると、「棚町さんは、どんな時にコーヒーを飲むんですか?」と尋ねて頂いたので、「子どもたちが眠って、ひと息つきたいときに」と答えた。貴島さんは、カルモ・エステートという、やさしくふわりと香るコーヒーを勧めてくれた。ひと口ひと口、余韻が長く続き、和菓子にも合うような味だと教えてもらった。

わたしはこの豆と、夫の好きそうな味だった季節のブレンド豆(秋麗カフェ)を購入して帰った。

数日後に、うちの紅はるかをオーブンで焼き芋にして、カルモ・エステートと一緒にお昼ご飯にしたら、あまりにも相性が良すぎて、ひとりで静かに感動してしまった。焼き芋の繊細な甘さを引き立てられるコーヒーってすごい。

 貴島さんは、先日たなまち農園の秋の見学会にも足を運んでくださった。わたしにとって、まるで親戚のお兄さんのような人。紳士で、包み込むようにやさしくて、お会いできると嬉しくなる。わあ、もし読んでもらったら、次行くのがちょっと照れくさいな。いつもわたしたち夫婦は、元気な日も、ちょっとしょんぼりな日も、一緒に飲む美味しい珈琲のひとときに助けてもらっています。


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