福徳岡ノ場からの軽石の漂流について (3)

土佐沖の軽石の行く末

第五管区海上保安本部が10月30日と31日に航空機から確認した軽石、ついに本州にも漂着か!と思われた方も多いかもしれません。保安庁が確認した軽石は、土佐沖といえども普通の人の感覚からするとかなり沖です。さて、この軽石が本州まで来るのかどうか、漂流シミュレーションをしてみました。

大蛇行で東日本への到着はまでには時間がかかる

保安庁が漂流を確認した海域を含む海域に10月31日に粒子を置いて、流してみた結果が次の動画です (細かい設定などなどは最後にまとめて書いています)。

11月2日の表層の流れの分布が下の図です。

画像1

黒潮の南端くらいに位置しているので、下流に流されながら、紀伊半島の南方沖でほぼ真南に南下する黒潮の壁にぶつかって南に移動、流れが東向きに変わるところで、西に戻るやつと東に流れていくやつに分かれる、というところまでの予測になっています。黒潮が遥か南に持っていっているので、東日本の沖合への到着はもう少し先でしょうか。

黒潮流路の特徴

といっても、現在、蛇行がかなり西によっていて、上の図からも、日本列島に戻っていく先が遠州灘になっています。典型的な大蛇行流路だと伊豆半島から相模湾めざして戻っていくので、かなり西側で本州に接岸しています。この流路が軽石の漂流 (と本州沿岸への漂着) に及ぼす影響は注視する必要がある気がしています。

漂流シミュレーションの設定

最後に設定を記載しておきます。モデルは、上の図の範囲を1/60度で解いているMTLというモデルです (Tanaka et al. 2018 とほぼ同じ設定のまま海域を変更したものです)。10月31日初期値の8日予測のデータを使っています。流速は1時間ごとに出力した瞬間値、時間方向には線形補間しています。漂流予測の時間ステップは1分、粒子は表層の流速のみによって流される仮定をしています (なので風の影響は考慮されていない)。

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