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インド訪問記-下-

さて、今回の訪問により見えてきたことがいくつかありました。


まず、文房具の提供は引き続き必要であること。Aozora schoolは経済的に貧しい家庭の子どもも通ってきます。公立の学校ではないため、教科書、ノート、筆記用具、制服は全て寄付金で賄われています(これ以外にも先生の給料や学校のメンテナンス費用も別途必要)。これらの必要経費は年間約20万円とのことです。

これ以外にも突発的に必要な費用も発生しています。例えば、インドの学校は子どもの安全を確保するために教室の四隅に監視カメラを設置し、そのデータを政府に提出しなければならないそうです。このカメラ設置費用は学校側が負担して設置しなければならないとのこと。また、先生の指導力を担保すべく先生方は政府が指定する研修の参加が求められ、研修が終了すると先生方は「公務員」扱いとなるようです。ただ「公務員」になるものの決して政府から給料が出るわけではなく学校側が給料を負担しなければならないとのこと。「公務員」となった先生は州をまたいで指導出来るようになるため、良い先生は高給が払える学校に行ってしまいます。学校側としては先生を確保するために良い給料を出さねばならず、それが学校経営の負担になっていきます。監視カメラや先生への給与支払いなど、不定期で生じる負担もあります。
ニケシュ校長先生はじめ学校関係者は子どもたちのために一生懸命行動して学校運営をされていました。この姿を今回直接みて、引き続きイッポラボとしても支援していきたいと強く思いました。

また、Aozora Schoolのような小学校を卒業した後は、公的で授業料が無料の高校に進学することが可能になります。つまり小学校を頑張って卒業すれば、次のレベルの教育を無料で受けることができます。ますます小学校の授業(インドは6年間)をきちんと受け続け、基礎的な学力を身につけることが大切になってきます。子どもたちに選択肢の多い人生を歩んでもらうためには勉強環境を整えてあげることが求められています。

Aozora Schoolに通う子どもの家庭環境も見えてきました。親の平均収入は、1日あたり300ルピー(約450円)。1リットルの水が20ルピー(約30円)、レストランでカレーを食べると約200ルピー(約300円)することを考えても、十分な稼ぎではありません。そんな中、子どもの親のほとんどは教育を受けてないということなので、教育、学校の必要性をなかなか理解できない親もおられるようです。先生も、「宿題を出しても家でも勉強をさせようと考える親がほとんどいない」と嘆いておられました。そんな嘆きの声は先生から上がるものの、平均収入を考えると子どもにも働いて欲しいと親が思ってしまうことも納得がいきます。この状況から考えても、せめて子どもが学校に来ている間にはきちんと勉強をして少しでも多くの知識を詰め込んでほしいと思います。

校長先生に、学校教育で一番大事なことはなんですか?と聞いてみました。すると。「Art and Creativityだ」との回答が返ってきました。側から学校を見てみると、「子ども全員に教育を受けさせること」とか「基礎的な知識を持たせること」といった回答が返ってくると予想していたのですが、校長先生の意見はアートと創造力でした。「人はいろんなことを考えて考えて、新しいことを生み出すことで豊かになる。社会も豊かになる。子どもたちにはそういう人間になってほしい。」そんな想いをお持ちでした。校長先生は子どもたちの目先の学習環境を整えることだけではなく、学校のある地域を、社会を、インドという国を豊かにするために教育はどうあるべきか、そのスケールで考えておられました。教育に必要なのはアートと創造力。これは日本人にも言えることかもしれません。

インドという国はカースト制の影響もあってか目に見えて貧富の差がありました。インドとは長く関わっていくことになるので、自分の目で見続けていこうと思います。

-完-

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