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ちょこっと街歩き| ポートランド(メーン州)【コラム|Winter 2018】

(掲載|QUA|Winter 2018)

【掲載背景】
季刊誌としてNYジャピオンとは別に発行していた「QUA」。008号でちょっとした旅のエッセイを書きました。評判が良かったようで、自分の周りだけでも、メーン州ポートランドに行った報告してくれた人が続出した。今(2020.9.24)には自由に旅ができないからこそ、旅への思いを書き立てられる。

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人気レストラン「EVEN TIDE」ではぜひ地元メーン州産のカキを

ちょこっと街歩き ポートランド(メーン州)

 メーン州ポートランド。オレゴン州の同名市の方が知名度が高いが、その名称はこの街からとられている。今も漁業が盛んな港町で、夏には避暑地として、近郊に別荘を持つ富裕層の人たちでにぎわう。秋、そして冬はオフシーズンだが旬の魚介類を目当てに訪れた。

 小ぶりな空港を一歩降り立つと、空気が澄んでいるのが分かる。空港から市内のホテルに向かう道すがら、シャトル運転手(地元出身者)が人柄の良さ全開で話し掛けてくる。

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 「おいしいものを食べに来たよ」と話すと、「夏は混むからよくない。フーディーシティー(食通の街)だから、おいしいものを食べるなら今。君たちは賢い」となぜか誇らしげに語る。さらに日本人だと分かると、「ポートランドは品川区の姉妹都市なんだ」と言い、以前、交換留学生の「テッペイ」がホームステイして面倒をみたと話してくれた。


 ダウンタウンの中でも、港に隣接するオールドポート地区に足をのばす。改装した廃工場や古い建物にレストランや小売店が入っていて、街並みを見ながら歩いているだけでも楽しい。この地区では、現役の漁船が停泊し、ロブスターの捕獲カゴがうず高く積まれている埠頭(ふとう)を歩くのがおすすめだ。磯の濃い匂いが漂う埠頭には、水揚げされたばかりの魚介を売る鮮魚店はじめ、漁業に従事する人たちが寄るのであろう古びた看板を掲げるバーが点在し、昔ながらの雰囲気を醸している。

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日本人経営の「ISF Trading」(www.seaurchinmaine.com)の工場ではウニや海産物を直売している

 オールドポートの外れにある評判のレストランをのぞくと若者が集い、活気にあふれていて、ひなびた港町のイメージは覆される。近郊に大学があり、近年では、金融業が盛んな上、起業家にも人気があり、若者が増えているとは、地元の人の弁。
 翌日、同じ運転手が空港まで送ってくれた。「とてもいいところだね。また来るよ」と答えると、弾けんばかりの笑みを見せて、「待ってるよ」と返してくれた。テッペイも、この笑顔に見送られ、この地を再訪したんだろうかとふと思った。

ポートランド基本情報
市設立:1786年
人口:約6万6000人
面積:約4259平方キロ
主要空港:Portland International Jetport (PWM)
ニューヨークからの所要時間:約1
時間(飛行機)、約6時間(車)

【掲載紙面】

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