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PRRT療法やってみました(1回目)

以前より話だけは聞いていて自分には縁遠い話と思っていたPRRT(ペプチド受容体核医学内用療法)であるルテチウムオキソドトレオチドが昨年国内承認されたと聞きいつかできるかなーくらいに思っていたのですが、チャンスが巡ってきましたので乗っかってみました。

PRRTとは

簡単にいうと静脈注射で放射線を放つ薬を体内へ打ち、腫瘍に到達したら薬と腫瘍をくっつけて放射線でやっつけてしまうというものです。
詳しい話は肱岡先生の動画を見るのが早く正確です笑

PRRT治療となった経緯

今まで実施していたカテーテルによる肝動脈塞栓術(TAE)は腫瘍の栄養源となる動脈に栓をして兵糧攻めにしてしまう手術でした。この場合、何回も実施することで血管を痛めてしまったり全ての動脈へ栓をするのも難しいようで(自分の場合、血管奇形と言われたこともあり)このままでは頭打ちな感がありました。
本来の流れであればザノサー(ストレプトゾシン)とかと併用でTAEを行なうつもりでいましたが、身体への負担などを考え、PRRTをやる意思を伝え順番待ちして今回実施となりました

総称名はルタテラです

PRRTは治療法名で投与する薬の一般名は「ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)」総称名は「ルタテラ」販売名は「ルタテラ静注」となります。
しばらくカテーテル治療をしていたので商品名とか全くわかっておらず、主治医からルタテラやります?と言われても「ん?」っとなり「PRRT」と言われおおーとなりました。
こちらのサイトはルタテラ治療についての詳細なサイトです。病院から渡されたパンフレットと同じですが比較的わかりやすい内容となってます

ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)

ルタテラのことを色々調べたところ25mlで7.4GBqとあります
ギガベクレルと読みます。ベクレルとシーベルトに関してですが
放射性物質が放射線を出す能力を表す単位が「ベクレル(Bq)」
放射線による人体影響を表す単位が「シーベルト(Sv)」です。
ルタテラが発する放射線が7.4GBq(ギガベクレル)だからなんだと思いますが、このような数字は頭に入れておくだけでもいいんじゃないかと思います

ルタテラおいくら?

こういう薬は限度額申請をしているので意識しないでしょうが、誰かが代わりに出してもらってる意識は持たなくてはいけません
2,647,734円/瓶です。1回264万円です。これ半年で4回打ちます!保険適用前はスイスまで渡航費含め自費で行ってた方もいましたので大変だったと思います。

ルタテラには鮮度があります

勉強不足だったのですが、放射線薬には鮮度というものがありまして、作った直後から放射線を出し続け投与する時にも必要な放射線量が出ていないといけないため工場(イブレア(イタリア))を出てからできるだけ早く届ける必要があります。商品情報を見ると有効期間は製造日時から72時間
なので「何月何日に治療します!」と宣言したらもう必須、キャンセル不可です。先月家族でコロナになってしまったのは良かったとしか言えない・・・
まだ作る量にも限りがあり、今回は23人(全国)でした。
薬は投与前日夕方に成田に到着、翌日朝それぞれの病院へ届き即治療とのことです
下記サイトによるとルタテラお届け日は毎週木曜のようです。

入院から退院までの流れ

治療法などは冊子やサイトにいくらでもありますので見て頂ければよくて
実際にやってみて病院毎違うと思いますが、大体こんな感じかと思います。
入院〜退院までは標準で3日です。水曜入院、木曜投与、金曜退院の流れです
もう少し細かいスケジュールはこんな感じです

初日(水曜日)

  1. 入院受付(午後)

  2. PCR検査(唾液)

  3. 採血

  4. スケジュールと今回の治療におけるお作法の説明

  5. 夕食

見ての通り、初日はヒマです。2日目に放射線科へ移動する時に向こうで使うものスマホとか貴重品引き出しの鍵とかを入れるジップロックを用意したり、飲み水(1.5L)や飴(これ重要)なども用意しておきます。
あとは放射線管理病棟から戻った後の過ごし方についてのレクチャー
です。連絡方法やらトイレの利用方法とか

2日目(木曜日)

  1. 朝飯、昼飯は無し

  2. 点滴ルートとり

  3. 吐き気止め(錠剤)を飲む

  4. 吐き気止めの点滴(15分)

  5. 放射線管理病棟へ移動

  6. 腎臓を守る薬剤(ライザケア)を投入

  7. シングルルート法でルタテラ投入〜終了

  8. ライザケア終了

  9. シンチグラフィでルタテラが留まっていることを確認

  10. γ線の計測

  11. 病棟へ移動

  12. 夕食

2日目はほぼ注射なので暇を持て余すことが無いようにamazonで電子書籍をダウンロードしてそれを読んだりしてました。最初に腎臓を守るライザケアを投入し10分後くらいからルタテラをゆっくり投入、さらに10分後から速度をあげてルタテラ を投入し30分くらいで投入を完了します。ここまでにトイレに行きたくなると準備してる方は一旦外したりなんだりと結構大変なことになるのでライザケア投入前にしっかりトイレへ行きその後治療に臨むことをお勧めします。

静注している間は特に副作用のない状態で過ごすことができました。吐き気止めのせいですかね?7.ルタテラ投入後から水を飲む、トイレ、水を飲むトイレと続けます。小腹が減ったら飴をなめます。味変したかったら水以外の麦茶とか、ストレートティとかを飲むのをお勧めします。濃いジュースなど気持ち悪くなる場合もあるのでできればあっさりさっぱり系がいいと思います。とにかく体にある余計な毒を体外へ排出する!腫瘍とくっついた分は流れないので大丈夫です

ライザケア終了後、点滴は外します。その後、ちゃんと腫瘍にくっついているかを確認するためシンチグラフィをやります(1時間かかります)この時もトイレは確実に行っておきましょう。
最後に体から放出される放射線の数値を測ります。1mくらいのビニール紐をつけた機械でビニールの先は自分のおへそにくっつけ数値を読みます。
ルテチウムの退出基準となる線量率は18μSv/hなんですが、測ったら17.4でした(技師の方の声が聞こえてきました)
水を延々と飲み続けた成果です!トイレが近い体質で良かった!

退出基準に達したことでやらなくなったこと

この時点でもう退出基準に達していたので色々なことが不要となりました。
放射線管理棟からの帰り、お迎えの看護師さんは防護服が不要になります
エレベーターを専用にしてもらい一人で乗る必要がなくなります(これは既に用意していたのでやりましたが)
部屋に戻って蓄尿器に尿を溜める必要はなくなります
(ただし座位でして流す時は蓋を閉めて2回流すは行います。)
看護師さんとのやりとりにサランラップで巻いたiPadは使いません
食事は頼んだ後なので使い捨て容器で届けられます。
翌日朝の退出時計測が無くなります、荷物の計測もなくなります
※持ってきた荷物が汚染されている場合、持ち帰ることができなくなります
なので2日目も水をガバガバと飲み普通にトイレだけ気をつけて過ごしました。
全部で7Lくらい飲んだかも知れない(ちょっと飲み過ぎです)
2日目ルテチウム投与後2L   部屋に戻って3Lくらいでいいかもしれない

3日目(金曜日)

  1. 朝食

  2. 放射線管理病棟へ移動し再度シンチグラフィ

  3. 病棟へ戻り退院

3日目の午前中に計測してNGだった場合、夕方測ってOKなら翌日退院、NGなら月曜退院とのこと。
特に何事もなく、精算は後日と言われ終了
概算で12万でした。これ8週おきに4回だとどう保険請求すればいいのか悩む

お部屋のこととか作法とか

ルタテラが承認されたことで治療に必要な部屋の基準も大幅に見直しされたようです。
放射性医薬品を投与された患者の 入院制限等について
なので一般に使用している病棟にちょっと手間をかけます
トイレなんかはこんな感じで養生がされてます。
今回は免除でしたが、2日目放射線管理病棟から戻ると蓄尿器が設置されていて
尿はトイレに流さなずに蓄尿器へ入れます。便は2回流していいのですが
便を出してる間に出る尿はコップへ入れないといけないので
結構苦労するような気がします。

トイレ
床の赤テーブのラインが普通の人が入っていいエリア

家に戻ってからの話

これがなかなかアバウトな感じなのでどうしようかといったところ
投与から3日目までは家族とは距離を置いて生活する。寝床もわける、風呂は父最後でシャワーのみであまり撒き散らさない。終わったら床や排水箇所の掃除をする。タオルは家族用とはわけて使うなど目に見えないのでどうすれば大丈夫というのがわかりにくいです。
7日目までは人混みを避ける(リモート出社)じゃあ4日目は風呂入っていいの?とか境界線があいまいな感じなのでもう少し数値化して安心させて欲しいものです

終わりに

久しぶりにざっと書いたのですが、これから受ける人に少しでも役に立ってくれれば幸いです。副作用など出ましたらまたご報告します

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