滑り込みで純奈ちゃんとばななの話。と、そこからの学び。
タイトルのとおりです。先日ようやっと「劇場版 少女歌劇レヴュースタァライト」を見たので、その中の純奈ちゃんとばななの関係についてちょっと書きます。ネタバレがある割に別段新しい知見があるわけでもないと思いますが、ちょっとこの激重感情を来年に持っていくのはちょっとアレなので……。
(ネタバレがあります)
前置き
スタァの座を奪い合うオーディションを経て、自分の実力を思い知らされた純奈ちゃんが劇団への所属ではなく一人「進学」という選択肢を選ぶのは(そして、自分がスタァの座を諦めたわけではないとうそぶくのは)、ある種の「成長」であり「成熟」ですよね。
というか、視聴者たる我々、大なり小なり、そういう賢しらな選択を続けてなんとか大人をやれているわけですし……。一概に否定できるものではない。
ですがばななはそれを許せない。その選択をした瞬間お前は死んでいると突きつけてくる。殺しにかかってくる。そして、殺そうとする自分に戸惑うばかりで向き合ってこない純奈ちゃんに心底幻滅する……(だからぁ……強いお酒を飲んだみたいって言ってるの)という前置きがあっての狩りのレビューですよ!
狩りのレビューの話
狩りのレビューで、ばななは純奈ちゃんに「スタァになれないとわかっていても努力するあなたは眩しかった、輝いていた」と詰めるんですが、これは本当にひどい台詞だと思うんですよね。だって、ばななも純奈ちゃんがスタァになれない前提で語っているわけですから。才能があって努力すればきっとスタァになれるからやめないでというわけではなく、努力してる姿が眩しいからがんばっていてほしかった……と。
こんなん、自分のしっぽ追いかける犬を見て喜ぶ飼い主みたいなもん。
もしくは、愚かな人類を宇宙から見下ろしている上位存在の視座。
自分と同じところにいない相手だから、三方に載せたドスを足で押して「自害しろ」と強いてくるわけですよ。(これを女の子同士でやるの、何このアニメ……ってなる)
この二人がどういう決着を迎えるかというのは、皆さんご存知の通り。あれに納得が行かないという方はいなかろうというくらい、素晴らしいラストだと想います。で、この二人のエピソードから、ちょっと身が引き締まる思いがしたわけですね。
学びの話
ひとつは、賢しらでそれっぽい選択をした先に今の自分がいるということを思い出したこと(それを受け入れるのは成熟ですが、受け入れて安穏としているのは死!ということを忘れてはいけない)。
もうひとつは、ばななの純奈ちゃんへの態度から、相手の役割を勝手に規定して、そこから外れたら軽蔑するようなことは浅ましいということ。
後者、やっちゃいますよね。相手に勝手に期待して、それが裏切られ(その表現もおかしいんだけど)たときに勝手に憤慨するの。得てして、それは、相手を役割・書き割り、舞台装置としてしか見ていないときに起こりうること。我々は世界を、自分のための物語のように編集して捉える癖があるのかもしれません。
相手が血の通った人間であると忘れてはいけない。その前提を忘れた瞬間、自分がどんな無礼な言葉を吐き、態度をとるかわからないわけで。
純奈ちゃんとばななを見て、ぼんやりそんなことを思ったのでした。
(ぼんやり思ったとか、学びで〆るのも、賢しらなムーヴだと想いますが、そのへんは自覚してるから許してくれ……)
日々ばななの影に怯える。
俺を殺しに来るばななと。他人に自害を強いるばなな。
どっちの意味でも。
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