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渋めキャラセリフ集1 1人用

短いシチュエーションボイス台本が5つ入ってます。おじ様キャラ多め。
「武器工場の最期」「再会、悲哀、戦い」「けぶる紫煙と懐古」「エルフと年寄り」「対ゲヘナゲート特殊部隊 内部調査依頼」
※ピカピカにも同じ台本を棚霧書生名義で投稿しています。中の人は同じなので安心してください。

「武器工場の最期」

勇者は死んだ。

世界はおしまい、チャンチャンってな……。


おいっ! 誰だ今まだ最後の希望が残ってるとか戯言(ざれごと)ほざいたやつぁ!! 胸くそ悪い、今しゃべったやつ全員、俺の工場(こうば)から出ていけ!

ほら、早くいけ、……チッ、お前もお前もお前もいつまでここでつまんねえ労働をするつもりだ、早く自分の家に帰って嫁さんの尻にでも敷かれてろ、馬鹿野郎ども。


ようやく、みんな行ったか。って、チビ! オメェ、なんでまだここにっ……と悪い……チビは家族がいないんだったな……。あぁ、どうにも頭に血がのぼっちまって、いけねえ。


チビ、誰もいない家に帰れとは言わねえが、最期に会っておきたい親しい友人の一人や二人いないのか?

ハァ、俺んとこがいい? まったく物好きな野郎だ。


どうした、モジモジして? ああ……、さっき希望があるって一番最初に言ったのはチビ、オメェだろ。……俺が何年この工場(こうば)の親方やってると思ってんだ。それくらい、わからぁ。


別に本気で怒ってたわけじゃねえ。あいつらを一刻も早く家族の元に返すには、ああするのが一番手っ取り早いと思ったんだよ。

ここに居たら、あいつらも罪悪感ってやつを感じちまうかもしれないからな……。


一生懸命仕事して俺たちは勇者のために、一本の剣(けん)をつくりあげた。あんときは楽しかった。俺たちの働きが世界を救うのに役立つって純粋に思ってた。

だが、結果はどうだ? 昨日から、空は闇に覆われ、草木は枯れ始めている。城壁の外では衛兵では手がつけられないほど凶悪化した魔物がウヨウヨしてるときた。この状況を勇者が死んじまった以外の理由で説明できるか?


俺たちのつくった剣(けん)が魔王の心臓をつらぬくことはなかったんだ。


チビ、今日の飯はごちそうにしよう。野菜はひとかけらだって食わなくていい。肉だ、肉をたらふく食おう。果物のジュースも用意してやる。

だから、俺の晩酌にもつきあってくれ。


「再会、悲哀、戦い」

よぉ、ラッキーボーイ。また会ったな。


……なにしてるって、お仕事だよ。ああ、オジサンね、実は魔族陣営なのよ。勇者様なアンタとは敵対関係ってやつさ。


そんな顔されても困るなぁ。俺はアンタと出会う前からこの仕事してんだからよ。責任もプライドもあるわけ。


個人的にはアンタのこと、好きだぜ。ずっと、今日みたいな日が来なければいいと思ってたくらいだ。


でも、敵として再会しちまったからには、アンタと仲良くはしてられねえ。


さっさと構えな。真剣勝負といこうじゃないか。


「けぶる紫煙と懐古」

あ、ライター忘れた……。

そこの人、ちょっと火を貸してくんねえかな。

ふー、サンキュー。


お兄さん、どこから来たの? ニホン……?

もしかして、東の果てにある島国か?

いやいや、俺は実際には行ったことねえよ。

俺の昔の友人がな、ニホン人だったんだよ。そいつから、ニホンのことを聞いたってだけ。

ちょうどお兄さんみたいな黒髪黒目のやつでさ。背格好とか体格も似てたから、なんか、懐かしくなっちゃってねぇ。声をかけたってわけ。

そうかそうか、お兄さんもニホン人なのか。ニホンって国は本当にあるんだな。

……ああ、いやな、ニホンって名前の国は地図にも載ってねえし、誰に聞いてもニホンを知ってるってやつに会ったことがなかったからよ、ずっとあいつの嘘だと思ってたんだ。

良いやつだったけど、謎の多いやつでもあったからなぁ。


俺の友人と会いたい?

悪いがその頼みは聞けないな。あー、違う違う、イジワル言ってるわけじゃねえって。

だいぶ前にさ、……死んじまったんだ。もうかれこれ10年以上は前の話になる。


おっと、いけねえ、そろそろ仕事に戻らねえと。火、貸してくれてありがとな。

お兄さんは帰れるといいな、そのニホンっていう生まれ故郷に。

それじゃ、縁があれば、また会おう。


「エルフと年寄り」


おーい、待てって。ハアハア……(息切れ)そんなに早く走らないでくれ。

……おっさんってその呼び方、懐かしいな。俺はもう、おっさんじゃなくておじいさんだよ。

はあ、お前なぁ笑ってるけど俺は人間の中ではちゃんとじじいに分類される歳なんだからな。

エルフにはピンとこないのかもしれないけどさ。


なあ。ちょっと真面目な話をしていいか。俺はもうすぐ死ぬ。ん、いや幸いにして病気もケガしてないよ。

そうじゃなくて人間の寿命的にあと五年だか十年だかのうちに死ぬだろうって話だよ。

早くはないさ。普通のことだ。人間にとってはな。


俺が死んだあともお前は何百年と生きてくわけだろう?

なにか今のうちに俺にしてほしいことがあれば言ってくれよ。


え、酒とタバコと偏った食生活をやめろ……ははは……今さらだなぁ。

はいはい、長生きできるように努力しますよ。


「対ゲヘナゲート特殊部隊 内部調査依頼」

(上官/一人称は私で固定、口調の微変は可)


本日のお勤め、ご苦労。急に呼び出してしまって悪かったな。まあ立ち話もなんだ、適当にかけてくれ。


我が軍で新しく結成された対ゲヘナゲート特殊部隊については、君もすでに聞き知っているだろう。ああ、例の新人くんがいるあの部隊だ。

結成からわずか2ヶ月足らずで、上級悪魔であるイフリート、パズズ、コカビエルと立て続けに接敵し、未だ一人の死者も出していない。加えて前述した3体をゲヘナへと追い返してもいる。

いや、これが事実だとすれば実に素晴らしい。隊員たちはリビングレジェンドと呼ばれるに相応しい存在だ。私も上官として鼻が高い!

と、手放しで喜ぶことができれば良かったのだけどね。

現実的に考えて、上級悪魔と連続して戦闘になったのに部隊員が一人も死んでいないなんて、いくらなんでもおかしい。

そもそも上級悪魔たちが間を置かずして対ゲヘナゲート特殊部隊の前に姿を現しているのは、なぜだ?

これを偶然だと言って片づけるやつは頭にプリンが詰まっているに違いないね。


対ゲヘナゲート特殊部隊には、なにかある……。

そこでだ、君に調査をお願いしたい。具体的には当該部隊に所属し内部からの観察、及び定期的に報告をおこなってもらう。もちろん、他の部隊員には勘づかれないように、だ。


肉体的にも精神的にも厳しい任務となるだろう。が、君ならばやり遂げられると私は考えている。

君にも検討する時間が必要だろうから、返事は3日だけ待つ。

いい返事が返ってくることを期待しているよ。


終わり

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