好きな本についてつぶやこうとしたときのメモとオススメ本のリスト

X(Twitter)で好きな本についてつぶやこうと色々思い返していたら、解説や訳者あとがき、挿絵や写真など本文以外の場所で本を構成するものから受けた影響が結構たくさんあるなぁ…と。小説の感想以外のメモはとりとめのないものだったのでまとめてここに置いておきます。オススメ本のリストは一番下にあります。

今年の12月に、野溝七生子『山梔』の新版がちくま文庫から発売されます。オススメ本。元々は講談社文芸文庫から出版されていた小説。
今回の新刊では、講談社文芸文庫の矢川澄子解説+新版の山尾悠子解説が収録されるとのこと。
高原英理『少女領域』は少女小説11作品の長篇評論で"少女小説"をテーマに本を読んでいたとき手に取った本。サイバーパンクの傑作、大原まり子『ハイブリッド・チャイルド』が少女小説として取り上げられていて興味を惹かれたのでした。
『少女領域』では『山梔』について読み解かれています。それまで矢川澄子解説をたよりにしていたのですが『山梔』について考えるとき、なくてはならない言葉になりました。好きな小説について誰かの書いた文章はなるべく読みたいと思っているので新版の山尾悠子解説はとても楽しみなのです。必ず買おう……

『少女領域』では倉橋由美子『聖少女』も読み解かれています。倉橋さんの訳者あとがきといえばアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』のあとがきでしょうか(倉橋由美子訳が私のお気に入り)
星の王子さまは”大人のための小説”であるという訳者あとがきの文章がずっと印象に残っていて、星の王子さまの物語と倉橋さんの言葉はいつもセットで思い出されます。

倉橋由美子『聖少女』の新版の解説は桜庭一樹さんでした。ライトノベルを書かれていた頃から読んでいて桜庭さんの描く女性に強い興味がありました。『私の男』で『聖少女』を連想したため桜庭一樹解説は特に印象に残っています。解説の中で桜庭さんが三大少女小説のひとつとして挙げられていたのが尾崎翠『大七官界彷徨』でした。

少女小説といえば『大七官界彷徨』が1冊目に思い浮かびます。尾崎翠についての評論が読みたくて探していたときに手に取った本が、群ようこ『尾崎翠』でした。群さんの『大七官界彷徨』に対する思いが結びとなる『尾崎翠』は私の中で大切な1冊。
SFマガジンで伴名練さんが連載されている「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」で私の中にあった作家たちのイメージが鮮明なものとなったように、群さんが描かれた"尾崎翠"の肖像が私の中にいつまでも残っています。

伴名練「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」といえば第九回の連載で山尾悠子さんについて書かれていました。山尾悠子『夢の棲む街』(ハヤカワ文庫版)は、幻想小説の中でもお気に入りの一冊。
短編「夢の棲む街」に「薔薇色の脚のオード」と「漏斗と螺旋」の二編が新たに加えられ『新編 夢の棲む街』のタイトルで昨年刊行されたのは記憶に新しいです。『新編 夢の棲む街』は上記の三編と、歌人で小説家の川野芽生さんの解説、人形作家の中川多理さんの人形写真によって構成されています。川野さんの言葉と中川さんの人形は、私の内にある『夢の棲む街』の忘れられない風景のひとつ。

人形作家の中川多理『夜想#中川多理―物語の中の少女』で、アンナ・カヴァン『氷』や夢野久作『押絵の奇蹟』などの小説と一緒に皆川博子『死の泉』が取り上げられていました。中川さんの著書で、物語を反映した(生きた)少女の人形(レナとアリツェの人形写真)をたよりに改めて『死の泉』ふれる機会があったのですが、人形をイメージして物語を読む経験はこれまでなかったので記憶に残っています。 
皆川博子『夜のリフレーン』には中川さんの人形とコラボレーションした掌編「そこは、わたしの人形の」が収録されています。『皆川博子の辺境薔薇館』には『死の泉』レナとアリツェの人形写真が掲載されていました。『死の泉』と聞くと私はレナとアリツェの人形を思い出すのです。好きな写真

■オススメ本とオススメの連載
野溝七生子『山梔』
高原英理『少女領域』
大原まり子『ハイブリッド・チャイルド』
倉橋由美子『聖少女』(解説 桜庭一樹)
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』(倉橋由美子 訳)
尾崎翠『大七官界彷徨』
群ようこ『尾崎翠』
伴名練『戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡』(SFマガジンの連載)
山尾悠子『夢の棲む街』(ハヤカワ文庫)
山尾悠子『新編 夢の棲む街』(人形・写真 中川多理、解説 川野芽生)
皆川博子『死の泉』
『皆川博子の辺境薔薇館』(河出書房新社編集部 編)
中川多理『夜想#中川多理―物語の中の少女』
アンナ・カヴァン『氷』
夢野久作『押絵の奇蹟』
皆川博子『夜のリフレーン』

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