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感染源

自分が生まれ育った町だって

ローカル線が廃止されたり

吸収合併されて町の名前は消えた


でも呼び名は変わらないけどね


そんな故郷より


遥かに限界集落なばあちゃん家


あの山の麓の扇状地が熱源で、感染源

幼稚園児〜小6までの僕は

隣県のばあちゃん家のあの町に

病的に夢中だった


おばあちゃんおじいちゃんが

従兄弟や叔父さん叔母さんが

優しくしてくれたから

好きだったというわけじゃない

与えられて、好きになる程度では

病的にはなれない

感染は何も別に

病気に限った話ではないのに

コロナのコロちゃんマン登場以降

感染自体がなんかダメなことみたいな

そういう言葉狩りというかなんというか

もうあれから

ちゃんと空気を吸った気がしないね




きりん組の時だったから年長組の年

ゴールデンウィーク最終日@ばあちゃん家

僕は泣きながら絶叫して

母と口論していた


(車乗るよ〜)
イヤっち言いよろうが!手はなしてよ!

(置いてけぼりになるよ〜)
僕はここに住むけん帰らん!

(また夏休みに来るよ〜)
夏休みまで待てんもん!

(ここに住むなら、山の仕事せなよ〜)
するもん!習ったらできるもん!

(ばあちゃん達の仕事あんたできると?)
、、、虫とか来んならできる。

(虫たくさんおるよ〜)
、、家の中でしごとするもん!

(家の中ではできんやろ〜)
、、みかん並べたりできるやん!

(田舎やけんココなんもなかよ〜)
デイリーストアあったもん!

(帰らんかったら幼稚園クビなるよ〜)
別に幼稚園行きたくないけんいい!

(ほら、おばちゃんも困っとるよ〜)
おばちゃんは
僕のこと大好きって言ってたもん!
ねえ?(叔母を上目遣いで凝視)
ほらあ!
姉ちゃんよりかわいいね!って

(仕事せん人は住めんとよ〜)
だからするっち言いよろうが!

(田舎のこげな町、日本中にあるんよ〜
 大人になったら自分で好きなん探し〜)
うるさい!ここがいいもん!
とにかくもう帰らん!


玄関の古い大きな柱に

取り憑くようにしがみついた

きっと午後9時をまわっていた

最終的に母に論破されてるうちに

トロンっと眠くなってしまって

朝起きたら実家に戻されていて

更に発狂して

キレ散らかしながら通園した


園内では

ゆき先生のお尻をしっかり揉んで叱られ

さおりちゃんのパンツを眺めてるうちに

[やっぱり問題は、虫なんだよなあ]
[虫がいなかったら、僕も手伝えるのに]

ばあちゃん達が経営する

みかん農園🍊での立ち位置を気にしていた

同時に

月の立ち位置🌕も気になっていた

ばあちゃん家から帰る車内で

ふと目を覚ました時に

月がむっちゃ車を追いかけてるように見えた

逃げても逃げてもついてくる

実はもっと車を飛ばせば

月がいない町へ行けるのかな?

よし、あとでお母さんにきいてみよう

とか考えては

さおりちゃんは何で

頼んでもないのに

パンツを見せてくれたのか

白いデカめのふわふわパンツを想った

さおりちゃんも

何かに感染していたんだろうか

僕があの扇状地で感染したように






この先

どんな熱量を媒介にして

何に感染するかはわからないけど

しっかりめに空気を吸い込みたいね

できれば

黄砂が追いかけてこない場所でね



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